第12話 昼食

 昼時になったので、下部温泉駅近くの「丸一食堂」で昼食。ヤマメの甘露煮が一匹乗った「ヤマメそば」と、馬と鹿肉の丼「馬鹿丼うまかどん」をいただく。身延では丼物で町おこしをしているようで、各地で様々な丼が食べられるようだ。


 ヤマメそばは、ヤマメの甘露煮が手打ちではない生めん湯戻しそばの上に乗っているもので、他に具は山盛りの山菜。山菜そばにヤマメ甘露煮をトッピングしたものともいえる。

 甘露煮自体はヤマメの体表面にある模様もきちんと残っていながら骨まで柔らかく煮込んであり、きちんとしたものだった。

 調理した魚を蕎麦の具とする例としては、にしんそばを連想する。にしんそば発祥とされる京都の店ではにしんは蕎麦の下に潜らせて提供されているが、こちらのヤマメは蕎麦の上に乗った山菜の絨毯の上に寝そべっていた。

 馬鹿丼は、馬と鹿のこま切れ肉を甘辛く煮込んだ牛丼風のもので、赤身が殆どである馬と鹿の肉を玉ねぎと煮込むことで柔らかく食べられるよう工夫がされていた。

 上には糸唐辛子が掛けられており、赤色が写真映えする。味はあまり馬と鹿の特徴が感じられなかったが、まとまった丼物だった。

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