第32話 月人 ルナ姫

多星人たちの目が一斉にルナに集まる。かなりの重圧だろう。

「コツン。」なぜかゲンコツが僕の頭に。

「いたっ。」

「宇宙嵐モンズ星の少年。お前は優しいな。」横のゼリが言う。

「そうですか?たぶん僕は、そんなに優しくないですよ。」

ゼリの横のハルトが「バルは優しくないよ。どちらかといえば、冷たいよな。正しくは、他人の気持ちがわからない。」

幼なじみのハルトにそう言われて、少しショックだ。

「ハルト、その言葉は、ショックだよ。」

「そうか、悪い。幼なじみだから言うけど、僕は、小さい頃からバルを守っていたつもりだ。君は気づいていなかったけどね。まあ、勝手に僕が君を守りたいと思っていただけどさ。たぶんワカも僕と同じ気持ちだと思うよ。」

「今、言葉で聞いて、改めて気づいたよ。すまない。」

「僕も悪かった。バルが地球人じゃなくて宇宙最強のそれもこの地球やケル星、月まで造った星の次期王なんて。少しバルにあたってみたかったのさ。悪い。」そう言ってハルトはいつもの学校と同じように僕の肩に手を回し、じゃれながら僕の頭を叩いた。ゼリが横で「少年。男子の気持ちは、わからんな。」

「そこ!静かに!」ケブンが大きな声を出す。

僕らは3人少し、小さくなった。

ルナが話出す。「私は月人。次期月の女王です。

そこのバル、君は信じていないかもしれないが。君が会ったのは、双子の妹よ。アン。私と瓜二つ。目の色だけが違う。

私は緑。アンは赤。そうよね?バル。」

「その通りだ。」

ジルが機械的な声で「ルナ、我々には時間が無いんだ。話を続けてくれ。」

「そうよね。続けるわ。私達月人は遠い昔から、この地球に移住していたの。月の星の生命体のエネルギーが枯れることを知っていたから。ただし地球移住中に仲間割れが生じた。1つは地球を乗っ取る強硬派。もう一つは地球人との共存派。私は後者。そしてバル、君があった妹アンは強硬派の月人村に到着したようね。しかしアンは一人だけ地球大気圏に突入し際に突入失敗で一人行方不明だったはずよ。それに強硬派の月人は地球人と戦いを繰り返して人数は減少しているはず。バルが会ったその村も最後の月人村よ。それに、もともと重力も空気密度も違うこの地球での月人の寿命は短いの。仲間は日に日に減っていき、ここでは残ったのは私だけ。次期月の女王と名乗っているけど、私もそう長くはない。」ルナはさらりと言った。ざわついた空気感が静かになる。僕は「それで、月の位置をずらして、ケル星の彗星からの衝突を避けたんだよな、ケブンを使って。」「そうよ。120年前の妖星ケブン。破滅の彗星が地球にあたって消滅したら月を捨てて移住までしてきた、仲間がまた消滅してしまうなんてありえない。月の次期女王として子孫を月の民をこの地球に残さなくてはいけない。私の使命のために妖星ケブンと連絡をとったわ。」

ギルが「この地球から?彗星で発動して流れている時は同じケル星人でも連絡を取ることができないのに、どうして月人の君が?」

ケブンが、私が話そう。「私は目標地球の大気圏到達寸前に1か所から”た・す・け・て”の宇宙語の光メッセージを受け取った。この光メッセージの意味は重く。無視できない。無視してしまうと結果的に自分自身が死に至る。」

ギルが反論する「光メッセージは僕も聞いたことがありますが、単なる宇宙伝説と聞いています。」ジルが「ギル、悪いがほんとだ。君達には嫌な話しかもしれないが、この宇宙は我々宇宙嵐モンズが造った。言い換えると”私が造った。”そして何も見えないこの地球にも宇宙全体を監視しているシステムを我々は持っている。

ワカが「えっ、それって、地球で言う、監視カメラ?的な。」

「そうだ、その通りだ。そして光メッセージを無視したものは我々が消滅させる。」

タクが「ジル、さっきまで可愛いネズミの姿だったり、スライムで可愛いって本気で思ってたけどジル、案外残酷だな。」なぜが僕もタクと一緒にジルをにらみハモる。「こわいな。」

ジルは「誰かが、監視しなければこの宇宙の統制は保てない。宇宙の創生者、管理人としての責務だ。」僕は「くやしいがその通りだ。」そして「ケブン話を続けてくれ。」「私は、光メッセージを受け取り消滅を防ぎ、一隕石として地球に到達。光の源、ルナ姫にたどり着いた。月人の事情を聴き、この地球を消滅させては、いけないとルナ姫を手助けしています。これが成り行きだ。」ゼリが身を乗り出し。「ケブン、私を嫌いになったわけじゃなかったのね。」「そうだ。当たり前ないか、ゼリ。君はきれいだ。私の自慢の彼女だ。」ゼリがまたハルトの頭をうれしそうにたたく。「聞いた?きれいだって。彼女だって。」ハルトが冷静に「ゼリさん。良かったですね。頭、たたくのよしてもらえますか?」ゼリが「えっ?ごめんごめん」と「バッーシーン」と背中をたたく。ジルが真剣な顔つきで「”光メッセージか“さて、妖星ケブンに通じるかな。バルがいることを妖星ケブンは知っている。あえて、突入してきそうだ。」


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