第56話   宇宙空間より帰還・夏休み

時間はあの日に戻り、日常がはじまる。

しかも都合がいい事に記憶は、みんなしっかりある。さすが宇宙創設者ジルだ。

僕らは、カブトムシとりをはじめる。見たことがないとアビビは興味深々。タクについてまわる。タクも嬉しそうだ。ルナは双子の妹アンと夏休みを過ごそうと2か月こちらに滞在。虫は苦手だと少し離れてライトを2人で握りしめている。僕に言わせれば、動かずじっとライトを持っている方が虫が寄って来るのになと思うが,

アン達のきゃあーと叫ぶ声が聞きたくて、あえて黙っている。悪趣味だ。僕の悪い性格ブラック・バルが顔を出す。

ゼリさんはケブンさんと、要塞ベルシアでバカンス。妖星ケルと娘バムはケル星に帰還。時間が動き出したため、この宇宙の監視の続行と彗星の管理。ミリもゴールキーパーの大好きな少年ケンタよりワカと過ごすことを選び、ここに滞在。カブトムシは、ミリにハルトが捕まえてやると宣言。ワカに激励を受けながら一生懸命探している。

ギルもクレアに捕まえてやると張り切っている。たぶん僕の予想じゃ、クレアの方が先に見つけそうだ。ポップは先生らしく、捕まえた虫を標本にしてケル星での学校の教材にするんだとせっせと虫をかごの中に。

そしてジルにエルダもいる。

ジルが「バル、どうだい、地球は?」

「悪くない。ジル、僕は地球人じゃない。しかし、この地球がとても気にいっている。

ジルが探している古代宇宙嵐モンズはこの地球より平和でいい星なのか。」

「もちろんだ。俺様が最初に造った理想の星だ。素晴らしいに決まっている。」

「そうか。ジルの理想の星か。2か月後、楽しみだな。早く行ってみたいな。ジルの星。入口は南米ペルーのナスカじゃなかった。残る候補は?思い出せ、ポンこつネズミ。」

「ポン。」ジルがネズミに変身。エルダもつられて「ポン。」うさぎに変身。エルダのうさぎは本当に可愛い。“ほらね。”ワカが一番に見つけてぎゅーっと抱きしめている。「可愛いー!何、この真っ白いふわふわ。ぬいぐるみみたい。」

ハルトがまたワカをチラリと見ている。ミリもエルダうさぎをなでなで嬉しそうだ。

ネズミに姿を変えたジルに僕は、「ジルどうして古代宇宙嵐モンズ星へ戻りたいのか。そこがお前の理想の星だからか。お前が前に言った

”はじまりがあれば終わりがある“あの言葉が気になる。」

「ポコン」ネズミのジルのげんこつが僕の頭に

「バル、小さなことを気にするな。それにこの宇宙を造った天才的ジル様は50億年ほど存在している。」

「神様?」

ジルは横を向いて「神?神より偉い。私はもっと別のものだ。はじまりの私は正に”無”に近い状態だ。手を出せば、カラダが透けそうにペラペラだ。まるで張りぼてだ。仮に消えたとしてもお前がこの全宇宙を支配すればいい。次期王はお前だ。言ったはずだ。」横でエルダもうなずいている。「僕もほぼほぼ、ジルとおんなじ歳だ。僕のカラダもペラペラだ。」

「エルダ、ジル。僕でいいのか。弟のラコーニは野心がある。譲ってもいいのかと思うが。」

エルダが「バル、君はバカなのか。次期王どうぞ譲りますって言われて、ラコーニがわーい。ありがとう。なんて言うわけないじゃないか。逆に傷つける。バル、ジルは、お前を選んだんだ。自信を持て。」

僕は「じわり責任の重さを感じた。この宇宙は果てしなく広い。やるしかない。

僕の仲間が、すべての宇宙空間に存在している。仲間を星達を僕は平穏に暮らせるようにアシストするのがきっと国王なんだろうな。」

エルダが「そうだ。その通りだ。」

「そういえば。」ジルが何かを思いだしたようだ。「ジル、どうした。」

「思い出した。古代宇宙嵐モンズの入口を」

「それはどこ?ジル。琵琶湖か?ルナが軽い電磁波を感じるといっていたが。」

「そうだな。琵琶湖ではない。琵琶湖の電磁波は琵琶湖の主。龍が出している電磁波だ。」「じゃあ、どこなんだ、入口は。ジル。」

「入口はここだ。このタクの山だ。」

「えっ?ここ!」


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