第15話 ケル星からの使者

流れる星の中から人間型スライムが出てきた。

「ポップ?」僕の友人、ケル星の頭脳。戦略部隊長。もちろんギルやクレアの友人だ。クレアが「ポップどうしてここに?」「どうしてって?ギルからの連絡をもらったからに決まっているじゃないか。バルが見つかったって。」

ギルが「僕が連絡した。もうすぐケルの彗星、妖星の本隊が来る。この地球を見極めないと軌道修正ができなくなる。僕らだけでは手が足りない。応援を頼んだんだ。それにバルが見つかったことも知らせたくてさ。」僕は「ギル、ありがとう。ポップに会えるなんて嬉しいよ。」僕はポップと仲が良かった。それにライバルでもあった。ポップの瞬時の分析能力は正確で確実だ。それに僕らには時間がなかった。しかし、喜んでばかりいられない。ワカ達、地球人の友達がこの突然の状況にみんな、固まっている。僕は友達として、この状況を説明する必要がある。それにポップにも僕がケル星人ではなく宇宙嵐モンズ星人だということも伝えなければいけない。異なる状況で説明がするのが難しいが。まずは、こういった場合、弱い立場の人から順に丁寧に説明しなければいけない。誤解が無いように。丁寧に。これは地球の人間界でもケル星人や他の星の宇宙人でも同じだ。

「ワカ、ハルト、タク、それにアン、聞いてくれ。今、目の前で起きていることは現実なんだ。信じられないかもしれないけど、僕は地球人ではない。」ワカが「わあー」と泣き出した。ハルトがワカの背中をさする。泣きながら「バル、分かっていたよ。たぶん、バルは地球人じゃないって。はじめて会ったときから、

なんとなく私達とは違うって。でも、でも…」ハルトも「ぼくもなんとなく気づいていた。それに・・」僕は「小さいころから幼なじみの二人に嘘をついていたわけじゃないんだ。本当にそれだけは信じて欲しい。僕もギルとクレアに会うまでは記憶を無くしていたんだ。だから。」ワカが泣いた目をこすりながら「大丈夫。バルが嘘ついたり、隠し事していたなんて思っていないよ。バル、噓ついたりできるほど器用なタイプじゃないもんね。」ハルトも「そうだな。いつも情緒不安定で何かつかみどころがなくって、何考えているわからないこともあったけど、バルはバルだ。それに僕がマラソンしたり体を鍛えていたのは、いつか悪い奴らがバルを連れ去ろうとした時に僕がバルを守るって、なんとなく小さいころから決めてたんだ。だから僕は体を鍛えていたんだ。でも悪い奴じゃなくて、バルの友達が君を迎えに来たんだ。それが今なんだって。バル、頭の中を整理させたいが、心と感情が追い付いていない。少し時間をくれ。」タクも「バル、僕もこの目の前の状況を現実だと受け入れるのに少し時間が。僕たち、カブトムシを捕まえに来たんだよな。カブトムシが、かすみそうだ。」僕は「タク、悪い。カブトムシにも悪い。カブトムシは絶対王者なのにな。」ずーっと黙っていたアンが口を開いた。「要するにバルは宇宙人。転校生のギルもクレアも宇宙人。それにそこのおちびさん、ジル。君は子供のふりしているけどバルよりずーっと年上で、大人の宇宙人でしょう。」

ジルが「アン、それがわかるとは君は地球人じゃないな。」アンが「そうよ。私は地球人じゃないわよ。ずーと前に地球に来た月人。」ジルが「そうか、月人か。月人はその昔、我々宇宙嵐モンズにより破壊された。その後、宇宙に散らばり、多くはこの地球に移り住んだものが多かったが。アン、君はその末裔か。」「そうよ、ジル。あなたはモンズ星人。それにバルもね。あなたたちは同じ星の匂いがする。」僕はアンに「アン、君は僕が地球人じゃないって知っていたんだ。」「そうよ。」僕はこんな状況なのに笑ってしまった。「なんだか変な感じだ。本人が知らずにいたなんて。ほんと笑える。」タクが「そうだな。笑える。」ギルもポップも、みんな何故か笑ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る