第6話

放課後に文化祭の準備を少しだけ手伝い、スーパーに寄って帰路につく。


ブリが新鮮だったのでブリを焼いて醤油と大根おろしで食べることにした。あとは里芋の煮っころがし。作っている間にお兄ちゃんが帰って来た。料理がすべて出来上がると忠も早めに帰ってきて、四人でテーブルに着いた。


ご飯を食べながら話すのがいいのか、食べ終えてから話すのがいいのか。考えているとお兄ちゃんが切り出した。


「それで、至急だという話を聞かせてくれ」

「うん。もう何から話せばいいのか……」


更に緊張が高まる。心臓も唸っていた。でも言わなくちゃ。後悔しないように。


「私。私ね、前世の記憶があるの」

「え。嘘でしょ。なに言っているの」


恵理子は信じていないように間髪入れずにそう言い、笑う。私は真剣な表情を作った。


「嘘じゃない。これは本当のことなの。理解したのは十歳の時なんだ」


なるべく頭を整理して、昨晩彩夏と優菜に言ったのと同じようなことを繰り返し、そして昨晩言った以上に細かく話すことにした。家族の間に流れる空気が重くなっていく。


食事も、食べた気がしない。


「本当なのか、それは」


忠が訊ねる。


「うん。嘘じゃない。嘘ならこんなこと言わない」


私は強く言った。


「じゃあ、あなたは史子ちゃんでもあるっていうこと」

「そう、私には佐川史子の記憶があるの。物心ついた時からずっと。理解する前は、知らないはずのことを知っていたから自分でも困惑していたけれど、それでもお母さんが二人いるような気がしてならないの」


三人のため息が聞こえて来た。そうして長い沈黙が続く。


「本当に嘘ではなさそうだな」


お兄ちゃんが私から漂う気配を察したのか、言った。


「本当。信じて」

「だからあんなに久江さんや博さんになついていたのか」


忠も納得したように頷く。


「私にとって二人は他人じゃない。もちろん澪としてのお父さんとお母さんも大事だけれど、それと同じくらい、久江さんと博さんも大事なの」

「なるほどね」


恵理子も理解したかのように言った。懸念していたが、特に傷ついてはいないようだ。


「澪の小さいころからの言動や久江さんに対するなつき方を考えると、確かに腑に落ちる部分はあるわ。小学生のころに料理を作れたのも、史子ちゃんの記憶があったからなのね」

「そう。私の料理は全部、史子に基づいたものなの」

「私たちは史子ちゃんが亡くなった後にこの家を買ったから史子ちゃんのことはよく知らないけど、だから私とこんなに味付けが違うんだ。あー」


恵理子は額に手を当てた。


「酢豚を久江さんの前で作るのを嫌がったのも、史子の大好物だったからだよ。久江さんに史子を思い出させてしまうと思って」


息をつく声が方々から聞こえる。


「本当に、全て腑に落ちていくわ。酢豚の件もそういうことだったのね。そりゃ、亡くなった娘さんの味になるわけだし……。じゃあ澪が久江さんから料理を断られたのもそういう理由?」

