第76話  大戦前の寝落ち

疲れていたせいか、僕は深く寝入ってしまった。普段なら風の音、ドアの音、足音、部屋の照明すべて変化するたび感じていた感覚がなくなった。心地いい枕のせいか?ただ僕の神経が外部からゆっくり遮断されるのが分かった。

白い霧が僕を包む。寒くはない。熱くもない。僕はいつの間にか歩いていた。寝ていたはずなのに。お決まりの頬をつねる。「痛い。」夢だが夢ではない。

ここはどこだ?僕はわからず前に前に進んだ。不思議だ。生命体はなんで前に進みたがるのか?僕もその一人だ。たぶん前に何かある。

後ろは通ってきた道だ。安全なのに。本能が欲が前へ前へと僕を駆り立てる。

”乗ってみよう”自分で自分の判断に乗った。

しばらく歩くと明りが見えた。空間が丸く切り取られている。誰かいる。誰だ?D?

会ったことはないが僕の直感がそう言っている。

「そうDか。」

彼は一人だ。何をしているんだ。

「お絵描きか?」

どうやらこちらの声も姿も聞こえていないようだ?

画用紙に丸ばかり書いている。白い画用紙に色んな色で丸をたくさん書いている。

”きれいだ。”色んな色があるときれいだ。

僕は素直に感じた。今度は別の丸く切り取られた空間。また、Dだ。今度は立体、ブロックで丸い円を造っている。パーツの四角いブロックで丸を造るのは難しすだ。Dは丸をやめて球体を造り出した。”すごい発想力だ。”僕は素直に感心した。そしてDをいろんな色の球体を造り出した。また別の切り取られた空間が現れた。

今度は見たことのある球体だ。

ここは?宇宙だ。

ジルが造り出した宇宙の丸い星達だ。こうやってみると、どの星も個性的でバラバラだが美しい。

Dが振り向く「この星達はもうすぐ全部ぼくのものになる。

仲間がたくさんいるバル君。すべて、僕がいただく。地球のように。」

僕は叫ぶ「D、そうはさせない。取り戻すし、お前をつぶす。」

「へえー、そんなことができるのかな?仲間、仲間?バラバラの星のバラバラの価値観、

環境で生きて来た生命体同志100%わかり合い、協力なんかできるはずがない。

バル、君は甘いな。だから表舞台の生命体たちは嫌いだ。僕のように誰にも頼らず一人で研究して来た僕とは大違いだな。」

「D、お前は何か勘違いをしていないか?

誰が100%わかりあえるといった。そんなのできるはずがない。Dお前こそ、変な理想主義者じゃないだろうな。100%自分以外の生命体を理解できなくて当然だ。だいたいでいいんだ。だいたいで。」

Dの顔が少し引きつる。

「へえーD、機械人間のお前でもそんな顔するんだな。いいぞ。」

「なんだ、バル。お前のその、偉そうな態度は気に入らない。」

「気に入らなくて結構だ。これが僕だ。本来のそのままの生命体の僕だ。それにD・・・」

Dが「ちっとしゃべり過ぎた。軽い敵陣の視察だったのに・・・じゃ近いうちに開戦だ。」

白い霧と共にDは消えた。

僕はベットから飛び起きた。

「Dか楽しくなって来たぞ。わあー!」

ケブン、ギルが真っ先に部屋に入って来た。

「大丈夫ですか?」

「バル、何があった!」ギルが叫ぶ。

「たった今、エンド、アボレイ星の王、Dが来た。」

ケブンが驚く。「なんですって!」

「大丈夫だ。問題ない。楽しくなりぞ。

戦闘開始だ。」













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