第44話  ドッペルゲンガー・エルダ

ジルはエルダの提案を受け入れた。

ギル、クレア、ポップは僕達と

少し離れてエネルギー源、水の有無などを確認していたがエルダの脳内電波で話は分かっていた。

戻ってきた3人は、

「ジル、ほんと大丈夫?」クレアが言う。

「まあ、な。それより地質調査は、

どうだったかな。」

ポップが、地球までとはいかないが、かなり近い星のようだ。」

「そうか。やはりな。」

ギルが「ジル、戦闘体制になった場合の準備は整っている?」

「大丈夫だ。それに君達がいる。」

ジルが大人3人を見る。

ケルが妖星ケルの威厳の赤エネルギー電磁波を放ち、

「ケル星の名誉にかけて、みんな戦闘体制をとるように!」

「おーう!」

「ケブン後方は任せた。ゼリ生徒達を頼む。」

「大丈夫。これでも初代ケル星最強戦闘姫と呼ばれてたのよ。」

ギル、クレア、ポップがジルに駆け寄る。

「援護します。」

「大丈夫だ。後方を頼む。ミリ、アビビ、アンは戦闘体制を知らない。」

ジルはルナ姫を見て「君にも後方援護を頼む。」

「はい。戦闘は慣れています。大丈夫です。」

「えっ?」アンが驚いた表情をしている。

「では、はじめるとしよう。」

ジル、ケル、僕は前線へ立つ。

ポップが言っていたように地面には土があり、乾きがあるが地球に似ている。

突然「ザー。」大量の電波音が鳴る。

砂埃が舞い上がる。

静かに人型、3人が正面に現れた。

真ん中の彼がエルダだ。間違いない。カラダから放たれる電磁波の量が半端じゃない。

耐久能力がない生命体が近づいたら、間違いなく消滅してしまう。

ワカ達は大丈夫だろうか。場の空気を読まず僕は口走る。ジルを差し置いて。

「エルダ、ワカ達、僕の友達は本当に大丈夫か。」

エルダが「やれやれ、次期宇宙嵐モンズの王はせっかちだな。」

「エルダ、どうなんだ。」僕は強気で言い放った。

「心配しないでいいよ。ほらね。」

巨大なスクリーンが宙に浮いている。

ワカ、タク、ハルトが自由に建物内を歩きまわっている。苦しんでいる様子もない。普通だ。

よかった。

「これで納得したかい。未来のモンズ王。」

「あ、友達は大丈夫なようだ。確認ができた。」

ジルが一歩前に出る。

エルダも一歩前に出る。

2人の顔がつきそうなくらい近づく。激しい電磁波が砂埃を舞い上がらせる。

ドッペルゲンガーどちらか弱い方が消滅?

「ジル、久しぶりだな。50億年ぶりだ。」

「そうかー?」

ジルは退屈でもう1人の自分を生み出したと言っていた。50億年ぶり?ジルはどんだけ寂しがり屋なんだ。エルダが生まれたのは、この宇宙が造られてすぐじゃないか。

「ビリビリビリ」

お互いの電磁波が反発を始めた。

「じゃ、ジル、闘うとするか。」

「やめるって気はなさそうだな。」

「じゃ、はじめますか。」

いきなり高速の光線が僕を狙う。

ジルはエルダと。僕は目の前、ロン毛の少年と。ケルは巨人族と思しき戦士と。光線が宙を交差する。

エルダが声を上げる。

「全戦闘員、攻撃開始!」

ブラックホールダーク部隊の戦士達の光線が容赦なく後方ギル達を襲う。アンは大丈夫だろうか?「君、余裕だね。それとも僕が弱いと?」

敵の少年の光線は早い。両手クロスの防御も追いつかない。光線が僕の腹にまともに入った。

「ペッ」口の中から血を吐き出しす。

「ふざけるな少年。」

痛いはずなのに僕のカラダが喜ぶ。僕は変なのか。僕の全身からエネルギーが飛び散る。

“楽しい”ココロから思える。宙に浮いたまま高速で移動してるせいか。どうやら僕は本当に狂ってきたようだ。

僕は遠目でジルとケルを見た。

激しい戦闘だ。しかし彼らもまたこの戦闘を楽しんでいるようだ。

みんな狂っている・・・

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