第31話 宇宙のバランス
人型に変身したジルが話し出す。「さて、何から話そうかな。」多星人の視線がジルに集中する。僕自身もこの短期間の間に生い立ちも環境も使命も聞かされて正直心の準備が出来ていない。元々地球人だとは思っていなかったが記憶が戻りケル星人としてこの地球に彗星として降り立った記憶。まさかそのケル星人ではなく。宇宙最強の宇宙嵐モンズ星人の次期王。ありえない。ありえない。地球のマンガの世界じゃあるまいし。このわからない苛立ちとモヤモヤな気持ちを早くクリアにしたい。ジル、ジルが宇宙嵐モンズ星の現王。それなら早く話せ。僕は真実が、知りたい。これからどこへ向かえばいいのか…ジルのまぬけ早く話せ。ジルが僕の方を見る。「バル、焦るな。私は、まぬけではないぞ。焦るな。大事な話だ。ここは多星人の会議だ。みんなにわかりやすく、これから話す。」「えっ、ジル、僕が焦っているってなぜわかったんだ。それに”まぬけ”僕はいってないぞ。」
元気そうな少年アビビが「バル。嘘はいけないな。さっき”ジルのまぬけ”って思いっきり脳内で言ってたよね。」「えっー!アビビは脳内が読めるのか。」
「そうだよ。それが僕の特殊能力さ。なあ、タク。」アビビは胸を張ってタクを見た。タクもまるで自分の弟を自慢するように「そうさ、バル、アビビはすごいぞ。」僕は「そうか。アビビ、君はすごいね。」アビビは「でもジルはもっとすごいよ。バルの脳内を読んで同時に僕に話しかかてくるからね。さすがって感じだ。」
”ジルのまぬけ”と思った僕がまぬけのようだ。だがくやしい。今度は口にだして
「こら、まぬけのジル、もったいつけずに早く話せ。僕は気が短いんだ。」
緩んでいたジルの顔が少し引き締まり「バルを怒らせるとこの地球も一瞬で消えそうだ。本気で怒らせる前に話すことにしよう。」「ジル、僕を悪者しないでくれ。」ワカが心配そうに「バル、大丈夫?無茶しないで。」バルは、にっこり「ワカ、僕は大丈夫だ。ワカには逆らえないよ。いつも通りだ。」ジルが少し申し訳なさそうにワカの方を向いて「悪い、みんな緊張しているしね。ちっとからかってみたかったんだ。」そう言ってジルは、ケブンの方を向いて「1人足りないな。ケブン。月の姫はどこだ。呼んでくれ。」
「はい。月の姫よ。ルナ姫。こちらへ。」
ゼリがハルトの頭をたたく。「いたい。ゼリさん、どうして僕をたたくんですか?」
「ケブンの代わりだよ。」「えー!」ハルトは迷惑そうな顔をした。「ゼリさんあたる相手が違うでしょ。」
月の姫が入ってきた。
「アン?アン。どうして君が・・・」
ジルが「バル、よく見ろ。彼女の瞳は緑だ。アン、アンの瞳の色は?」
「赤だ。黒髪に赤い瞳。」
「じゃあ、あの月の姫はアンじゃない。バルそうだろう。」
「ジル、ケブン横にいる彼女は誰だ。僕は月人が住む村でアンと別れた。そこの長老ベルマが、はっきりと僕に言ったんだ。アンは”月人の次期女王“だとしたら、ルナが月人の次期女王?おかしいな。」
ジルが少し考えて「宇宙嵐モンズ星の邪魔をしていた敵は、案外近くにいるのかもしれないな。これからはっきりするだろう。」
僕はケブンの横のルナ姫を見た。目をしっかり合わす。“ルナお前は誰だ。“
”私は月人。月の次期女王よ。“
”ルナ、おまえは偽者だ。“
僕らの脳内バトルにゼリが絡む。
”あなたね。私のケブンをたぶらかしたのは。”
”おばあさん、誰?“
ゼリが横にいるハルトの髪をつかみ、モジャモジャにした。ハルトが「ゼリさん、やめてください。何、怒ってるんですか。」
ケブンが「ゼリ、頼む。待ってくれ。ルナ姫の話を聞いてくれ。」
「ケブン!」ゼリが叫んだ。
ジルが片手を上げ「静かに!みんな、言いたいことはあると思うが、はじめようか。まずはルナ姫君の話を聞こう。それでいいなケブン。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます