第2話

「おや、目を覚ましたようだね」


「わっ、」


 突然横から誰かの声が聞こえたかと思うと、私の目の前に何かが映り込んできた。


 それは腰まである美しい銀色の髪を持ち、この世のものとは思えない雰囲気を醸し出す美しい顔立ちをした人だった。


 誰、なのだろう。この人、いや人ではないかもしれない。


「私の名前はクラウス。君の名前を教えてくれるかな」


「へっ、えっと白崎凛香です。あの、ここはどこなんでしょうか」


「ここかい?ここは、そうだな〜説明が難しいのだけれど私が創り出した世界、いや空間のようなものかな」


「空間ですか、」


 よくわからないけどここは私がいた世界とは違う場所なのだろう。

 

 私は死んでしまったのだろうけど死んだ実感は全く湧かないし、死因にも全く心当たりがない。


 どうして私は死んでしまったのだろう。


「凛香」


 私が考え込んでいると、クラウスさんから深刻そうに名前を呼ばれた。


 なんだろう。


「言いづらいことなんだがね、君に伝えなければならないことがあるんだ」


「伝えたいことですか?」


「ああ、君の死因について少しね」


 死因、そう聞いてなんだか嫌な予感がした。


「君は…私のせいで死んでしまったんだ」


 衝撃だった。クラウスさんが私を殺したということなのだろうか。


「いや、死んだことになってしまったという方が正しいかもしれない」


 死んだことになって?どういうことだろう。その言い方だと私は実際には死んでないってことなんだろうか。


「理解できないって顔だね。そうだな、、簡単に説明するとまず君は私の魔力が生み出した空間の歪みに吸い込まれていったんだ」


 魔力?そんなものが本当に存在するの?


「吸い込まれた君は違う時空の地球とは別の惑星に辿り着いたのだけど、それが運悪く雪山の上だったわけだよ。それで、このままでは君が死んでしまうから私が君をここに連れてきたということなのだけど、信じられないって感じたね」


 話し終わるとクラウスさんはスッキリした顔で微笑みながらそんなことを言っていた。


 当たり前だ。魔力?別の惑星?信じられるわけがない。


 それに、私はまだクラウスさんのことを何も知らない。そんな人から聞いた話なんて本当だとしても信じろっていう方が無理な話だ。


「あの、クラウスさん」


「何かな?」


「まず貴方のことを教えてくれませんか」


 クラウスさんは、私がそう聞くとわかっていたかのように驚きもせず微笑みを絶やさずに頷いた。









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