「うん。史子と味付けが同じだからって」

「そういうことだったのね。ああ、本当に納得がいく。澪がただならぬ子供だと思っていた時期もあったけれど、そうか。あの時からもう、二十歳の記憶があったのか」

「子供のうちから二十歳の記憶があるってしんどくなかったか」


言ったのはお兄ちゃんだ。


「そうでもない。最初はいくつもの違和感があって、理解したのはもう自我が芽生えたときだったから。それより、今まで家族に言えなかったことのほうが辛かった」

「もっと早く言ってくれてもよかったのに」


恵理子は頬杖をつく。


「傷つくかなって」

「傷なんかつかないわよ、それくらいで」


笑い飛ばした。笑われることによって私の心は落ち着く。心配しすぎていたようだ。


「でも隣の家に生まれ変わったのって不思議ね」

「本当に不思議。隣に前世のお母さんがいるから余計に私の心がかき乱されて」

「澪は久江さんも大切にしているよな。それでいいんじゃないか」


忠が言う。案外、私の言うことをみんなすんなりと受け入れてくれた。


「人格は史子ちゃんじゃなくて澪なわけよね?」

「人格はどう考えても史子じゃない。記憶に左右されることもあるけれど、史子の人格では決してないよ。今の私は金沢澪という個の人格を持った人間」


記憶はあるのに人格は澪。なら史子の人格はどこへ行ったのだろう。消えてなくなっているのか、或いは史子の魂は、眠ったまま私の中で生き続けているのだろうか。


いくら考えても、そこは分からない。でも、史子の魂は私の中にいるような気がする。


「で、そのことを久江さんにも言うつもりなのか」


お兄ちゃんが訊ねる。


「うん、言うつもり。生きているうちに言っておけって彩夏に言われた」

「それこそ、言いかたを間違えれば傷つけるかもしれないぞ」


それは私も危惧している。


「でも言わなければ一生後悔する。それに、言わないのは久江さんにとっても私にとってもよくないことだと思った。私――史子は久江さんとの約束を果たせずに死んだから、私はそれを果たしたい」

「約束?」


お兄ちゃんは首をかしげる。


「久江さんの大好物の担々麺を、手作りすること。手作りする日に史子は死んだの。それを思い出したのが今年に入ってからで。それだけはなぜかこれまで忘れていて」

「ああ、だからあんなに担々麺にこだわっていたのか」


お兄ちゃんもついに合点がいったとでも言わんばかりに天井を見上げた。


みんな食は進んでいない。私は背を伸ばし、言った。


「十月二十一日は史子の命日なの。この日、時間をちょうだい。私は、久江さんに真実を言って、担々麺を作るから」


再びの沈黙。数分して、お兄ちゃんが沈黙を破った。


「なにも命日に言わなくてもいいんじゃないか。担々麺を作るのはその日でいいかもしれないけれど、久江さんにも心の整理をつける時間が必要だろう。ならば早めに言ったほうがいい。今日にでも言ってしまったほうがいいかもしれないぞ。十月二十一日という約束の日に担々麺を作りたいなら」

「じゃあ、そうする」

「たとえ史子ちゃんの記憶があっても、あなたは私たちの大切な娘だからね」


恵理子が言うのを、私は強く頷いた。


「だからこの家族とも、たくさんの思い出を作るよ」  


家族はちゃんと話を聞いてくれた。理解もしてくれた。それを有難く思う。


会おう。向き合って真実を伝えよう。


「私、行ってくる」


家族の間に流れる妙な雰囲気の中、急いでご飯を食べ終えると、久江ママのもとに向かった。ママの心を救えるのは、前世の記憶を持った私しかいない。


家族に話した時より、より緊張する。


久江ママの家の前で大きく深呼吸をすると、私はインターホンを鳴らした。


「はい」といういつもの声が聞こえてくる。


「澪です。どうしてもお話したいことがあるんです。開けていただけませんか」


私は丁寧に敬語を使ってそう言うことにした。


すると、久江ママが姿を現した。


「どうしたの改まって。寒いから中に入って」


遠慮なく家にあがらせてもらい私は少し迷って、いつも史子が使っていた椅子に座ることにした。久江ママはこちらを一瞥したあと、台所でお茶を淹れている。


「最近はどう?」

「元気でやっています。それより、久江さんに話したいことがあるんです」

「なに。急に敬語だし……」


困惑したような表情をする。


湯気の立ち昇ったお茶が目の前に差し出された。室内は暖房がきいていて暖かい。


私はしばらく目を閉じて、息を整えると切り出した。


「いきなりですが、今年の十月二十一日、久江さんに担々麺を作らせてください」


ママの目が、大きく見開かれる。天を仰ぎ、それから首をぐるりと回して正面に座った。


「担々麺が私の好物ってよく知っているわね。でも私……」


久江ママはうつむいた。


「史子が死んでからずっと、食べていないの」


薄々そんな気はしていた。これまで久江ママから担々麺の話を聞いたことがなかったから。


「どうして」

「約束を守れずにあの子は死んだから。担々麺、史子が作ると言ってくれて、一緒に食べようねって言ったのに、あの子と食べられなかったから」


ああ、と思う。私は「担々麺、作るからね」の言葉が約束だと思っていた。でも久江ママにとっては「一緒に食べようね」が約束だったのだ。


「澪ちゃんは以前、長生きしてって言ってくれたけど、本当はしたくないのよ。もういつお迎えが来てもいいと思っている。私も死んで早く史子と旦那の待つところへ行きたい」


久江ママは少しだけ感情を爆発させる。早く死にたいなんて言われると悲しい。


私はゆっくりと、意を決して口を開いた。


「ねえ、聞いてほしいことがあるの」


久江ママは顔をあげる。


「今まで黙っていたけれど、私には史子の記憶があるの」

「どういうこと」

「私の前世は佐川史子で、久江さんと博さんの子供だった」


息を吸う音が聞こえて来た。


「嘘よね? 嘘言わないで。冗談を言うくらいなら帰って」


今までに聞いたことのないような厳しい声が飛び、ママの目が潤んだ。


「私が冗談を言っているように見える?」

「思いたくないわ。澪ちゃんはいつだって優しい、正直な子。でも私に同情してそう言っているようにも――」

「塵も積もれば担々麺」


言葉を遮り言った。ママははっとしたように私を見た。


「どうしてその合言葉を知っているの。旦那も知らない言葉なのに。史子と私以外、誰も知らない合言葉なのに」

「覚えているかな。小学四年生のクリスマス会の時、プレゼント交換で私は紙屑をもらったよね。その時泣いている私に、ママはいろいろなことを教えてくれたよね。いい思い出をたくさん積み重ねていけば、いつかは今日のことも笑い話となる。プレゼントはそのことを教えてくれたのかもしれないって」


ママは驚いたように話を聞いていた。


「いつか、今日のことも宝物として話ができるように、これからいい思い出を山のようにたくさん作って、年を取ったときに笑える人生にしていきなさいって言ったよね。人生の最後が塵となるか宝物となるかは、史子次第だとも。よく覚えているよ。史子はそれほどいい人生を送れなかったけれど、今は毎日が宝物のような人生を送っているんだよ」


続く無言。私はさらに畳みかける。


「飼い犬のゴンが死んだとき、普段泣かないパパも大泣きしていたよね。死体を段ボールに入れて、お花を飾って。ペット専用の火葬場に行って最後のお別れの時、ママはゴンの横顔にキスをしていたよね」


嗚咽を漏らす声が聞こえる。私はなるべく笑顔で、でも涙を隠せずに話した。


「ママは担々麺が大好きで、ラーメン屋や中華へ行くときはいつも単品で担々麺を頼んでいたよね。店によって味が違うから、食べ比べるのが好きだって。それに対してパパが頼むのはいつもコース料理だった。パパは食べることが大好きで、どこへ行ってもコース料理を頼んでいたよね。人間、食べられなくなったら終わりだって豪快に笑っていた」

「どうして。どうしてそんなことまで知っているの」


久江ママは混乱したのか頭を抱える。


「ママとパパと私しか知らないこと、他にもたくさんあるよ。これで私が佐川史子だったという証拠になるなら、もっと聞きたい?」


間を置き、私は再び言った。


「塵も積もれば担々麺」


もう一度、ゆっくりと言った。


ママは抱えていた頭からゆっくりと手を放し、がたっと立ち上がると回り込んで私を真っすぐに見つめ、両手を伸ばした。


「あなた、本当に史子なの。史子なのね」


両肩を掴む。瞳の奥には深い悲しみと、一筋の希望があった。


「私は金沢澪であり、佐川史子でもあるの。物心ついた時から、史子の記憶があったんだよ。心の中では久江ママってずっと呼んでいた。史子の魂は多分、私の中に眠っている。あの遺影の写真だって、大学入学式の朝にママが撮影してくれたものだよね」

「そうよ。そう。澪ちゃん、本当に史子の記憶があるのね?」

「うん。どうしてかはわからないけれど、生まれ変わって帰ってきたよ」


ママは私を強く抱きしめた。


「体は澪ちゃんだってわかっているけどしばらくこうさせて」


抱きしめ返す。ママに抱きしめてもらったのは何十年ぶりだろうか。随分と細くなって、骨と皮と、肉が少ししかついていない。別れる前はもう少しふくよかだったのに。


「ママ。会いたかったよ。ずっと会っていたけどこれまで他人のふりをしてきた。でも史子として会うのはこれが初めてだね」

「史子。史子!」


抱きしめたまま、久江ママは名前を叫んだ。


「姿形は変わって人格も変わったけど、私は史子だよ。ママのこと大好きだよ」


ママは崩れ落ちた。そうしてぽつりと言った。


「史子に言ったこと、全部ブーメランになって返ってきていた。いい思い出を作って、それを宝物のようにして人生笑って最後を迎えなさいって言ったのに、史子がいなくなってから私はそれができなくなった。私の目からすべての色彩が消えて、何一つ幸せを感じることができなくなったの。私の人生はすべて塵だったんだって。泣きながら最後を迎えることになるんだって、ずっとそう思っていた」


