第50話  まずはこの時空に太陽を

僕らはワカ達を救出しベルシアに到着。ケブンとゼリさんが出迎え。ベルシア島は自家発電で明るい。「お疲れ様、バル。無事、ご友人奪還だな。」

「ありがとう。それにいい知らせがある。ワカ達がいた遊園地に太陽があった。」

「太陽が?」横にいたゼさんも首をかしげる。「太陽?こんなに空は真っ暗なのに。」

僕は「もちろんこちらの裏宇宙の頭上に太陽は無い。僕が見た太陽は小さい太陽だ。いくつもある。イメージ的には小型の球体で移動型。もちろんサンプルに一つ頂いて来た。それにどうもエルダはこうなることを予測していたようで、この太陽を僕に伝えるようにとワカ達に伝言していたようだ。」

タクが「エルダはジルに似て、面白いやつだったよ。」

ハルトが「冗談は笑えないレベルで逆に笑えたけど。悪いやつには見えなかった。それにバルが来るまで遊んでてくれっていってたしな。」

僕は「この太陽について何か言ってなかったか?」

「太陽?」

タクが「核分子をコピーすればいくらでもミニ太陽は作れるって言ってたぞ。」

「そうか、核分子。」僕は脳内で計算した。「この地球、約4万km。大陸7大陸。これをすべてカバーするとすれば一体何個コピーを造らなくてはいけないのか。」

ゼリさんが「気が遠くなりそうだ。」

「しかし都合がいいことに今こちら側の裏宇宙、稼働しているのは我々だけだ。時間はジル殿が止めたままだ。かえって好都合だ。まずは足固めだ。ベルシアを照らそう。核分子をコピーをする。みんなを集めてくれ。」

ワカが「バル、人使いが荒いな。少し休憩させないとみんなへとへとだと思うよ。エルダはそんなところ、余裕があった気がするなあ。」

「そうだな、ジルがいたらきっとあいつも戦の前の腹ごしらえとか、理由をつけてパーっとおいしいもの食べてお祭りでもしそうだな。

よし、決めた。今日は祭りだ。3人も帰ってきたし祭りだ。祭り。エルダの戦士にのもみんなに伝えてくれ。」

脳内電波でクレアやポップ率いる生徒たちルナやケル、バムみんなに祭りの伝達がなされた。

”バル、いいアイデアだ。みんなの脳内からアドレナリンがでている。”

僕の脳内にジルの声が。「ジル!」叫ぶが返事がない。

気のせいか。「ばーか、ここにいる。ブーン。虫?」目の前にカブトムシがいる。

「カブトムシがしゃべったあー!」

「俺様もいるぞ。ブーン。」こっちはクワガタムシだ。

僕らの目の前にジルとエルダが虫に変身して現れた。

「どうした?二人ともラコーニに消滅させらせたんじゃないのか?」

ジルが「そうだな、ラコーニにがあんな破壊の光線を使えるとは?バル、お前の弟はすごいな。」

「ジル、何を言っているんだ。そのラコーニに消滅させられたのはそっちだろう。

宇宙嵐モンズ星の現王の名が泣くぞ。それにクワガタムシのエルダ。お前もだ。ぴょんぴょん可愛いうさぎに変身なんかするからラコーニに舐められるんだ。お前たちふたりとも老いぼれとか言われて、ばかにされてたぞ。」

ジルとエルダはブーンとくるくる飛びながら「大丈夫さ。わざと負けてやったんだ。老いぼれのふりをしてただけさ。」

「何を言ってるんだ。負け惜しみにしか聞こえないぞ。」

エルダ「そうとも限らないさ。ワカに託したんが。太陽のこときいてない?」

僕は「エルダ、太陽は聞いている。裏宇宙に太陽があるとは驚いたが小さすぎる。

7大陸を個別に照らすには問題が無いが僕はこの裏宇宙全体を照らした。そのために大きな太陽が必要だ。」

ブーンと回転しながらエルダが「バル、個別の太陽でもいいんじゃないか、これまで50億年それで俺様はやってきた。それにお前の弟、ラコーニにもこちら側で個別の太陽に疑問はもたず、過ごしていたようだが。しかしラコーニには結局、この小さな太陽に満足できず表宇宙を乗っ取った。」

僕はカブトムシのジルを指でつつきながら「まあ、今は、僕らは裏宇宙にいる。表宇宙を取り返せば話は終わる。しかし、今はここにいる。ここを照らす。ここに太陽を造る。これが僕の今、一番やりたいことだ。」

僕は、みんなを見渡した。「みんな、手伝ってくれるか?」

「おー!」歓声が上がる。

ワカが「でもまずはお祭り、パーティーよ。」ミリがワカに抱きつき「きゃー楽しそう!」

クレアも「キャー!!お祭り!」お祭り!」

ギルもポップも歓声を上げる。アビビは「お帰り。タクー!」とタクをつかまえる。

バムもルナを許したのかアンも交えて「じゃあ料理にケーキ作ろう。」

みんな、ウキウキしている。みんなの熱気が伝わる。

「今できることは今しよう。なあ、ジル、エルダ。」



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