第3話 小次郎
ひま子が目を覚ますと、どうやら声の特徴から、男性の中に入っていると思われるが、前回のよし子みたいにすぐに誰なのか検討もつかなかった。前回同様、身体の中から外の世界は見えるが、鏡などを見てくれないとその人の姿は見えないのである。
「ただいま〜」
小次郎は帰宅し、すぐにシャワーを浴びる。
シャワールームの鏡に小次郎の姿が映るが、ひま子の知らない人だった。男性の裸を見てもとくに何も思わず、お医者さんもこんな感覚なんだろうか。とか思いながら、ひま子はじっと知らない人の身体の中に入っていた。
寝る前のルーティーンを終えた小次郎は、パソコンの電源を入れると、オンラインサロンのチャットルームに入った。
「あっ!」
誰だかやっとわかった。3日前くらいまでずっとチャットルームで毎日会話をしていた、こじちゃんである。会話が弾み、会社を辞めたのをキッカケに、ひま子はこじちゃんに一度お会いしてみませんか?と送ったのである。それが3日前。そこから返信がピタッと止んでしまった。オンラインサロンには顔を出してるのがわかってしまう為、ひま子は少し傷付いていた。
こじちゃんは、オンラインサロンの別のチャットルームで、他の女性とチャットをしたり、ゲームをしたりしていた。
「わざわざ見たくなかったなぁ。」
小次郎は、なぜかこんな時間にお腹が空いてしまったので、キッチンに立ち、インスタントラーメンを作った。
袋麺を茹でてる時間、そいうえば3日前くらいに、ラーメンが大好きと言っていた女の子に、実際に会いたいと言われた事を思い出した。僕には彼女がいる。これ以上仲良くなってはいけないとなんとなく思った。
「いただきます。」
こじちゃんが作ったインスタトラーメンは、具は卵だけで、シンプルでとても美味しかった。塩味だった。
よし子の時もそうだったが、どうやら人間周遊旅行とやらは、満腹になった瞬間自分の部屋に帰ってくるようだ。ひま子の肩には小さなおじさん。
「私の知り合いの身体の中に旅行するのは、もう嫌なんやけど。もしこれ夢やったら私センス無さすぎ。」
小さなおじさんは眠っていた。私もこの悪夢を終わらせようと、眠る事にした。
目を覚ますと、目の前の視界がもえ子の部屋だった。どうやら私はもえ子の身体の中にいるらしい。
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