第5話 私と彼女の運命の日―10日目
優茉の部屋で、あっという間に10日間が経った。朝、まだ熱の引かない
今日は体調不良と嘘を言って休むことにした。もちろん店長はだいぶ怒っていたけど、知ったことではない。この9日間、まぁまぁちゃんと働いたし。
それにしても
私はコンビニで水と体調が悪くても食べられそうな物を買って、
こんな状態であの日、
申し訳なさすぎて、涙が出る。
「ありがとう、こんなにしてもらって…」
「はい、飲み物をどうぞ。
「食べられそうなものも買ってきたから、食べてね」
そう言って、ビニール袋の中のものを出して見せた。
「…うん…ふぅぅ」
ため息が漏れている。まだ大分、だるいようだ。
「横になりなよ…」
「そうする…えみさん、ありがとう」
横になった
「あの、背中擦っていい?
「うん、ちょっと…気持ちも悪いからお願いしていい?」
私は
恋人のときもよく擦った。こうすると安心すると言っていたから。
背中から生きている身体の暖かさがよく伝わってくる。
大好きだよ、
この数10分後に
お願い、
私がそう思った時だ、スマホが鳴った。
唾を飲んでごくりと音が鳴った。
―――
「おはよ、
この時、過去の自分は試したのだ、
――― 私と別れたくないなら、この続きを聞きたいなら、この場所にきて
我ながら、最悪。
「あ、えみさん…恋人から電話きたから行ってくる」
私はふらふらしてるのに、バックを持って外に出ていこうとする
「
「何で? 私はまだ好きなの。このままだと離れちゃう…行かないともう恋人は私に振り返ってくれないかもしれない」
「…
私は自分のことをそう表現した。
あんな
そうでしょ、それで
「無理だよ…恋人がいなかったら…そう考えたらもう…どうしたらいいか…」
こんなことを言いたくないけど…。
胸が張り裂けそうな思いだ。
「あのね、優茉、恋人を苦しませたくないというけど、優茉が恋人を信じているなら、愛しているなら、きっと今行かなくても、彼女には伝わるはずだよ。それが伝わらないような恋人だったなら……そんな人いらない。彼女だけがこの世界の全てじゃない! お願いだから行かないで、彼女の言うことなんて忘れて自分を大事にして」
私の懇願に、
そして私の強い口調にびっくりしつつ、「……そう言われても…」
へなへなと力が抜けてその場に座り込む、
そのまま、その場で泣き出した。
「……わかんない、どうしたらいい…」
「はい」
私は
「体調が悪いからいけない、と連絡して」
「…えみさん」
「はい」
もう一度、スマホを
私の真剣な様子に
――― ドクン
その途端、私は感じた。
あ、私、消える。
…そうか、未来が変わったから未来の私が消えるのか。
そっか、よかった。
「
そう目の前の優茉に言う。
「えみさんの身体が透けてる…そんなことって…まさか」
あれから10年、私は
消えそうな私を見つめる
「えみさ……、いや、
何で、気が付いた?
でも、もう時間がない。
辛そうな身体を押して、優茉は私の近くにきた。
「おかしいよ。恋人が彼女なんて一言も言ってないし、それに…私の好きなもの知っててそれに背中の擦り方…
そういって、消えゆく私の身体を抱きしめる。
私も
そっか、それでバレちゃったか。
ありがとう、
さよなら、私の大好きな人。
―――――
ここまで、読んでくださり、ありがとうございます。本編はここで終わりです。
楽しんでいただけたでしょうか。
もし、よろしければいいね、また評価を入れてくださると今後の励みとなりますのでどうぞよろしくお願いいたします。
なお、この物語はあと2話投稿予定で、内容は下記のとおりです。
・もともとタイムスリップ前に今の私がいた10年後の前日譚
・今の私が消え去った後の後日譚
引き続き、最後までお楽しみください。
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