ミニマム
五木林
平坦
その惑星を形容するのにそれ以上の言葉は必要ないので、実際そのまま名前になっている。
「
そんなことだから、ふらっと訪れた人で混雑しているかと思われたのだが、意外にも他の宇宙船は見当たらなかった。膝丈くらいの草が、それ以上高くも低くもならず、地平線まで等高に茂っている。それだけだった。
見渡してみる。その場で回転すると、すぐに方向感覚を失う。乗ってきた宇宙船が唯一の目印であるのだが、これが急に鬱陶しくなってきた。見えないところまで行って、完全な
しばらく歩き、視界が扁平になったところで魔が差して、くるくると回転した。もう戻れなくなった。不思議といい気分で、その場に寝転がる。わざわざ観光に訪れる物好きは自分一人のようだし、誰にも見つからないだろう。噂になる前に風化して、平坦になれるのだ。
ミニマム 五木林 @hotohoto
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