第43話  時空・ブラックホールダーク部隊と対面

僕達は一つの星に立っていた。

座標78W34Nの裏だ。座標78N34W。こちら側は存在する星だ。前回妖星ケルとの対峙に使った地点はブラインド空間。地に足がつかない空間だった。

今度はしっかりと地面に足がついている。僕らは全員無事に着陸している。

ジルがみんなの確認する。「大丈夫か?」

元気なミリが「ジル、大丈夫よ。時空空間移動あっという間だったわ。カラダもスライムだったからすべての気圧、風圧、無重力みんな、カラダが自由に反応できて、クラゲみたいで楽しかった。」

「それは、良かった。」

アビビは少し気分が悪い、船酔いみたいだと、月人アンと座り込んでいる。

「他の者は大丈夫かな?」ジルが見渡す。

大人のケル、ケブン、ゼリさんは全然平気なようで周辺状況、安全確認をしている。月人のルナ姫も同様。ルナ姫は戦闘員のようだ。慣れている。

ケブンが「ジル殿、この星は特殊磁場もなく安全のようですが。すぐに攻撃されてもおかしくない状態ですが。我々の着陸も敵は把握済みですよね。」

「ケブン、その通りだ。こちらの行動はすべて敵に監視されている。と言うことは、即、戦闘を敵は望んでいない可能性がある。」

「しかし、敵はワカ達、僕の友達、地球人を人質として連れさらった。油断は、できない。それにジル、ブラックホールダーク部隊とは何者なんだ?この宇宙はジル、お前が造ったんだろう。」

「そうだ、そのとおり。この宇宙は私が無の中から生み出し無のなからすべてを造った。約50億年前、私は暇だった。1人で長い時間を過ごしていた。特に不自由もなかった。前に話したが地球、月はすぐに造った星だ。次にケル星とその後、星の数は自然に増えていった。そのころ同時にもう一人の私が誕生した。誕生させてしまった。造ったのは、私自身だ。」

みんなが、えっ、固まった。

「ブラックホールダーク部隊はもう一人のジル?」

「そうだ、能力、思考もすべて私自身だ。しかし、我々は同時に対面することができない。」

「ジル、どういうことだ。」

「私と、もう一人の私はプラスとマイナス。出合うとお互いの強力な電磁波が衝突して破滅してしまう。もっと分かりやすく言うと、地球で言うところのドッペルゲンガーのようなものだ。同じ人間が同じ空間に存在すると、どちらかが消滅する。あれはお互いが持つ真逆の電磁波がぶつかり合い、弱い電磁波の方が消滅してしまう。あれだ。」

ミリが「でも、ジルが創設者だから、ジルの方が強いんでしょう。」

ゼリさんが「残念だが、そうとも限らない。心情的には始まり、本家が勝つと言い切りたいが、実際には電磁波を衝突させてみないと分からない。」

ルナ姫も「ゼリさんの言う通り。始まりを打ち負かして2番手のコピー達が色んな場面で勝ちあがっているのを見てきた。そして2番手は3番手、4番手に負けていく。そしていつしか、どれがほんとの始まりかわからなくなる。それに外野達は、ほんとのはじまりじゃなくても構わない。こわいけど、これが普通かもしれない。」

アンが「そんなのおかしいよ。」

僕は「そうだね。おかしいけど。気づかなければ、ほんとの一番目か3番目か違いはわからない。わかるのは本人だけさ。そうだろう、ジル。」

「そうさ、そのとおり。バル、少し賢くなったな。偉いぞ。」ジルが僕を子ども扱いする。

「ギー!!」電磁波の音が頭の中に流れ込む。かなりの高音だ。

「いたー!」アビビも叫ぶ。

「これはなんだ!」

「ようこそ、ブラックホールダーク部隊へ。私の名前はエルダ。ジルが生んだ2番手のジルだ。」

僕は大声で「エルダ、ワカ達は無事か!」

「もちろん、心配しないでください。彼らは無事ですよ。大事な客人ですからね。」

「エルダ、みんなに会わせてくれ。」

「そうですね、その前にジルに質問です。私と会うことはできますか?これが条件です。」

チラリとジルは僕らを見た。「いいだろう。」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る