第57話 都合がいいジル
「はあ?ジル。それはあまりにも都合が良すぎる。地球中、飛び回り南米でもなく、南の島でもなくここ?タクの裏山に入口があるって。ジル、ここには大量の水は無いぞ。」
ジルは自信ありげに「そうだ。今は無い。しかし、この星、地球は星自体生きている。植物や生命体、土地までも生きている。地殻変動だ。前に話したが、目印として宇宙嵐モンズの強い電磁波を残してきたと。」
「そうだな。ジルはそう言ってな。」
「この山に入ってから宇宙嵐モンズの電磁波をずっと感じていたがそれはお前、バルの放つ電磁波だと思い込んでいた。それに、私ほどの電磁波をバル、お前はまだ作り出せない。ということに気づいた。」
「ジル、それ僕をバカにしてないか?」横でエルダがケラケラ笑う。
「エルダ、君も失礼だぞ。」
「これは悪かった。次期モンズ星の王だったなバル。」
「で、どうしてここだと。ここのどこが。あそこだ。山を登ってくるときに山のてっぺん近くに小さな水の流れの線が見えた。」「滝か?」「そんな大きな水の線ではない。とても細い線だ。遠かったから気にしなかったが。」こうやって今、日が完全に沈み暗やみの中、星の光の照らされ、あの水の線が大きくなっている。見覚えのある景色だ。あの日この地球に出て来た時も夜だった。満天の星達。とてもきれいだった。自分で言うのも何だが、そのきらきら輝く星達を造ったのはこのワ・タ・シだがな。天才だ。さすがジル様。」
「ジル、自分で自分を褒めるなキモいぞ。」
エルダが「ジル、偉い偉い。」ネズミの姿のジルが可愛いうさぎのエルダに抱き着く。「ポコン。」あえなくうさぎエルダのグーパンチが。
僕は「まあまあ、二人ともじゃれないで。ジル、本当にここなのか?入口は。本当ならことは早い方がいい。」
「そうだな。」ジルが人型に変身。つづいてエルダも人型に。
「ブーン。」僕の肩にカブトムシが止まった。
僕はカブトムシをつかまえた。親指と人差し指がうれしさでふるえる。暗やみの中、ライトでカブトムシのカラダか光る。やっぱりカッコいい。
「エルダ、これが僕が大好きなカブトムシだ。どうだい?」
エルダが「バル、カッコいい。カブトムシは本当にかっこいいな。バルが大好きなのもわかる。僕も僕自身で捕まえたい。」
「そうだろう、エルダ。」
ジルが「バル、カブトムシもつかまえたことだし、そろそろ俺様は古代宇宙嵐モンズ星の入口に行く。時空空間を超える。」
「そうだな。カブトムシは僕の手の平の中だ。みんなを呼ぶぞ。
おーい。みんな、来てくれ。」
ワカが一番に僕の声に反応する。「どうしたのバル!カブトムシ捕まえたの?」
僕は大声で「そうだよ。カブトムシ捕まえた!」
「わー!すごい。」喜んでくれているワカの気配を感じた。
散らばってカブトムシとりをしていたみんなが僕の方に集まって来た。
ギルが「僕が先に捕まえてクレアにプレゼントしようと思ったのに。でも、バル、はじめて見たがカブトムシってかっこいいな。」
「そうだろう。」
遅れてタクとアビビが来た。タクたちもカブトムシを捕まえたようだ。
遠巻きでルナとアンがカブトムシを見ている。ルナが「あら、意外とかっこいい姿よね。」アンも「そうね。意外とカッコいいかも。」
ポップもみんな集まった。
「みんなに話がある。カブトムシもそうだが。見つかったんだ。古代宇宙嵐モンズ星への入口が。ジルが思いだした。」
「それはどこだ?」真っ先にギルが聞く。みんなの目と耳が僕の言葉に集中する。
「ここだ。入口はこのタクの山。てっぺだ。」
「えっーーーーーここ?」
僕、ジル、エルダの3人は「うんうん。」と首を縦に上下させ、山のてっぺん光る水の線をを指さした。
「あそこだ。」
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