第54話 ギラル星に着陸

僕らはラコーニの基地。ギラル星に着陸した。地球によく似た景色の星だ。地面に土。空は青いが酸素が薄いせいか地球より色が薄い。植物も生息。こちらは形状が少し違うようだが基本、緑の葉で光合成で育っているようだ。

僕はラコーニに

「ギラル星は、きれいな星だな。」

ラコーニにが目を輝かせて。「そうだろうバル。見てくれ。このヒマワリを。葉がこんなに濃い緑だ。光合成のおかげだ。茎もしっかりしている。そして何より空の太陽の方を花達は規則的に向いている。以前のブラックホールダーク星には人工太陽しか、なかった。数はあったが所詮人工だ。光合成にも限りがある。今この星は最高に美しい。キャプテンKもそう思うだろう。」

「はい。おぼっちゃま。その通りです。この星は美しいです。」

僕はラコーニの前に立った。「しかし、この景色はぼくらから奪った太陽から

できた景色だ。美しいが、やはり美しくない。泥棒だ。」

「バル、泥棒とは少々言葉が悪いですね。

状況を考えられた方がいいかと思いますよ。お兄様。バル。」

「そうだな。ここはラコーニお前の星だったな。」

ラコーニが「では、私の要塞へようこそ。」

僕らはラコーニの要塞へ。入った途端に違和感が。

まぶし過ぎる。あらゆる角度、箇所に照明が。

たぶん長いことブラックホールダークの中に存在した星だ。光を欲していたのだろう。

ジルが「人間も同じだが、生命体は無いものを欲す。

そう、脳内を構成させた気がする。」

僕はジルに「そうだったな。この宇宙はお前が全て造ったんだったな。」

ジルは続ける。「そして欲深い。」

エルダが「そうだ。欲深い。太陽を手に入れて、ラコーニはすべてを手に入れた気になっている。勘違いだ。」

「そうだ。勘違いだ。さて次は、何をラコーニは、欲するのか。見ものだ。」

なぜか、ジルとエルダは余裕だ。

僕らは要塞内へ奥深く入って行った。

要塞内の中央、大広間。天井には眩いばかりの光のライトがデコレイションされている。

アビビが「なんだここは?」

ギルも「ケル星の火球も眩しいがこのライトはなんだ!」

月人のルナには眩しすぎるようだ。どこから持ってきたのかジルがパラソルを

ルナに渡した。「これで少しは、ましだろう。」

「ありがとう。ジル」

そして僕らは中央のテーブに着いた。

たくさんの兵士ではない使用人が忙しく僕らにもてなしのコーヒーをふるまってくれる。

僕も一口。「苦いが味が重く時間差でうまみが来る。おいしい。」

「ラコーニ、このコーヒーはこの星でとれた豆を使ったのか?おいしい。こんな美味しいコーヒーは、はじめてだ。」

エルダが「このコーヒーはブラックホールダークで良く取れるコーヒー豆の木だ。

太陽の光ではなく人工の光を当てている。弱い光の長時間栽培でコーヒー豆の実が木になった状態で濃縮され熟成される。外気にさらされていないため乾燥もせず保存もできる。久しぶりに飲んだ。とてもおいしい。」そう言ってエルダはコーヒーカップでラコーニ、キャプテンKに向けて乾杯。

「苦い。」アビビとルナには豆が強すぎるようだ。ギルは僕と同じで気に入ったようだ。

そして僕は立ち上がり「ラコーニ、キャプテンK、ゆっくりしたいところだが、我々の地球も今はピンチだ。太陽がなくなって光合成をできなくなり、植物も、海も危機的状態になっている。生命体が消える。早速の提案だ。太陽を次元空間の中央に置き

シェアさせてほしい。」

ラコーニが「それで我々に何かメリットはあるのかな?」

「ある。」

キャプテンKが「ラコーニ様。これは罠です。太陽をシェアなんていけません。やっと我々の星に光が来た。手放してはいけません。」

僕は「ラコーニ、君の星の生命体や動植物は暗やみで生命体として維持されて来た。確かにヒマワリのようにすぐに順応する花もあれば光が強すぎて枯れた植物もあるはずだ。太陽をシェアすれば、12時間ずつ光合成ができ、光の吸収バランスも取り過ぎずに飽和状態も回避できる。どうだ、我々と太陽をシェアしてみてはどうだ?」

ラコーニが「そうだな、正直太陽の光線が強すぎるのは確かだ。」

キャプテンKが「ラコーニ様だめです。バルの言うことに惑わされたらいけません。太陽はエネルギーも造る。そのエネルギーを我々が掌握できればこの全宇宙は我々のもです。たとえこの宇宙が宇宙嵐モンズのものだとしても我々がモンズにとって代わるのです。」

ラコーニにが「そうだった。キャプテンK。我々の夢を忘れる、ところだった。」

その時だった僕はキャプテンKの腕をまくった。腕の皮膚が崩れ出している。

驚くラコーニが「キャプテンK。」

僕は「キャプテンK、君に太陽は一番危険なものではないのか?キャプテンK、君は死人。ゾンビだ。このまま太陽の光を浴び続けると消えて消滅してします。そうだろう?」

キャプテンKは僕にとられた腕を隠しながら。「そうだ。バル、君の言う通りだ。私はもう十分生きた。今、私にできることはこの太陽をラコーニ様だけのものにすることだ。私は消滅してもかまわない。」

ラコーニが「キャプテンK、何を言っている。これまで私を育ててくれたのはお前ではないか。バル。決めた。太陽をシェアしてくれ。それも早く頼む。

僕はキャプテンKを失いたくない。」

「わかった。」

ジルが「いや、エルダ、お前の元仲間だろう。お前が話せ。」

エルダが「キャプテンK、これはあくまでも提案だ。お前を俺様も消滅させたくない。ともにブラックホールダークで戦ってきた仲間だ。太陽をシェアできればお前をバンパイアにできる。永遠の命だ。どうだ?」

キャプテンKの返事の前にラコーニが「永遠の命。頼む。キャプテンKを助けてくれ。僕はもう誰とも離れたくはない。」

ジルが僕をジ~っと見た。


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