第4話 彼女の想い―9日目
泣き疲れて眠るまで優茉の隣にいた、部屋に帰ってきた時間はAM4時。
私はもらってきた部屋着に袖を通してベッドにうつ伏せになった。
できればあのまま、隣で優茉にくっついて眠りたかった。
部屋着は
眠りにつこうと目を閉じてみたが脳裏に浮かぶのは泣き続ける
しかもそれが
これは罰なんだ。絶対に
10年の歳月を経て、
**
次の日、眠い目をこすりながらレジ打ち、品出し、納品チェック…等々、次々に訪れる作業を淡々とこなし続けた。時々、商品のコーヒーを購入し、眠気覚ましに飲む。
そうだ、
私は
ビニール袋をレジ裏の棚に置いたとき、声をかけられた。
「えみさん…、こんばんは」
見上げると
時刻はまだ21時。いつもより随分、早い。
「昨日、遅かったから心配で…」
申し訳なさそうに優茉は言った。
私は先ほど飲んだコーヒーの空き缶をちらつかせて「はい、大丈夫です、なんとか…コーヒーで」と答えた。
「それであればちょっとホッとしました…今日はちょっと早く上がれて…」
「そうだ! ちょっと待ってて」
そう言ってレジ裏の棚からビニール袋を渡す。
「はい、どうぞ。
袋を見て、
「帰ります?」
「あ…恋人のことで相談したいことあって……昨日は言えなかったから。聞いてもらえます?」
一体、なんだろう?
ただ断る理由は何もない。
「……私でよければ」
**
私が姿を見せると彼女は笑顔で「えみさん、ありがとうございます!」と口を開いた。そしてすぐそばのサイドテーブルに広げられたお菓子と飲み物たち。
「もらったもの、あの…私の好きなものばっかりで……ちょっとびっくりというか、どっちかというと感動に近いんですけど、とにかくすごく嬉しかったです」
それはそうだろう。
私はその笑顔に少し安心しながら、思った。
「それで……いったいどうしたんですか?」
「昨日、恋人を追い返しちゃって。部屋にえみさんがいたこともあったけど……今、恋人はすごく大事な時期で。多分、今、頑張らないと就職に影響する」
「そう…、なんだ……」
そうだよ、と言いそうになって、慌てて言葉を付け加えた。
「私の恋人は美術系の大学でね、毎年、いくつか作品を作り上げて成績が付くの。この時期はいつも制作をしていて。……だから邪魔しないように連絡を控えていたの……昨日、浮気を疑われて、どうせ私のことなんて要らないじゃないのって……多分、本人、今、すごく心配してると思う」
そんな風に接していたから、連絡が途切れた瞬間、優茉が
「私、恋人の将来に期待していて……希望のデザイン事務所に就職してほしい」
そう、
ハッと
私の将来に期待していたんだ……。それなのに、私と言えば……。
話せば話すほど悔やむことばかりだ。
「どうしたらいいのかな、…ごめんなさい、いつの間にかずっとタメ口で話して」
「
「それで…あの…相手が勝手に心配してるんでしょ? そんなの気にしないで、放置でいいんじゃないの?」
「―――え?」
「だってそうでしょ? 苦しむのは自業自得だよ、そんなの」
「……」
ピピピ♪
その時、
「え…今、来てるの?……うん、いない……そんな‥ちょっと待って、今から帰るから……すぐだよ、駅前のコンビニにいるよ…そう、待って…ねぇ、お願い」
内容で電話先は
そしてすぐに
顔面が蒼白になっている。
「えみさん、恋人が家にきたみたいで…公園にいるっていうから……」
立ち上がり、荷物をまとめて出ようとする
「待って! 行ったら相手の思うつぼだよ」
「……うん、わかってる、えみさん。それでも私は―――恋人を苦しませたくない」
そう言って部屋を飛び出していった。
目には涙が溜まり、残像として残った
私には何も変えることができないのか。
もう打つ手はないのか。
**
優茉と
そんなことを考えている時、トントンと部屋の扉を叩く音がした。
こんな時間になんだろうと扉を開くと、雨に濡れた
「
「あのね、えみさん……私、恋人にもう要らないって、恋人として役割を果たせない人なんて…必要ないって…」
そのまま、
触るとひどい汗と熱だ。
荷物を持って私は
熱でうなされている
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