第25話 クレアと教官ポップ

クレアはジルのケル星人探索携帯機の画面とは別にケル星人の本能でケル星の妖星ケブンを探していた。ケル星人同士が発する電磁波をたどっていた。方角は南。「私が一番に見つけるわよ。」「おーいクレアー。」後方よりポップの声。ポップの飛行スピードが上がる。

ケル星の頭脳。戦略部隊長のポップ。

「ポップ、あなたもケブンの電磁波をキャッチしたの?」

「もちろんさ。これでも僕ら同期の中では、僕は優秀だからね。それに今は養成学校の教官もしている。僕は優秀だ。」

「ポップ、相変わらず、その自信家は、たいしたものね。」

「当たり前だろう、自信がなきゃ、生徒に教えられないだろう。自信のない教官に生死をかけた任務は、教えられない。」

「そうね。ポップ、あなたは優秀だわ。でもあなたの生徒が噂していたわよ。“ポップ教官の授業は厳しいけど分かりやすい。でも時々変なジョークを飛ばす“ってね。ポップ、大丈夫?」

「問題ない。大丈夫だ。僕は何度も言うようだけど、優秀なんだぞ。バルには少し負けるけどな。だが驚いたよ。行方不明のバルが見つかって。このままバルが行方不明だったら僕はクレア君に愛の告白しようとドキドキしていたのにな。まあーこんな、ものさ。でもクレア、君にはライバルが多いようだな。バルは相変わらず、悔しいがもてるな。」「ポップもそう思った?ライバル。確かに地球人、月人。ほんともてるのよねバルわ。」「ところでクレア、僕らの知っているバルだが、ケル星人のバルじゃない。本当はあの宇宙嵐モンズ星人だったて驚いたな。しかも次期王だと?しかし正直なところ”やっぱりな“と言うところだよ。クレア、君はバルのこと好きすぎて気づいていないようだったが、バルの電磁波は我々と少し違っていたんだ。最初から。」「最初から?」

「僕らは通常はα電子イオン電磁波を放っている。その数値がバルは異常に高く、この銀河では、太陽フレアに匹敵する数値だった。γ電子イオン電磁波だ。言葉の通りγ電磁波は“宇宙嵐”だ。宇宙嵐モンズ星人。今ならバルのあの時の養成学校入学時での数値が計測ミスではなく、事実だと納得する。クレア覚えているか?養成学校の入学試験の日、妖星ケルが視察に来ていたこと?」「ポップ、悪い、その時のことは、あまり覚えてなくて、ただ、とても偉い人が来ているってことは覚えている。」

「僕は偶然、その場にいたんだ。教官達がバルのその数値を見て、にわかに騒ぎ出していた。妖星ケルが、「自分の電磁波の数千倍だ。いや計測不能だと?異常だ。この生徒は何者だ。」そう言いながら電子イオン電磁波計測を瞬時に消滅させた時には横にいて生きた心地がしなかったよ。男の嫉妬のこわい。こわい。」「ねえ、ポップ、その妖星ケルが彗星としてこの地球を消滅させるために近づいてきてるのよね。もしかして。妖星ケルはバルがここの地球に居ることを知ってる?」「たぶん、間違いなく知っているね。妖星ケルは破滅の彗星。どの星も彼からは逃げることはできない。」

「ポップ、妖星ケルは地球じゃなくてバルを消滅させたいんじゃないの?」

「たぶん、そうだと思う。」「ポップ急ぐわよ。早くケブンを見つけなきゃ。」

電波通信あり。「ケブン。海に浮かぶ要塞。ベルシア。」

「ポップ、南の方角。私の本能も間違っていなかったようね。このまま、まっすぐベルシアへ飛ぶわよ。」

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