私は立ち上がり、泣いているママの手をゆっくりと引いた。そうして椅子に座らせる。


「でも、これからは違うよね。私が久江さんと思い出を作りたいって前言ったのも、ママと思い出を積み重ねたいからだよ。だってそう言いだしたのはママだし。小学四年生の時の言葉が史子の時も、生まれ変わった今も、ずっと心に響いている。ママ、これからも一緒に思い出を作っていこうよ。別人格でも私は史子と一体なんだから。これからも傍にいられるから長生きして、最後に笑おうよ。塵も積もれば?」

「担々麺……」


ママは小さくそう言った。


「それに、リアルに手作りの担々麺も食べられるよ。私は史子の時に果たせなかった約束を果たすためと、ママに担々麺を食べてほしくて、先月からずっと練習してきたんだよ」


静かな息遣いだけがしばらく聞こえていた。そうして、ママは沈黙を破る。


「……もういいと言ったけれど、あなたが史子なら食べる。食べるわ」

「私のこと、これからも史子って呼んでもいいよ」

「それはダメ」


ママは涙をぬぐい、はっきりと言った。


「史子の記憶があってもあなたは今、澪ちゃんなんだから。ちゃんと澪ちゃんとして生きていかなきゃだめよ」

「わかった。でももう隣の家の他人じゃないからね。佐川家との繋がりも、私の中に眠っているから」


言うと、ママはまた両目から涙を流した。


「担々麺、史子の命日に作ろうと思う。それで大丈夫? 約束の日だから」

「澪ちゃんの中で史子が帰ってきてくれたから、私はそれで大丈夫。でも、昼間は毎年お墓参りに行っているの」

「それ、私も行っていいかな」

「学校は」


私は少し考えた。もうテストも終わったし、授業はしばらくない。


「文化祭の準備があるだけだから、休む。私も、お墓参りをしてみたい」

「わかったわ」


それからは、十月二十一日の待ち合わせ時間などを決めた。史子だった時に先祖のお墓参りもしていたから、お墓のある場所も知っているけれど午前九時に、家から一緒に行くことにした。


ママは椅子に深くもたれかかる。


「なんだかずっと胸につかえていたものが、すっと取れた感じ。澪ちゃんが本当のことを話してくれて、心が落ち着いていく」


目に色彩も戻るといい。史子はずっとそばにいる。


「ねえ、またママに料理作っても、いい?」


ママは頷いた。


「ええ。作ってほしい。勝手を言ってごめんなさいね。でも話を聞かせてもらった今なら、前とは違う気持ちで食べられるから。もちろん、自分でも作るようにするわ」

「じゃあ、また作らせてね」


それから二階を見せてもらうことにした。


史子の部屋は、使っていた机だけ残されていて、あとはなにもなかった。


「懐かしい部屋」


六畳のフローリング部屋。壁紙は史子が使っていた時より色あせている。でも、椅子の脚で床につけてしまった傷もそのままだ。


「史子が亡くなってから五年ほどそのままにしておいたけど、前に進まなきゃと思って机以外空にしたの。机はどうしても捨てられなくて」


いわゆる勉強机だ。机の下にあるブラウンのキャビネットもそのまま。中は空だという。


「高校の時から使っているやつだよね。高校に入学する前の春休み、これまでの勉強机は卒業してもう少し大人っぽいものを使いなさいってママがプレゼントしてくれたやつ」

「そう。大事に使ってくれていたのを知っていたから。それに史子との思い出を全部捨ててしまうことはできなくて」

「そうなんだ。残しておいてくれてありがとう」


史子の学校生活は悲惨なものだったけれど、親にだけは愛されていた。それだけが救いだったのかもしれない。もちろん澪である今も、恵理子や忠、お兄ちゃんに愛されているのだろう。私は果報者なのだ、と思う。


