第60話  古代宇宙嵐モンズ星へ突入

僕らは山のてっぺんへ。光る水の線が月と星の明りキラキラ透明に輝いている。

ワカが「こんなに綺麗な輝きはじめて見たよ。ジル、これは水?それとも何?」

もちろん僕もみんなもワカ同様に水の線の輝き、美しさに感動している。

ジルが「地球側の次元で見ると水だ。しかしこの水は同時に時空空間線も兼ねている。光は月明かりのせいもあるが、時空線の輝きだ。

みんな、中に入るぞ。俺様が水の線の奥のもう一つの扉を開ける、ぬれる前について来い。ここが古代宇宙嵐モンズ星への入口だ。」

ジルは水の線の中に消えた。つづいてワカがつづいた。

ミリが「ワカ姉さん待ってー。」追いかける。ハルトも続く。ルナにアン、アビビにポップ、クレアが入っていく。

僕は入口で一人一人確実に入れるように待機。

次はタク。タクが立ち止まる。「バル。入口の中、期待もあるが正直、こわい。」

僕は大きなタクの背中をたたく。「大丈夫だ。問題ない。タク、アビビは先にいったぞ。アビビを守るんだろう。タク、お兄さん。」僕はタクをちょっとからかった。

苦笑のタクが「そうだな。小さいアビビはもう中に入ってるんだな。僕も行くよ。」

タクが水の線の中に入った。

続いてポップにギル。「バル、先にいってるよ。早く来い。」「あー。すぐ行く。」最後はエルダだ。「バル、行くぞ。お前の星だ。」

「そうだな。」僕は後ろを振り返った。山のてっぺんからの夜空は近かった。手を伸ばせは月も星たちもつかめそうだ。よし、行こう。僕は水の線の中へ入った。

地球側の水の線がスーッと光って消えた。中に入る。暗いが目はすぐ慣れた。

すぐ前にエルダ。そしてみんなが歩いている。

"飛ぶんじゃないんだ。歩きか?想像していたのと違ったちっと拍子抜けだ。"

"そうね。バル、私も飛ぶって思ってた。”ワカの声が脳内に。

次にアンの声が”そう、私も。”アビビも”僕も宙に浮いて、久々の彗星のように飛ぶって思ってた。ちっと残念。”みんな普通に脳内電磁波で会話している。

「ジル、これはどういうことなのか?」

「あー、そのことか。ここは時空の狭間だ。声も聞こえるが脳内で会話ができる。そうだな、脳内の会話がだだもれ状態。電磁波が流れていて、個人もみんなにつながっている。プライバシーはないが、ここは狭間。なんでもありだ。少しの間、着くまではこの状態が続く。」

「えー!」脳内だだもれにみんな、引いている。

ジルはつづけて「それから、みんなも聞いてくれ。今歩いている道はまっすぐ我々の星、はじまりの星、古代宇宙モンズ星へとつながっている。今はただ、まっすぐにだけ歩いてくれ。もし道を外れると無数の別次元へとつながっている。迷子どころか消滅さえしてしまう。今更だが気をつけてくれ。」

「えーっ聞いてないよ。危険じゃないの?」ミリが叫ぶ。

ジルは軽い声で「今、言ったぞー!よそ見をせずにまっすぐ歩けば、問題ない。」

「えーっ。」ミリが再びブーイング。

ワカが「なんか、今のジルとミリの会話を聞いてなんか変な感じだった。」

僕は「ワカ何が、変なの?」

「バルも聞いたことない?悪いことや不良にならないようによそ見をしないで人生まっすぐ進みなさい。勉強がんばりなさいみたいなことを良く学校の先生とか言わない?」

「そうだな。聞いたことある。」

「今、ジルがいったこと同じよね。目的の古代宇宙嵐モンズ星に着くまでよそ見をせずにまっすぐ歩きなさいって。あれはたぶんこの先、道の両サイドに私達を道から外そうと別次元の誘惑のトラップが仕掛けられているってことかも。」

ワカの感はときどき驚くほど鋭い。

ジルが「ワカ、君はすごいな。賢い地球人だ。」

褒められたワカがにっこり。嬉しそうだ。

そうして僕らはまっすぐこの道を古代宇宙嵐モンズ星へと歩いた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る