第14話 流れ星と裏山

僕らは夕食、バーベキューの片づけをしてカブトムシを捕まえにタクの秘密の場所、裏山に向かった。それぞれ懐中電灯と虫かごに網。完全防備で暗い山道へ入っていった。ワカが「タク、道が真っ暗で歩きにくいんだけど。」「そうだな。距離はそんなに遠くないから、ワカ、がんばって歩いてくれ。」「はーい。」アンはキャンプ用の大きな懐中電灯を持っているようで安定して歩いている。ジルは、ハルトと手をつないで歩いている。ギルとクレアもなんとかついて来ている。僕は脳内会話で『ギル、クレア大丈夫か?』『問題ない。』クレアも『視界を電磁波ナビに切り替えたから目を閉じても、ついて行ける。バル心配しないで、大丈夫よ。』

「キャー!」ワカの悲鳴。僕はすぐに駆けつけた。「ワカ、大丈夫か?」「大丈夫。懐中電灯の灯りが消えたの。今日、出る時に電池入れ替えたのに。おかしいな。」「そうか。」ワカが「でも携帯のライトあるからそれ使うわ。」

僕は「携帯の電源が消耗するといけない。ワカ、一緒に行くぞ。」僕はワカの手を握った。ワカの手が小さいのにびっくりした。が僕は少し力を入れてワカの手をぎゅっと握って直し歩く出した。「タク、みんな悪い、ワカの懐中電灯の電気切れだ。僕がワカと一緒に行く。大丈夫だ。」ジルの手を握っていたハルトの手に少し力が入った。前方のタクが叫ぶ。「バル、じゃ、ワカは任せた。」僕は暗がりの中、元気に答えた。ハルトの手にまた力が入る。

ワカはなぜか無言だ。

『バルのバカめ。』僕は『?』ジルが僕の脳内に侵入する。クレアも『バル、君はほんと、鈍いわね。まあ、いいわ。行くわよ。』

タクが叫ぶ。「もうすぐだ。見えたぞ。」僕は手をつないだまま、一気に細い坂を登りきった。タクが「ついたぞ。ここだ。」見ると少し平な斜面にクヌギの木が見えた。ハルトが嬉しそうに「クヌギがこんなにたくさんある場所は、初めてだ。」クレアが「何か黒く光ものがゴソゴソ動いているわよ。」そう言ってカブトムシを捕まえた。クレアは「こんなのはじめて。ツノがあってカッコイイ。あっ、痛い。」僕はワカの手を離してクレアのカブトムシのところへ走った。「カブトムシの足の裏の毛は触るととても痛いんだ。ほら、このギザギザで木から落ちないように、こうなっているんだ。」「へーえ」気づくとハルトもクレアのカブトムシのところに来ていた。タクが「ここは僕の秘密の場所だ。ほら、足元にライト、オン。」3つのライトが足元を大きく照らす。「ジル、ワカ、アンこれで怖くないだろう。」ジルが子供ぽく演じて「うん。僕は大丈夫。」ワカやアンみんなもうなずいた。「じゃ、本気でカブトムシ捕まえるぞ。あっそうだ。クワガタもいるぞ。それにスズメバチもたまに蜜を吸いにくるから気をつけるように。」「はーい。」みんな、何かを捕まえる。狩る。ことは好きなようだ。地球人、ケル星人、宇宙嵐モンズ星人もみんな目の色がキラキラしている。もちろん僕もその1人だが。アンとワカが何やら話している。アンが「ワカよかったね。」「何が?」「バルと手をつなげて。」「バル?あー、そんなこと小さい頃はしょっちゅうよ。」アンの瞳が一瞬、光。「私達、小さな子供じゃないわ。」声が小さくなる。小声でワカには聞こえない。ワカが「アン何か言った?」「大丈夫、なんでもない。カブトムシ捕まえるわよ。」ワカが「虫が苦手なアンがカブトムシは大丈夫だったなんて、なんか不思議。」アンは今度は聞こえる声で「カブトムシは、特別なの。」「そうなんだ。」

タクが声を上げる。「流れ星だ。でかいぞ。」

みんなで空を見上げる。眩しいほどの光が夜空を照らす。光は放射線に広がる。流れ星は、僕らの裏山へ向かって来る。「わーーー!」流れ星が僕らの目の前に着陸した。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る