第64話  ここははじまりの星・ジル

まぶしい光が僕らを照らし。”一歩”

「きれいだ。」思わず口から出た言葉だ。ジルが僕をチラリ見た。

エルダが「久しぶりに来たが、やっぱりいいところだ。故郷、宇宙嵐モンズ星はいいなあ。そう思わないかジル。」

「そうだな。」

エルダが「しかし、相変わらず変わらない。50億年前ジルがジルのコピーとして俺様を造りだしてから長い時間この景色の中、2人で過ごした。何も変わらない。変わってはいけない。楽しかった。ジル。俺様を生み出してくれてありがとう。」エルダの声が少し小さくなる。

僕は2人の間に入ってた。「エルダ、お前いつから“俺様”キャラになったんだ。」

エルダが「そっか?」

「まあいい。」

僕は大声で。

「草がふかふか、みんな、競争だ。」ゴロゴロゴロと転がる。

ワカが真っ先に緑の草の上の寝転がりゴロゴロゴロ。ゆるやかな坂を下る。

「わーあ楽しい!ミリ、みんなもおいでよ。」

ゴロゴロ転がりながらみんなを呼ぶ。「楽しい。」

アンは「目が回りそう。」続いてルナ。転がるのが、好きらしくはしゃいでいる。

ギルとタクはすごい回転力で転がり競争している。クレアも回る。

ハルトとアビビは途中でゴロンと上を向いてポップと3人寝そべっている。

ふかふかの緑がどこまでも続いている。

「ジル、この緑はどこまで続いているんだ。」

「ずーっと先まで。」

「そっか。」

エルダもジルも「この星でこんなにぎやかな光景がみられるなんて、不思議だな。」と話している。2人の姿が少し遠く感じた。

僕は寝そべって草を摘んだ。緑の苦い匂いが、鼻をつく。嫌いじゃない。

僕はジルに「ジル・・・」いいかけてやめた。

僕は空を見て目を凝らす。青い空にモクモク雲、レインボーの半円じゃなくて丸い虹?ヘンテコだ。「プッ、なんだあの虹は?」太陽は?丸い太陽が3つもある。マンガのようにニコニコの顔つき太陽だ。僕は辺りを見回した。大きな木の幹にもニコニコ顔がある。

「ジル、ここの太陽や木には顔があるあれは?」

「見ての通りだ。顔があるってことは、話せる。バルと一緒さ。特に問題ない。」

僕はだまされたつもりで気の幹の顔と話す。「君は木?」

「木だ。見ればわかるだろう?」「そうだな。君は木だ。」

「えーっ、なんで木がしゃべるんだ。」みんなも集まってくる。

ハルトが「太陽にもニコニコ顔があるし、ほんと、ここは本の中か、マンガの中だな。」

ワカが、「そうだね。でも楽しい。ほらこの花もきっと歌うんだろうな。花さん、歌って。」

ワカがお願いすると花は歌いだした。ミリも「何、これ。楽しすぎる。」

冷静な月人、姉妹も花畑ではしゃいでいる。

「花さん、花で冠をつくって。」出来上がった、花の冠をクレアの頭にのせる。

「クレア、綺麗よ。似合ってる。」ワカとミリが入り込む「ずるい。私達にもつくって。」女子トークで盛り上がっている。

ギルが「喉がカラカラだ。水をくれー。」

空からモクモクモ雲が一つ分離してギルの頭の上に次の瞬間「ザーッ」滝のような水が降ってきた。

「なんだよ。こんなたくさんはいらなよ。」

「ハハハハー。」みんながケルケル笑う。

ジルが「こうやるんだ。喉が渇いた。氷ありの冷たい飲み物を。」

パッとジルの目の前に氷入りのレイコが。いや、間違えた。アイスティーが現れた。

みんながマネをする。

アビビが「すっげー!ジルこれって、もしかすると、言葉に出すとなんでも出てくるんのか?」

自慢げにジルが「そうだ。言葉に出したものは、この空間ではそのまま形になる。」

みんなが喜び歓声が上がる。その歓声に紛れて、ジルの目が曇ったのを僕は、見逃さなかったなか。

「ジル、」声を出したが、エルダに止められた。

僕は目を凝らした。緑の向こうに嵐のような渦が見えた。

「ジル、あれはなんだ?」

「あの渦か。あれはこの星、宇宙嵐モンズ星のはじまりの場所だ。」

僕は真面目な顔で「大事な場所なんだな、ジル。」

すぐさま、ジルはいつものネズミに変身。「ポコン。」げんこつ。

「バル、何をしけた面しているんだ。あそこは人間で言うとへそだ。単なるへそだ。」

しかしジルの向こうにいるエルダの顔が少しだけおびえているように見えたが。

すぐに僕に振り向き「バル、へそだ。」

無理やり笑うエルダの顔。

後ろで笑うみんなの声。

あの渦は。





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