第10話 モンズ登場

僕は机の上のモンズに顔を近づける。「パチン」モンズの小さな手のパンチが僕の鼻をつく。痛くはない。僕は「君はモンズ?ほんとにあのブラックホールのダーク部隊も恐れる、宇宙最強の?」モンズは腕組みをして仁王立ち。姿はまさにネズミだ。僕はジローっとモンズ、嘘ついてないよねー?ほんとかなー?疑いの目でモンズを見た。ギルもクレアも僕と同じで「ほんと?君モンズなの?」モンズは「僕の名はジル。モンズの戦士さ。僕ら宇宙嵐の中にはモンズ星がある。僕ら星には他の星生命体は一度も飛来したことはない。それだけモンズは完璧な星さ。宇宙最強たるゆえんはそこにあるのさ。」ジルはとても自慢気だった。ギルは「そうだ。ジルの言うとおりだ。誰もモンズの核の正体を見たものはいない。しかもモンズの核に形は、ない。ただし僕らと同じスライム系だとは聞いたことがある。モンズは自分の気に入った形に変身するらしい。僕らもそうだろう。僕らの場合は降り立った星の初めて会った人物を模範する。僕はイタリアに降り立ったからこの地球のイタリア人を模範した。クレアはきっと僕を模範したんだろう?それで僕と似ているってワカ達も納得していたし。」クレアが「そうよ、その通り。残念なことにバルより先にギルを見つけてしまったから。」僕は「でもそのおかげで姉って設定でみんな納得したし、クレア、逆に疑われなくって良かったんじゃないか。」「そうね。」ジルが机の上でジャンプする。「こらー、ケル星人め、俺様を忘れていないか?おーい。」僕は改めて「悪い、ジル、君のこと忘れていたよう。」「忘れるとは失敬だな。それにバル、お前は俺様と同じモンズ星人だ。」ジルが、さらっと何か大事なことを言った。ギルが、すぐさま反応。「えっー!バルがモンズ星人?」「そうだ。バルは生まれてすぐ宇宙嵐としてケル星を移動中に何かの拍子で落ちてしまった。まあ、同じスライム系だし、いいか。そのうち迎えに行けばと思っていた。」クレアが「ジル、それはあまりにもひどくない?」ジルは悪びれることもなく「よくあることさ。この地球にだってすでに地球外生命体が混じりこんでいる。複数の電磁波の生命体を感じる。もちろん、地球に限らず、君らのケル星も他の星、すべてそうだ。だから、よくあることさ。星自体に完全な遮断能力は100%モンズ以外の星では無い。」僕は「モンズ以外の星では落下?侵入?がではよくあること?なのか。」ジルは「そうだ。この宇宙空間は星ごと、空間ごとに時間も価値観もすべて違う。ケル星もそうだろう。ケル星の宿命、仕事は彗星。この広い宇宙を駆け抜ける。どこまでも。」ギルが「その通りだ。僕らケル星は妖星で存在価値のない星はこの宇宙から消滅させる権限を担っている。宇宙のパワーバランスも考えている。」ジルが「そうだ。ケル星は、そういう彗星、流れ星を製造する星だ。宇宙区間を自由に移動する宇宙嵐モンズ、我々と少し似ている。バルには悪いが他の星で生きる経験も必要だ。なにせ、我々、宇宙嵐モンズは最強だからな。この地球の言葉に”かわい子には旅をさせろ”ってあれと同じだ。それにバルは次期モンズの王だからな。」ネズミの姿のジルは、またさらっと大事なことを言った。クレアがよろめきスライムの形が水のように崩れた。「えっ?バルがモンズの王様?」僕はクレアに「クレアしっかりしろ。」ぐちゃッとつぶれた形のスライムのクレアをさすりながら「僕は僕だ。クレア、元の姿に戻ってくれ。僕は君のスライムの人型が美しくて好きなんだ。」つぶれたクレアのスライムはあっという間に人型となった。クレアが「バル、美しいなんて、うれしいいこと言ってくれてありがとう。できれば”愛している”って言ってくたらもっと嬉しいんだけど。」僕はクレアの頭を「コッン。調子になるな。」「ごめんなさーい。」ギルが「イチャつくのは後にしてくれ。今、大事な場面だ。」僕は「すまない。ギル。つい調子になってしまった。」ギルは「ジル、君は?どうしてこの地球に?何を隠そう、モンズ星の誕生はこの地球が始まりだからだ。君たちはこの地球を消滅させようとしている。調査に来た。それを阻止するためにここに来た。だからバルのことはケル星の彗星として地球調査隊の流れ星に決まった時点から監視していた。ケル星にも僕らモンズ星人は紛れ込んでいるよ。もっと言うと悪いが、ケル星に落ちた時点からすべて我々は監視していた。」クレアが「どうして、そんなことするの?」ジルは「それも価値観の違いだ。星が違うように、価値観、時間もすべて、この宇宙はバラバラだ。個が確立されている。個を認めた時、自立した星と認められる。それができない星は我々、宇宙嵐モンズが消滅させる。だからバルが地球の大気圏に入るのを時空空間で待機しバルの彗星の軌道を変えてわざと衝突しバルの体内にはいった。」僕はジルに「目的は?ジルもっと詳しく話してくれ。」

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