本当に懐かしい部屋だ。久江ママは毎日のように掃除をしているという。


一階に戻ると再びリビングのテーブルに腰を掛けた。


「ママはもう独りぼっちじゃないからね。史子が近くにいるから。私は澪だけど、史子も傍にいるんだよ。史子のこと、なんでも聞いていいからね」

「ええ。ありがとう」


それから一時間ほど、話し込んだ。史子のこと。私の現在の学校生活。友達が二人できたというと、ママは喜んだ。


「今度連れていらっしゃい。これも、史子との約束だったわね」

「そうだね。友達連れてくるって私、言ったよね。史子の時は嘘をついたけれど、澪になってからとても幸せだよ。いじめとは無縁で過ごせて、友達も優しい子たちだし」

「そう。よかった。ああ――よかった」


ママは笑顔で涙を流した。



夜も遅くなってきた。


「大丈夫? 涙、止まらない?」

「ううん、これは悲しくて泣いているんじゃなくて安堵の涙。澪ちゃんが、史子の記憶を引き継いで、幸せでよかったって思っている涙よ。だからもう、帰りなさい」

「うん……」


立ち上がる。少し尾を引くけれど、すぐに会える。帰ることにした。



「遅かったわね」


時計を見ると、午後十時になっていた。我が家のテーブルの上も台所も、奇麗に片づけられていた。恵理子がそうしてくれたのだろう。


「うん。話し込んじゃって」

「うまく話し合えたか?」


ソファーに座っていたお兄ちゃんが訊ねる。


「私の前世が史子だって言ったら、信じてくれた。合言葉があったから」

「合言葉?」

「久江さんと史子だけの秘密」


言うと恵理子もお兄ちゃんも聞きたそうにしたが、教えずにいると口をへの字に曲げた。


「だけど不思議なこともあるものだな。前世の記憶があるなんて」


リビングの椅子に腰を掛けて新聞を読んでいた忠も言った。


「記憶ごっちゃになったりしないか」


お兄ちゃんが気を遣ったように言う。


「時々史子か澪か分からなくなる時もあるし、史子の人生は辛いものだったから、その感情に引っ張られて辛くなる時はある。でも私は澪として生きているから、大丈夫」

「そうか」


一応十月二十一日は学校を休んで、墓参りに行くことを伝えた。特に誰からも咎められることはなかった。



翌日学校へ行き、彩夏と優菜に昨日の出来事を話すと、受け入れて貰えてよかったね、と彩夏と優菜は私を抱きしめた。これでもう、悩むことはないねと。


前に進むことができたのも、二人のおかげだ。学校生活は、相変わらず平和な雰囲気が流れている。文化祭の飾り付けの道具や看板はほとんどできており、段ボールに入れて教室の後ろに置かれている。




十月二十一日。


今日もよく晴れている。私は暗めの衣装を着て、午前九時前に玄関前に立った。


すると、隣の家から仏花を持った久江ママが出てくる。


「おはよう。じゃあ、行きましょうか」


頷き、ママと歩く。澪になってから二人で出かけるのも初めてだ。史子は今年で死んでから二十八年だという。初めて知った。これまでも計算しようと思えばできたけれど、怖かったので敢えて計算はしていなかった。漠然となら考えたこともあるが、しっかり計算はしていない。


生きていればもう四十代後半になっていたのだ。史子が死んだときの久江ママと同じくらいの年齢になっていただろうか。


法要は、二十七回忌に行い、次は三十三回忌になったら行うそうだ。史子はここにいるのだからもうやらなくていいのでは、と思うが流石に言えない。こういう行事は大事だ。


次に法要を行うときは、参加させてもらおう。その時は私も二十歳を超えている。生きていると信じたい。


お墓は、家から電車で乗り継ぎ四十分ほどのところにある。


たどり着くと、お寺の門をくぐり、桶に水を入れ、ひしゃく、スポンジを持ち、通路を歩いて「佐川家代々之墓」と書かれているお墓まで行く。ママはお彼岸の時にも墓参りをしていたそうで、そんなに汚れてはいなかった。


「ここにはパパも眠っている。私に掃除させて」

「じゃあお願いしようかしら」


私はひしゃくで水を汲み、お墓にかけながら、丁寧に墓石を磨いていく。


パパも眠っているけれど、史子のお骨もこの墓石の中に入っている。なんだかとても不思議な気持ちになった。魂は死にきれなかったのに、ここには史子の肉体が焼かれた後の骨があるのだ。今までの久江ママはここに来るたび、辛い思いをしてきたのだろう。実際に史子の納骨に携わったのも、パパとママだ。その時はどんな気持ちだったのだろう。


それほど汚れていないので、時間をかけずに墓石を綺麗にした


「ありがとう、澪ちゃん」


ママは花を飾り、お線香を買ってくるからと道を引き返していく。


一人、墓石の前でパパのことを思う。パパ、私は史子の記憶を持って、生まれ変わったよ。パパにもそのことを話せればよかったね。ママに正直に話せるようになるまで、時間がかかったよ。気づいたときに早く言えばよかった。そうしたら、久江ママに辛い思いをさせることもなかったのに。


