第61話   別次元の誘惑のトラップ・ハルト

ワカの感はすぐあたった。前方を歩くハルトが急に立ち止まっている。みんなは気づかず、ハルトの横を通り過ぎて行く。ハルトの位置だけ次元が違うようだ。

ハルトがだれかと話している。「それはできない。言えない。」

「どうしてさ。君はワカのことが小さい頃から好きなんだろう。じゃあ、早く告白したらいいじゃないか。何をためらっているんだ。今のまま、口にも態度にも表さないと永遠にワカにハルトの気持ちは伝わらない。それでいいんだな。」

「良くない。」

「じゃあ、言えば?伝えろよ。」

「言えない。ワカはバルのことが小さい頃から好きなんだ。バルはワカの気持ちを知らない。バルは同じクラスのアンのことが好きなようだ。」

「じゃあ、好都合じゃないか。告白しちゃいなよ。どうした?ふられるのがこわいのか?」

「いや。こわくない。」「じゃあ、なぜだ。」

「ワカとはこのままの関係でいたい。このままだとずっと近くに居られる。近くでワカの相談もきいてあげれる。守ってあげることもできる。」

「へえー、それでいいんだなハルト。見ているだけで。案外、臆病な少年なんだな。」

「違う。ワカのことは好きさ。でもバルのことも僕は好きなんだ。僕が言ったことで3人が気まずくなること避けたい。」

「それもわがままな話だ。」

「恋愛に多いが誰かは絶対に傷つく。これは避けられない。この宇宙に二人だけしか生命体が存在しないであれば傷つくことは、いない。しかし今はどの星もかなりの数の生命体がいる。本人が知らないところで誰かが傷ついている可能性は高い。仕方ないさ。それでも自分の気持ちを隠して生命体としての時間を過ごすことは、大変だ。特に地球人は宇宙の中でも生命体でいる時間はとても短い。急げ少年。奪え少年。」

「確かに君の言う通りだ。しかし・・・」

「ハルト、ではこれは。ハルトの目の前にワカがにっこり笑って、手を伸ばしている。”ハルトとこっち、こっち。早くこっちへ来て。ジルの古代宇宙嵐モンズ星なんか私達地球人には関係ない。どうして、私達の故郷でもない人たちのために手伝わされるの?2人でこの世界から抜け出しましょう。”ハルトはワカの声に手を出しそうになったが。

”違う。”ワカは2人だけでとは言わない。ワカはいつも自分のことより他の友達のことを考える。たとえどんなに魅力的なことがあったとしてもそういうことをワカは言わない。だからその手は握れない。君はワカではない。」

「なんだ。バレたか。悔しいがハルト君は真面目ないい子だ。君の恋が叶うことを願っているよ。なんてことを言わないよ。」

黒い人型の物体がハルトの腕をつかみ、道から外そうとしてる。

ハルトが「やめろ。僕はこの道をまっすぐ行くんだ。仲間とみんなと一緒に。」そしてハルトは黒い人型を蹴り飛ばした。

僕も駆けつけ「ハルト、大丈夫か?」

ハルトは何もなかったように「僕は大丈夫だ。問題はない。」僕に答える。

黒い人型はスーッと消えた。

ハルトが「バル、僕が君の故郷。古代宇宙嵐モンズ星まで君を必ず連れていくよ。バル、ワカもいる。幼なじみがついているよ。」

「そうか。それはうれしいよ。頼む。ハルト。」

「任せろバル。」そしてハルトはみんなの列に戻り歩き出した。


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