第3話
彼女を殺せと、言われている。
自分のためだった。この稼業は、無双で成り立っている。よごれ仕事に、ふたり以上は許されない。いざというときに殺さねばならない人間の数が増えるのと、反逆されたときに手がつけられなくなるから。
わかっている。わかりきっていた。
それでも、彼女が少しずつ同じ稼業に這い上がってくるのを。殺さず、ただ見ていた。
彼女に殺されたいのかもしれない。そして同様に、彼女も。自分に殺されたいのかもしれない。
夜。指を鳴らせば。彼女はたぶん出てくる。そして、すべてが終わる。
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