第79話  バムは別行動

「みんな準備はいいか。」

「いいよ。」「準備できてる。」

アンが「そういえばバムは?昨日の夕食の時から見かけていないんだけど。」

「バムか。

彼女には、別の任務を任せている。」

ギルが「まさか、危険な任務を与えていないだろうな、バル。」まるで恋人を心配する男子のように僕に詰め寄る。

「大丈夫だ。危険はない。ただし今は言えないが信用してくれ。ギル。」

僕はギルの顔をまっすぐに見た。

「わかった。」

「ありがとう。今は各自の与えられた任務を確実にこなしてほしい。」

「わかった。」ギルが答える。

クレアは気になるらしく「バル、何?何?気になる。教えて。」

「ダメだ。今はこれから向かうエンドに集中しろ。」僕は少し厳しく言い放った。

気を引き締めないと本当に消滅させられるぞ。それに彼らの科学力は高い。惑星直列がいつ起きて、その力でこの宇宙の力が、今まで支配していた宇宙嵐モンズ星の力がゼロになることを事前に知っていた。こんどの敵Dは強い。」

みんなの顔が聞き閉まる。「では任務。出撃。」

ケブン達の地球周波攻撃部隊。ポップ達、アボレイ星の管理システムにハック部隊をベルシアに残し僕らギル、クレア、タク、アンはエンドへ向かった。

「まずは座標78W34Nを目指す。そこから一気にエンド、アボレイ星に乗り込む。」

僕らは光速移動を繰り返し座標78W34Nを目指した。この宇宙座標は時空が入り乱れ、一つな大きな分岐になっている空間だ。ここからだとワープ時短でブラックホールのエンドまでカラダに負担がかからず飛べる。宇宙空間のオアシス的な場所だ。

僕らはほどなく座標78W34Nに到着。

「バル、前に妖星ケルと対峙した時には何もなかったけど今度は何これ?星学校あるのね。」クレアが驚いている。

「惑星ナガレだ。」みんな降り立った。

小さい星だ。例えるなら地球上の高速道路のサービスエリア的な場所だ。食事、睡眠、息抜きのゲームコーナー、公園ブランコ迄ある。

アンは、はしゃぎ、「バル、宇宙の真ん中にこんなオアシスがあるなんて知らなかった。」

クレアと公園の方へ走って行った。

僕は大声で「ここはジル。僕の前任、宇宙嵐モンズ星の創設者が気まぐれに造ったオアシスだ。宇宙空間を飛びまわるもの達へのプレゼント的な場所だ。すべてタダだ!」

「きゃあー!」2人の声とタクは猛ダッシュでゲームセンに走って行った。

ギルが「バル、あのネズミ、ジルはほんとはすごい奴だったんだな。今更だが感心するよ。こんなオアシスの惑星まで作っているなんて。」

「そうだな。ジルめ...それにこの惑星ナガレは、宇宙空間にいくつか存在するそうだ。ただし気まぐれだ。出たり、出なかったり。気まぐれな星だ。一つでないため、迷いの惑星とも呼ばれている。」

ギルが「バル、迷いの惑星か。なんかわかる気がする。広くて暗い宇宙では自分の位置さえわからなくなるからな。僕らケル星人は彗星として宇宙を飛びまわっているだろう。もちろんシステム上の情報を信用すれけど、実際同じような惑星ナガレにいくつも遭遇したら、正直システムを疑うかもしれない。」

「そうだな。」僕らはこの宇宙の多種多様な星人だ。どの星人も機械をシステムを信じているが実際、特に単独任務の場合は個人の脳内判断を迫られる時がある。

システムには大まかな間違いがない。しかし、最終的には個人の脳内判断をしなければならない。その結果が良くても悪くても。自分の責任だ。

これから向かうエンド、仮に僕が消滅したとしても悔いはない。僕はこの手でこのジルが造り上げたこの宇宙、現王、宇宙嵐モンズとして勝ち取る。

ギルが「バル、今更だが、大きな決意をしたようだな。お前は口に出さなくても顔に出る。」

「そうだ。ギル。あたらめて誓ったんだ。地球のように管理された窮屈な星ではなく。どの星のどの星人も自由に全宇宙を行き来し、未知の広がり続けるジルが造った宇宙を守る。行き来、冒険も自由だ。そんな宇宙のためなら、僕自身消滅してもかまわない。自由のために。」

気づくとみんな集まっていた。

タクが「当たり前だバル。それに夏休み自由にカブトムシさえ取れない、なんてありえない。そうだろうバル。」

「そうだな。カブトムシ。

アンも「月人の仲間達にも地球のあまーいチョコバナナクレープ食べさせたい。」

クレアも「私も食べたい。イチゴの天然氷かき氷食べたい。」

ギルは「女子にモテたい。」

僕はギルをみて「ギル、お前だけ変なこと言ってないか?」

「いや、大丈夫だ。間違ってない。」

「そうだな。自由を勝ち取ろう。」

僕らは暫しの休憩の惑星ナガレを離陸。

「よし、行くぞ。」足元の惑星ナガレが小さくなった。ワープ開始。僕らは宇宙空間をエンドに向けて加速した。

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