ママが戻って来た。線香皿に線香を置き、水をかけて手を合わせる。私も真似た。


もう、ママが傷つくことはありませんように。これからはママといい思い出を作っていきます。だからママを長生きさせてください。ご先祖にそう祈った。


前世の自分の墓を見る、というちょっとしたイベントが終わった。


お寺から出ると、ママが言った。 


「お昼、少し早いけどなにか食べて帰りましょうか」

「うん。ちょっとお腹がすいているかも」


するとママは先を歩き始めた。ついていくと、一軒の店の前で止まった。


木製のスライド式の扉がある。看板を見ると「四季」とあった。


「お寿司屋さん?」

「そう」


中に入ると、カウンター席が並んでいた。昼はランチ価格の握り寿司があるらしい。


それを二皿頼む。店員が温かいお茶を運んできた。


「澪ちゃん、今日は付き合ってくれてありがとうね」

「いや。私が行きたいってお願いしたのだし」


ふふ、とママは笑う。表情には、あの日以来笑顔と覇気が戻っている。


「そうだ。もうすぐ文化祭があるの。今年は和風喫茶。袴を着てお客さんをもてなすんだって」

「へえ、楽しそうじゃない」

「今年はママも来て。袴姿、見てほしい」


史子の袴姿じゃないけれど、それでも喜んでくれるだろうか。そういえば大学の卒業式に女性はよく袴を着る。そんな晴れ姿も、成人式の着物姿もママには見せられなかった。


「行こうかしら。去年はお化け屋敷と聞いて行けなかったけれど」

「うん。高校生活もあと一年ちょっとで終わるから、一度くらいは来てほしいな」

「わかったわ」


握りセットが運ばれてきた。中とろに赤身、サーモン、甘えび、帆立、いくら、ねぎとろなどがある。


「頂きます」

トロを醤油につけて食べるとすぐに舌で溶けた。

「なにこれ」

思わずそう言っていた。赤身も舌で溶ける。このお寿司は食べるものじゃなく飲むものなのだろうか。そんな頓珍漢なことを思う。

「美味しいでしょう」

頷く。

「お墓参りの帰りにはいつもここに寄っているの。これまでいろいろな命を頂いて生きて来た。だから生きなきゃ。そうやって自分の心を誤魔化して――いや、事実だから言い聞かせて、と言ったほうが正しいかしら。それでなんとか命を繋いできたの」

 ママの本音。本当に、史子が死んでから生きる支えを失ってしまったのだろう。心のどこかで、何度も死ぬことを考えていたのかもしれない。

「ごめんね」


気づいたら口に出ていた。


「親不孝をして、本当にごめんね」


多分これは、史子の気持ちなのだと思う。澪ではありえない。そして澪であっても親不孝をしたという申し訳なさがいつもつきまとっていた。


ママは黙っていた。横顔を見ると、瞳が潤んでいる。


「さ、食べちゃおう」


あえて明るく言って、私は一口で握り寿司を食べる。


「うん、美味しい」


舌に溶ける寿司ネタは、お代わりしてしまいたくなるほど食べた気がしない。それでも、お腹にはずっしりと残る。


お茶を最後まで飲んで店を出る。ご馳走すると言ったママに遠慮して私は財布を出す。


「いいから。ここは奢らせて。大人は子供に奢るものよ」


ここまで言われたらなにも言い返せない。私はごちそうさまですと言って店を出た。


今夜は担々麺だから、ちょっとカロリー消費をしようと私が言うと、ママは駅ビルの中へ入っていた。最上階の七階まで階段で上がる。私は息切れを起こしていた。ママも少し息を切らせている。そうして、上から順にフロアを一周していく。特に買いたいものもなかったが、冬物のセーターを見てみる。


