第24話 月人ですか
僕らは静かに山間の小さな緑の上に着陸した。
辺りを見渡すと小さな家々がいくつかの大きな木の幹に同化するように点在している。ジルが渡したケル星人探索機の携帯画面は点滅ではなく、ぐるぐる回っている。「そうやら、探しているケル星人ではないようだ。アン、相手の正体が分かっていない。注意するように。
アン!」振り向くとアンの姿がない。「アンーー!」僕は大声で叫んだ。返事がない。僕は点在する家々の窓をそっと覗き込んだ。家の中には普通に人がいる。動いている。外の声が聞こえないのか?いや違う。僕は右手をかざし窓にあてた。バリアがある。それも地球人の能力では造ることもできない電磁波のバリアだ。「これは?」後ろから声が「バルー!」僕は振り向いた。アンがいた。「アン、大丈夫なのか?」
「私は大丈夫。それよりバル、私こそ、
ごめんなさい。バルを1人にしてしまって。」
「僕は大丈夫だ。アン、ここはどこだ?」
「バル、ここは私が探していた月人の村よ。やっと仲間に会えた。」「アン!」奥の大きな家の方から背の高い痩せ型の男が老いた長老らしき女の人の手をひき、こちらに向かってきた。
アンが「バル紹介するは、彼女はこの月村の長老ベルマよ。」僕はその長老の女性の引き込まれるような綺麗な赤い瞳を見て驚いた。アンと同じ赤い瞳だ。横の背の高い男の瞳も綺麗な赤い瞳だ。もちろん当然ながら男性には興味はない。瞳でクラクラすることはないが。僕は姿勢を正して「こんにちは、突然の訪問で失礼しました。僕はバルです。ケル星人のケブンを探しています。ここには偶然着陸しました。それにここが友達のアンが探していた月人の村で、アンがあなた達に会えてよかったです。」僕は自己紹介を兼ねて、ここに来た目的を伝えた。できるだけ丁寧に挨拶をした。アンが話していてことを思い出したからだ。月人の村に迷い込んだ地球人は消滅させられる。もちろん宇宙嵐モンズ星の僕の能力が無論上だが。ここで問題は、起こしたくない。騒ぎわごめんだ。アンが「バル心配しなくていいよ。事情は、私が先に説明したわ。」「アン、ありがとう。」長老ベルマが
「少年。月人アンを連れてきてくれありがとう。アンは我々月人の次期女王だ。礼を言う。月人が地球人として生活していただけでも稀有なことだ。それも高校生とは。アンの周りには少年を含め良い地球人の仲間がいたようだな。だが、少年、君は地球人ではないようだがな。」長老ベルマはそのあと何か言いかけたが途中でやめた。「まあ、いいこれ以上深入りはしないことにしよう。」僕はアンに短い別れを告げた。アンがジルの携帯を返そうとした。「いいよ。いらない。じゃアン。元気で。」僕は短い別れを告げた。僕は上空へと舞い上がった。長老ベルマがアンに尋ねた「彼は何者だい?宇宙嵐モンズ星の次期王よ。モンズ星のネズミのジルがそう言った。」「モンズのジル?アン、ジルは、宇宙嵐モンズ星の今の王。宇宙最強の力を持つこの宇宙の総支配者よ。ベルマが「不思議な因果だね。」小さくつぶやく。アンは大きく手を振った。僕は手を振るアンの姿が小さくなったのを確認し、ジルの携帯がさす南の方角を目指した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます