第10話 桔梗信玄餅工場、石和温泉、下部小・中学校跡
湯を堪能し、時間も午後3時前と中途半端となった。
そこで、有名なお菓子の製造元である桔梗信玄餅工場を訪問して軽く買い物をし、ホテルへチェックインすることとした。
この工場は見学を受け入れており、訪問した時もバスで観光客がやってきていた。
時間が少々遅かったため、工場価格の信玄餅詰め放題は終了しており、ドライフルーツを3種類(リンゴ、パパイヤ、マンゴー)購入。原料は地元産なのだろうか?
コンビニ風の弁当も安めで売られており、地元の人や工場で働く人も利用しているようだった。
工場を出てそのままホテルチェックイン。
石和温泉区域、笛吹川沿いにあるホテルで、古いが素泊まり3800円と安かった。
お風呂は温泉で、かけ流しがうれしい。ほったらかし温泉にも2時間ほど入っていたが、こちらでも3回入浴してしまった。
ホテルの1階にはデイリーヤマザキストアがあるものの、品揃えは非常に悪い。そのためホテル眼前の笛吹川を鵜飼橋にて渡り、セブンイレブンでアルコールを仕入れた。
川に沿って吹き抜ける風が心地よい。古くから川に橋は歌のテーマとなっているが、残念ながら詩才なき身ゆえ名句は浮かばなかった。
宿に泊まり日が変わった。
前日11月10日は、歴史・地形・自然をテーマに山梨を巡った。11月11日、この日は同行者の要望で、前述した「ゆるキャン△」という作品の舞台となった場所を巡る。俗に「聖地巡礼」と呼ばれる行為だ。
まずは主人公たちが通う高校のモデルとなった下部小学校・中学校跡を目指す。
本来であればホテルから南下して国道358号を通り、本栖湖を訪れてから西の身延方面へ向かうのが普通なのだが、本栖湖と身延方面を結ぶ国道300号(本栖みち)が夏の豪雨で土砂崩れ(8月17日)を起こし、通行止めになっていたためルートを変更している。
この夏の豪雨は、長野山梨でかなりの爪痕を残していると改めて実感。
ホテルを発ち、笛吹川に沿って南西へ。横を流れる大河に釜無川の水が注ぎこみ、富士川と名を変えた辺りから1kmほど進んだところで、支流の新川沿いに進路を変えて山手へ進む。
山中の幅員の狭い道を行くと、常葉川に行き当たる。眼前が開けたところで身延線の線路を渡ったが、踏切近くの市ノ瀬駅が何ともローカルな風情漂う駅であった。
身延線と常葉川が沿って走る谷を南下して、すぐに目的地である下部小学校・中学校跡へ行きつく。隣接する常幸院という寺が、観光客へ境内を駐車場として開放していた。ありがたく車を停めさせてもらい、徒歩で坂道を上り学校跡へ。
途中の坂道も作中で登場した風景らしく、同行者曰く「訪れたことが無いのに見知った風景」だそうだ。
途中には「学校まで〇m」と記載され、作品の同じ風景場面を印刷した看板があり感心する。学校内はコロナの影響で立ち入り禁止となっていたが、校庭などは自由に観光可能。建屋内玄関には主人公たちの立ちパネルが、外には来訪者用の交流ノートが設置してあった。
建物自体はまだまだ利用できる新しさで、実際地域住民が活用しているようだ。作品関連の音楽ビデオや、実写ドラマのロケ地として利用されたとのこと。
お寺の駐車場解放といい、地域が作品を許容してミックスアップしようという意思が感じられ、好印象。道端には立派なステンレスの箱が据えてあり、中にコミュニケーションノートも置いてあった。
日本各地で少子化や自治体の合併により、廃校が増えているが、このように活用されている例は少ない。昔の木造校舎と違い、最近まで使用されていた鉄筋コンクリート造りの校舎は非常に頑丈で、鉄骨筋交いで耐震補強されているものもあり、解体にかなりの費用が掛かってしまうことから、使用せずとも解体もできないという場合がほとんど。
この下部の例は、稀有と言ってよいだろう。
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