第37話 1分48秒経過 対時妖星ケル
宇宙空間座標78W34Nを目標地点に高エネルギーの物体が向かって来る。
垂直姿勢を保つだけでも足元が揺らぐ。
見えない圧にジル以外必死で耐えている。
ジルが「この座標78W34Nはブラックスポットだ。他の星からも見えない。あのブラックホールのダーク部隊からも感知されないスポットだ。耐えろ。お前達は強い。普通のエネルギー量のものは、このスポットにいるだけですぐに消滅してしまう。特殊な磁場が存在物体を消す。」
「久々の強敵だ。クソーなんだこの圧は。ここは無重力空間だぞ。なんだこの磁場は。」
「だな。磁場のバカやろー。」強気のギルが叫ぶ。
クレアも「戦う前に消滅しそう。」
僕は叫んだ。「クレア、君は僕と並ぶケル星の戦士だろう。ケル星最強の姫。妖星破壊の力で踏ん張れ。」
「そうね。私は戦士。最強!。」
バムも黙って圧に耐えている。
「バム、お前は父親をぶん殴るんだろう。
磁場にもってかれるな。」
「そんなの分かっているわよ。」キーッとする女子の声が響く。
「お前たち、かなり弱ってきたな。」ジルが上から目線の言う。
「喧嘩でも売りに来たのか。ばかネズミ!」
「自信を持てお前たちは強い。」
「ジル、ばかネズミ本当だな。僕ら強い。強いな。」
ギルもクレアも黙っていたバムもみんな叫ぶ。
「僕らは強いーーーーー!」
1分48秒経過。
「来たな。」ジルの目がトパーズ色に光りだす。
獲物との焦点を合わせたようだ。
「12秒も早いとは、たいした奴だ。」ジルが感心する。
僕の方はもっと驚いてる。地球時間ではあの巨大彗星は2か月後に地球到達の予定だった。2か月も早く来てしまうなんてスピードとパワーだ。妖星ケル。
座標78W34Nの前で妖星ケルがピタッと止まった。とてつもない磁場のカーテンで覆い隠されたこの位置を彼は嗅ぎ付け。驚きと思いたいが、当たり前だ。この磁場の中にはジルがいる。ギル達そして、僕が、僕がいる。この磁場のエネルギーより僕らのエネルギー量が大きく流失しているのだろう。
「ビリビリビリー」無理やり磁場のカーテンを引き裂く音。
目の前に妖星ケルが。僕らと対峙。
「これはこれは宇宙の創設者、宇宙嵐モンズ殿まで、いらっしゃるとは私は、ついている。そこの次期宇宙嵐モンズの王になるバルに用事があるんだが、まあ、いい。現王も一緒に消滅させれば、この宇宙は、わしのものだ。」
の言葉と同時に妖星ケルが攻撃エネルギーを放出。僕らは座標78W34Nから放りだされた。僕ら4人は両手を胸の前でクロスし、妖星ケルの攻撃を防いだ。悔しいが、ジルの態勢はそのまま。全くケルの攻撃が効いていない。ばかネズミめ、ジルどんだけ、お前は強いんだ。
ジルはくるりとまわって僕らに「お前たちは強い。戦え戦士。」
「Wooーーー!」僕らはあらゆる攻撃を仕掛けたが妖星ケルはつぶれないが攻撃光線のコントロールが乱れてきたようだ。当たり前だ、3人の戦士がいるのだから。バムも頑張って攻撃している。しかし、たぶん妖星ケルはバルが自分の娘だと気づいていないようだ。ジルが妖星ケルに、「君はなぜバルを目の敵にするか教えてくれ。
バルが宇宙嵐モンズだからか。それに君は、僕のことも嫌いだよね。妖星ケル君。」
「そうだ。嫌いだ。お前もバルも消えてしまえばいい。我々の星は宇宙嵐モンズが造り出した奴隷の星だと。真実を知ったときには気が狂いそうになったよ。自分の星がジル、お前に造られた星だと分かった時・・・」
「彗星を生む星、ケル星は私が造ったのは間違いない。だか奴隷の星とはひどいな。今のケル星は独立している。もちろん、はじめから対等だよ。地球も月もそうさ。僕は”この宇宙全土の平和のため”に監視システムを構築した。君達ケル星人たちがいて進化し続けているおかげだよ。君らの星が僕の手のひらの中?ありえないケル星は初めから独立しているよ。そうだろう。」
「それは、嘘だ。ダーク部隊は宇宙嵐モンズがすべての星をコントロール支配下におさめているといった。従わない場合はケル星を消滅させると。」
「ケル、君はダークサイドのことを信じるのかな。それとも...」
「お父さん。」
「バム?どうしてここに。」
「私はお父さんをぶん殴るために来たの。宇宙嵐モンズのジルを信じて。ジルは私の命の恩人よ。私のような他人の心臓を奪い取って生きている、人殺しの私を、私を信じて救ってくれたの。ジルを信じて。お父さん。地球を消滅させないで。友達も、友達もできたの。お願いお父さん。」
妖星ケルのエネルギーが小さくなる。「ジル殿、どうやら、私が間違っていたようだ。ダーク部隊にだまされたのは私の方だったようだ。申し訳ない。」
ジルが急にネズミの姿に変わって。「ケル、いいよ。許す。」軽い口調でケルに言う。妖星ケルも反応に困ったようで「はい。お願いします。」即答。
「今回の件はなかったことに。」
なんか、一気に緊張感が解かれてみんなのカラダがスライムになりそうだ。
「パーン」攻撃の光線がバムをつらぬく。「役立たずの妖星ケル。」瞬間移動で目の前に「ダーク部隊が」ジルがすぐに応戦。「入口は地球だな。」言葉をの残し。
彼らは消え去る。
「大丈夫か、バム。目を開けてくれ。」妖星ケルの声が響く。だらーんと腕が垂れ下がる。息がない。
「バム、バムー!Wooーーー!
私のせいでダーク部隊に撃たれてしまった。すまない。すまない。バム」
スーッとネズミの姿のジルが「ケル、私は一度バムを助けた。三度目はないぞ。」言葉の後に激しい光が放射線に輝き貫いた。眩しくて目があけれない。
光が小さくなり、みんな目をあけた。「はい。成功だ。」
バムが目を開けた。目の前に妖星ケル。「お父さん。」バムが子供のように妖星ケルに抱きつく。
ジルがふわふわと「やれやれ。」妖星ケルが「ジル殿このご恩は、決して忘れません。ありがとうございました。」
バムが「ジル。ありがとう。あなたは宇宙一番の最高のネズミよ。」
「えっ?」みんな笑った。
笑いの中でジルが「入口が地球にあることが奴らにばれてしまった。悪いが急ぎ帰還だ。」みんなの顔が引き締まる。
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