第63話 とりあえず到着

道から外れかけの僕はジルに助けられる。

「ジル、助けてくれてありがとう。」

「助けれる奴が助けただけだ。たいしたことはない。それにさっきは、ハルトが道から外れそうになった。見えていたのは、お前だけだ。お前は助けた。同じことだ。」

「そっか。だが礼は言っておく、ありがとうジル。で、この道、歩かずにいつもの宇宙空間のように空間移動で古代宇宙嵐モンズ星まで飛べないのか?その方が早くて確実だ。それにこの世界、宇宙は無からジルがすべて造り出したんだろう。」

「バル、その通りだ。この道も俺様が造った。しかし、両サイドの暗やみは俺様は造っていない。」

「はあ?どういうことだ。この空間全部、ジルが造ったんじゃないのか?」

「もちろん、俺様が造ったが、両サイドの暗やみは、あとからできたものだ。厳密にいうと、この全宇宙の生命体のダークな心が造りだしたものだ。だから数億のいや、数兆の個々がひきめきあっている。無法地帯だ。地球人的に言えば浮かばれない心。そのかたまりだ。だから形がない。ただただ暗くて深い。それだけだ。感じないものには感じない。見えないものには見えない。ただそれだけだ。

それにこれは、ハルトのような地球人だけではない。現にバル、宇宙最強の宇宙嵐モンズ星人のお前が、暗やみに引っ張られた。どこの星の星人にも共通に暗やみに引き込まれる可能性はある。これまでも何度も言ったが、この宇宙は俺様が造ったが、今も一方向へと扇状に宇宙は広がり、伸び続けている。たぶん終わりはなく、広がり続けるだろう。そして、時に俺様よりは劣るが、賢い星人が現れ、たまに時間移動をして、星々の住人を驚かせる。時間移動はある程度の知識があれば誰にでもできる。理論上であれば辺境の地。地球人でさて、すでに手に入れているはずだ。

ただ実行となると簡単ではないようだ。ただしゼロではない。」

聞いてはワカがこの話に食いつく。「ねえ、ジル。今の話、ほんと?」

「ほんとさ。現に時々、地球にUFOとか、宇宙人とか、みんな騒いでいないか?

稀に本物が混じっている。それに明らかに過去に人物が現在に来てみたり。まあ、ありだ。」

「ジル見極めは?」

「ワカ、今は言えない・・・時は近い。しかし、ワカ今、現在、君はすでに時空空間移動をしている。自分で体験したことがすべてだ。自分を信じろ。」

「えーっ?なんだか、ジルに本題をはぐらかされた気がするけど。まあ、いいっか。でもジルが言ったように今はこうして、自分の足で地球を離れて次元の違う時空空間の道を歩いている。これが現実。そうでしょ、ジル。」

「そうだ。これが現実だ。ワカは、ワカの足で時空を歩いて俺様の星。この宇宙のはじまりの星、古代宇宙嵐モンズ星に向かっている。すべて事実だ。」

「そうだね。」そう言ってワカはピョンピョン足元を確かめるように上下に跳ねた。

ハルトも跳ねだした。みんな、なぜか跳ねだし、自分自身の足元を確認している。

ジルがみんなの跳ねている姿をみて僕に言った。

「生命体は時に自分の居場所を見失う。今いる場所が安全か、そうでないか。あるいは、自分にとって必要な大事な、居るべき場所か否かは地面の上で跳ねれば、わかる。自分のいるべき場所でない時、足元は崩れ去る。少しでも揺らぎを感じたら逃げろ。」

ジルの顔が真剣に話している。

たぶんこの話は大事なことだ。だかこのジルの話がみんなに届いたかどうかはわからない。ただただ、みんな子供のように跳ねだしている。足元に揺るぎはない。この道で間違っていない。

ワカが飛びながら「ジルの話、聞いてるよ。」

みんなも飛びながら「聞いてる。」「聞こえた。」ギル、ポップ、クレア、

アンにルナたちの顔も子供みたいだ。ピョンピョン跳ねてる。

ジルが叫ぶ。「もしその場所にいて、迷いが生じたときは、地面に触れろ、手で感じろ。違和感を感じたら即逃げろ。言ったからな。」

僕はジルに「なんか、地球人ぽいな。手で感じろなんてさ。」

ジルが腕組みをしながら「だから、バルはまだまだ未熟なんだ。手の指先には電磁波を感知するセンサーがどの生命体についている。触れればすべてはわかる。常識だよ。バル。お前は勉強不足だ。星に着いたら、みっちりと俺様が教えてやる。」

「えーっ。ここまで来て勉強?地球でも今は夏休みなのにー。」

ピョンピョン。

エルダが人型から急にウサギの姿に変身。先頭にたち、みんなよりも高く跳ねだした。ピョンピョン。「あっ、見えて来たぞ。あれだ。」

ジルが宙に浮く。「あれだ。みんな着いたぞ。あれが、この宇宙のはじまりの星。古代宇宙嵐モンズ星だ。」

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