第13話 カブトムシ

夏休み初日の水曜日は、やって来た。僕はジルを異母兄弟だとの設定でタクやみんなに紹介。タクは「ジルか、大歓迎だよ。人数は多い方が楽しい。」そう言ってタクは、ジルの頭を大きな手で撫でた。ジルが、心から嬉しく思っていることが分かった。みんなも、すんなりジルを受け入れてくれた。ワカなんか「ジルちゃん、バルの小さい時にそっくり。可愛いー!」とハルトと一緒にジルの世話をしている。黒髪美少女のアンは、性格がもとに戻ったようでいつものおとなしいアンだ。

“やっぱりアンは可愛いなー。”

黒髪のアンに僕は見惚れる。

タクが「じゃあ、みんな集まったところで、始めるかバーベキュー!」

みんなノリノリで「おー!」「はーい」「やったあー!焼くぞー!」ギルとクレア達は、地球人の家に興味津々なようで、キョロキョロしている。2人とも嬉しそうだ。タクの家は建材店だった。業者さん達がたくさん出入りするとかで庭?敷地内には木造でできた小屋?倉庫?的な建物があって僕らは、そこを貸してもらった。途中、タクのお母さんが大きな丸いスイカを持って来てくれた。ワカが「みんなでスイカ割りしない?」「楽しそう。」ギル、クレア、ジルが「スイカ割り?」ハルトが「3人とも知らないんだ。楽しいぞー!」とハルトはジルを抱っこして広い庭をぐるぐる回った。タクが「1番は誰だ?」ワカが「はーい!はーい!私やりまーす。」アンがワカの目をタオルで隠す。ワカはみんなの声に誘導される。「右、ワカ、もう少し右」「よーし、」棒を振り下ろす。「コツン」棒がスイカの端に当たる。しかしスイカは割れてない。「次へ僕。」ハルトが手を上げる。みんなの声をよく聞いてハルトの棒がスイカにあたる?と見えたが、ハズレた。地面を叩いてしまった。クレアが「次、私やりたいー!」ハルトが棒を渡す。僕は脳内電磁波会話で

『クレア、ケル星の能力は使用禁止だぞ。』

『バル、分かっているわ。今は、私、地球人になりきっているのよ。大丈夫。』

クレアは能力を使わなかった。しかし、本来の戦士の血が騒いだのか、見事「パッカーン」

スイカは真ん中から二つに割れた。『さすが。恐るべしクレア。』ギルも『同感だ。クレアは敵にまわしたくない。』『そうだな。』僕も共感した。ワカが「クレア、すごい。剣道でもやってるの?」「剣道は知らないけど、剣術のトレーニングはしているのよ。」「剣術ね。クレアすごい。」ワカはそう言いながら、割れたスイカを切り分ける。「甘い!」スイカ大好きのハルトが1番に声を上げる。ワカもアンも「本当甘い。」「甘い。美味しい。」僕はタクに

「タク、ほんとありがとう。カブトムシ取りのつもりが、こんなにご馳走になって。」タクは気前がいい。たぶん家業のせいもあるかもしれないが、社交的でお祭り好きで、若旦那のようだ。僕はつい口に出してしまった。「タク、若旦那のよだ。」タクは言われて嬉しかったのか、建材店の制服を羽織って見せて。その姿をみんなで冷やかした。そして日はとっくに沈み夜が来ていた。僕らのお腹もいっぱいだった。

「あっ、流れ星」ワカが叫ぶ。この瞬間、地球人、ケル星人、宇宙嵐モンズ星人が同じ空間にいる。存在している。これは、特別なことではない。普通に、普通のことだ。きっと君の今いる空間にも宇宙人や次元が違う異世界人は存在している。もしかすれば、君自信が宇宙や異次元パラレルワールド人かもしれない。

“気づいていないだけだ。”

今度はハルトが叫ぶ「流れ星だ。」

輝き流れる落ちる星。

「きれい。」黒髪のアンがつぶやく。

僕も“きれいだ”だと心から思った。

タクが「そろそろカブトムシの時間だ。みんな用意はいいかい?いざ裏山へ!」「わーい!」みんなの声がざわめき出す。

「カブトムシ」





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