「史子は青が好きだったね」


ブルーのシンプルなVネックセーターを見て、言った。


きっと史子だったらこういうセーターを着ただろう。


「そうね。あの子は青がよく似合った。澪ちゃんは何色が好きなの」

「私も青と、あと白。グリーンも好き」


青が好きなのは、やはり史子の影響だろう。


「ママは、薄い緑が好きだよね」

「ええ」


ママは嬉しそうに笑った。今度お金を貯めて、誕生日か薄い緑のものでもプレゼントしようか。他人のふりをしてきたから、ママの誕生日に何かしたことは一度もなかった。


フロアを一周しつつ洋服を見て回ると、いい運動になる。激しい運動ではないけれど、お寿司で一杯になったお腹も、少しずつ軽くなっていくような気がする。


駅ビルを出るころには、割とすっきりしていた。


そうして、再び電車に揺られて家に帰る。墓参りの名目があるといえど、平日に学校を休んでお寿司を食べたり駅ビルの中を見て回ったりするのはなにかとても新鮮だった。


久江ママと別れ、一旦家に戻り休む。


今日、私はママと一緒に追体験をしようと思った。あの死ぬ直前と同じセリフを言って買い物へ行くのだ。そうして無事に帰ってくれば、ママの苦しみをより減らせるかもしれない。そのために昨日、私はあえてスーパーで担々麺の材料を買わずにいた。


追体験はカウンセリングにも使われるというから、いい手段だ。素人だけれど。ただ、ママをまた苦しませるかもしれない。そう思ってママには何も言っていない。

 


私も本当のことを言ってから、随分気持ちが軽くなった。これからは史子が思っていたことを遠慮なく口にできる。これまで言えなかったストレスも、大分軽減されていた。


恵理子はパートに行っていて、お兄ちゃんも一人暮らしの家に帰った。家で一人だ。


私は担々麺の作り方を、メモを見て、何度も頭で反芻する。作らなければすぐに忘れてしまう類の料理だ。定期的に作らなければ作り方を覚えていても、多分味が変わってしまう。


午後三時になって、恵理子が帰って来た。


「お帰り」

 迎え出る。

「ただいま。今日は忙しかったわ。秋のフェアで、新商品をたくさん出したから、お客さんがいっぱい。お茶でも淹れてくれる?」


体からはほのかにパンの匂いがした。パート先から匂いが移ったのだろう。


緑茶を淹れる準備をする。こうして恵理子との時間も作っていかないと。


「お墓参り、どうだった」


恵理子は手洗いを済ませると椅子に腰を掛けた。


「うん。前世の自分のお墓参りってなんだか不思議な気分」


お茶からは湯気が立ち昇る。


「それもそうよねえ。よく行こうなんて思ったわね」

「興味もあるし、全てを話した今、久江さんを一人で行かせるのも忍びなくて」

「そっか。ちょっと思ったのだけれど、前世の記憶があるってどんな感じなの」

「子供のころは違和感ばかりだったよ。あれ、これ知っている、の連続で。で、理解力がついたときにぶわーっと納得するの。それからは、今の私と昔の私が並行してある感じで。体調崩すと、たまにどっちがどっちだかわからなくなる。この前風邪ひいたときみたいにね」

「ふうん。変わった体験しているわね。でもお母さん、これもなにか意味のあることだと思っているわ。どういう意味なのかはよく分からないけれど、きっと史子ちゃんによほどの心残りがあって神様が久江さんにめぐり合わせてくれたのかもしれないわね。澪という形になって」


恵理子はお茶を飲んで、そう言った。


「うん、私もなんだかそんな気がしているよ」


史子の心残りは担々麺を作れなかったこと。たったそれだけだけれど私にとっても史子にとっても大事なこと。


「ねえ、今日は夕飯任せていい? お父さんとお母さんの二人分でいいよ」

「わかったわ。澪は久江さんのところへ行って、約束を果たしてきなさい」


頷く。二階へ行くと、軽く部屋の掃除をした。四時過ぎになって、日も暗くなってきたころに、財布の入ったエコバッグを持って久江ママの家へ行く。冷え込みが少しだけある。でも、今日はあの時ほどではない。


