第21話 地球人ワカ・町・ケル星人に接触

ワカは小さな町に降り立った。宇宙嵐モンズ星人のジルからもらった携帯が点滅する。地球にいるケル星人を追って校庭の広い小高い坂の上の中学校へ着いた。校門をくぐり、途中グランドではサッカー部と野球部が練習中だったようだ。みんなジルの時間制御で止まっている。ゴールキーパーが宙でジャンプ。時間が動き出したら急に地面に落ちて痛いだろうな。そう考えると「ぷっと笑える。」思わず口に出してしまった。「そうよね。でもケンタはタフだから大丈夫よ。」声は後ろから聞こえた。動いている。「あなたはケル星人?」「そうよ。なんでわかった?」「当たり前じゃない、今、動ける地球人は誰もいないわ。」セーラー服の可愛い彼女は、「そうよ。でもお姉さんはケル星人じゃないわよね。」「え、地球人よ。それに私の名前は、お姉さんじゃなくて、ワカ高1よ。」「私はミリ。ところでこの時間制御は誰の仕業?せっかくケンタの朝練見に来たのに。夏季大会の準々決勝も近いのに邪魔するなら、許さない。ケンタにとって大事な試合なんだから。」私は「ごめんなさい。練習の邪魔をする気はなかったの。でも正直今は、この地球にとって緊急事態なの。」ミリがふわっと宙を浮き私の目の前に来た。「ワカ姉さん話して。」私は姉さんの呼び名に違和感を感じたが仕方ない。年下の中学生だ。ここはスルーで「ミリ、信じられないかもしれないけど、今、大きな彗星が地球に接近しているの。」ミリは「当たり前のように知ってる。私達と同じ帰れない、いつもの偵察監視の彗星でしょう。」と答える。「ミリその彗星の名前は妖星ケルよ。」ミリが目を丸くして「えー!妖星ケル!ケル星の最強の彗星よ。最終兵器よ。妖星ケルからは、どの星も逃れられない。」「そうよ、ミリ。地球にぶっかって地球が、みんなが、全部消滅してしまうのよ。あなたの好きなケンタ君も消えてしまうのよ。そんなの耐えられる?」ミリは「そんなダメに決まってるじゃない。」私はミリの両肩を捕まえて「そうよね。だから私に力を貸して。ケル星人のケブンを探しているの。ミリ居場所知らない?」「ケブン?ケブンっと言えば伝説の妖星よ。でも居場所は知らない。それに生きてるいるかもわからない。」「でもミリお願い、何か噂でもいいから何か、思い出せない?ケブンは120年前にこの地球を消滅させるために来た彗星なの。ケブンなら近づいている妖星ケルの回避方法を知っているかも知れない。ジルが言ったの。」「ワカ、ジルって誰?」「ジル、ジルは宇宙嵐モンズ星のジルよ。」「ワカ、すごい星人と友達なのね。宇宙嵐モンズ星って言ったら、どの星も逃げ出すくらいの破壊力を持っているのよ。無限の底なしの星よ。でもそのモンズが味方なら、衝突もほんとに回避できるかも。」「だから、ミリ何か、覚えていない?ミリの好きなケンタ君を救うんでしょう。」ミリは、脳内で思い出していた。この地球に片道の戻れない任務、偵察監視の彗星で流れ落ちた日のことをケンタは私の光を見て“きれいだ”と言ってくれた。帰ることのできない、寂しいた彗星の私の心を救ってくれた。そして私はその地上のケンタの声を頼りにこの街にやってきた。人型をコピーして普通の中学生の女の子として紛れ込んだ。得意の記憶操作を使い周りの人間を操作した。

「ワカ、私、ワカを手伝うわ。ケンタの試合見たいし。みんな消えてしまうのは悲しすぎる。それに一つだけ、思い出したことが、

”ケブンは海の姫に呼ばれた?“そんなことを聞いたことが。でも確かか、

どうかわからないけど。噂では、その姫に恋したとも」「ありがとう、ミリ。手がかりは仲間と共有するわ。」「仲間?え、たくさん仲間がいるのよ。ミリと同じケル星人のクレアにすごくイケメンのギルにポップ。」「ポップ?ポップ先生が来ているの?わあーまた、𠮟られそう。」「ミリなんか悪いことでもしたの?」「いいえ、別にしてないわ。でもケル星の学校では、よく宿題をいつも忘れていたから、つい。」「ミリ、宿題はちゃんとしないとね。」「ワカ、私は大丈夫。宿題しなくてもいいの。これでも賢いのよ私。でもなんだかポップ先生も一緒だと思うと心強い。先生は厳しいけど優秀だから。」「そうなんだ。」「ところでワカ姉さん、ワカ姉さんの好きな人は誰?悪いと思ったけど少し記憶操作させてもらってみたら”バル君”って叫んでいるワカ姉さんが見えたんだけど。バル君はワカ姉さんの好きな人?」「ミリ、勝手に記憶操作はやめてね。でもバルは、大事な人よ。この地球もバルも失いたくない。“みんな守るの。”ミリお願いケブンを探すの手伝って。時間は地球時間あと3日よ。」「もちろん。」


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