第27話 僕は次期王バル
僕はアンと別れて妖星ケブンのいるベルシアへと急ぎ飛行していた。やっと1人になれた。ほっとしている僕がいる。元々誰かといるのは、あまり好きではない。それが、仲間でも、好きな女子であってもだ。ギル、クレアが現れてから僕の脳内、記憶、立場が目まぐるしく変わった。変わった?と言うより本来の自分に戻っただけなんだが。それにジルが現れてからは。
“宇宙嵐モンズ星か”
「助けてー」真下の海から子供の声が聞こえる。僕は急降下。黒髪の小さな子供が溺れてかけている。見るところケル星人では、なさそうだ。黒髪?月人の子供か?
「大丈夫か?」僕は、その子供を海から救い上げ、浜辺へ上げた。子供はゴホゴホと大量の海の水をクジラのように吹き上げた。まるでマンガのようだ。僕は思わず笑ってしまった。
男の子は怒った顔で「何がおかしいんだ。溺れるところだったんだぞ。」
見た目は、地球人で言うところの4、5才の男の子だ。なんと生意気な子供だ。助けてやったのは、僕だぞ。思わず「僕が助けてあげないと君は今頃海の中だぞ。」
男の子は「溺れたら溺れたでいい。その時は僕はクジラになるから…」間があき、男の子は明らかにしまったと言う顔をした。
僕は意地悪で「クジラは大きくて鈍そうだ。僕ならスピードの速いシャチになるよ。」
男の子は、負けず嫌いのようで、「じゃあ、僕はサメになる。」そう言って男の子のカラダは、スライムになりサメに変身した。
「パチパチパチ。」僕は拍手した。君の勝ちだよ。男の子は、サメからスライム、人型へとあっという間にもどった。この子はもちろん地球人ではない。このスピード感とスライムの色。月人でもケル星人でもないようだ。“誰だ?”
「君の星は?どこからこの地球に?」
男の子の目が光った。「僕は地球人だよ。」
明らかに嘘である。「地球人?この非常事態に?地球人の時間は止まっているよ。今、動けるのは、地球外生命体だけだよ。君名前は?」
男の子の目がますます光を放つ。浜辺の上空に輝く物体が瞬時に現れた。「ラコーニ様」
上空の声と共に目の前の男の子の姿が僕と同じくらいの緑の髪、少年の姿に変わった。
「バル。宇宙嵐モンズの次期王バルよ。また会おう。」
どうして、僕の名を知っているんだ。
「君は誰だー?」
「僕の名はラコーニ。この宇宙の王になる男だ。バル、いずれまた会うことになるだろう。さらばだ。」ラコーニはそう言い残し輝く物体の中に消えた。
「ラコーニ様、ご無事でしたか。」
「当たり前だ。」
「宇宙嵐モンズ星、次期王バル様は、どうでしたか?」
ラコーニは地上に目をやり、
「お人好しの大したことない奴だ。」
「そうでしたか。さすがラコーニ様。この宇宙全ては、もうすぐ貴方様のものですよ。」
黒マントの家来がラコーニに囁く。
「帰還するぞ。」言葉と同時に光物体は大きな光を放ち時空を超えた消えた。
「どさっ」肩にジルが乗る。ネズミの姿だ。
「やれやれ、ラコーニも参戦か。」
「ジル、ラコーニ、彼は誰だ?ジル教えてくれ。お前の弟だ。」
「えっーーーーーー!」
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