インターホンを鳴らすとすぐに家に入れてくれた。


「楽しみだわ」

「甘みがあるのと、甘みがあまりないの、両方作れる。味が違うやつ食べられるよ。今日はどっちがいい?」

「そんなに練習していたのね。じゃあ、今日は甘みのあるほうを頂こうかしら」


さあ、あの言葉を言おう。私はママに向き直った。

微笑み、目を見る。


「担々麺、作るからね」


はっとしたようにママは目を見開く。そうして笑顔を作った。


「一緒に食べようね」

「じゃあ、材料買ってくるから」


ママは涙を呑んでいる。


「行っていらっしゃい」


落ち着いた心で家を出る。あの時は焦ったのが事故に繋がった。今日は自転車は使わない。というか澪になってからは、あまり自転車に乗っていない。


歩道の信号に慎重になりながらスーパーへ向かった。


豆板醤や鶏がらは家にあるしお兄ちゃんの家の近くのスーパーで買った花椒の残りもあるけれど、全て新品を買って作ろうと思った。史子がしようとしていたことだからだ。


史子は、どんな担々麺を作るつもりだったのだろう。甘みがあったのかそれとも辛かったのか。史子が頭に叩き込んでいたレシピは覚えていないから、本当にわからない。


スーパーへ着き、手早く買い物を済ませる。


外はもう暗い。エコバッグに材料を詰め込んで帰り道も気を遣いながら歩く。信号を無視するトラックも、スピードを出している車もない。道路にもただ、日常の穏やかな空気が流れていた。


久江ママの家に戻る。ママはほっとしたような表情をして迎えてくれた。


「お帰り」


私は材料をエコバッグから取り出し、テーブルに並べさせてもらった。


「今から作るね。今日はお墓参りで疲れたでしょう? ママは休んでいて」

「じゃあ、ラーメン屋さんでラーメンが出てくるのを待っている人みたいにしているわ」

「時間かかるよ」

「いいわよ」


声が明るい。ママは椅子に座っていた。私は台所に立つ。視線を感じて振り返ると、

ママが見ていた。目が合うと微笑む。私も微笑んだ。あの日の続きは、本当はこうなっていたのかもしれない。


台所で、集中することにした。調理器具は変わっても、置き場所が何一つ変わっていない。箸置き場も木べらの位置も。だから史子の時みたく手早く調理器具を取り出すことができた。ひき肉を炒め、野菜を茹でるのを終えると、肝心要のスープ作りに入る。今日は砂糖を大さじ1入れてみた。そうしてほかの材料を合わせて、味見をする。砂糖が入っているだけあって、やはり甘みがある。あとはお兄ちゃんの家や彩夏の家で作ったのと同じ。 


オイスターソースを多めに入れて深みと旨味を出し、味見をしながら少しずつ濃くしていく。練りごまペーストも一つ半入れ、スープを白く。


最後に花椒を入れて香り立たせた。


「ああ、懐かしい匂いがするわ」


振り返ると、ママは遠くを見つめていた。


沸騰したお湯に麺を茹でて、途中で水を差した。麺が茹であがる前にラーメンどんぶりを食器棚から取り出す。


「やっぱり、うちのどこに何があるのか知っているのね。手際が史子と同じだわ」

「うん」

「本当に、史子なのね」


うん、と再び答える。麺が茹であがったので、一度ざるに入れて水を切り、どんぶりに入れる。スープを入れ、もやしの上に肉味噌と白髪ねぎ、チンゲン菜を添えて、ママの目の前に置く。


作り始めてから一時間が経過していた。


「この見た目……担々麺だわ。本当、見るのも久しぶり」


白と赤の融合。私も自分の分を目の前に置くと、れんげと箸を取り出し座った。


「リビング中に、担々麺の香りがしているね」


あえて明るく言うと久江ママも笑った。


「食べましょう。頂きます」


ママはまずはれんげでスープを飲む。うん、と言いながら麺をすする。


「ああ、この味。ピリッと辛くて美味しい。それに甘みがあってまろやか。担々麺だわ。担々麺が食べられる日が来るなんて夢にも思わなかった」  


史子が死んでから食べていないというからおそらく二十八年ぶりくらいなのだろう。

「どう? 久しぶりに担々麺食べて」

「美味しいし、嬉しい。やっぱり私、大好きなんだなって」


私も麺をすする。あの日の続きを体験している。


「作ってくれてありがとう」

「今日は砂糖を入れているの。今度は砂糖なしので食べてみて」

「わかったわ」


ママは箸を止めない。


どんぶりの中に麺がなくなると、今度はれんげでスープを追いかけ始める。


「ああ。この味、病みつきになるわ」


口にしてはもう一口。もう二口。そうしている間に、ママの頬から涙が伝っていた。


泣きながら、スープを飲んでいる。


「泣いているの」


私も、気持ちが溢れて涙がでてきた。


「だって、これはあの日の続き。悲しさと嬉しさと、色々な感情がごっちゃになって。これが澪ちゃんと史子の担々麺なのね」


れんげと箸を置き、頬を伝う涙を手で拭う。


「随分長いこと待たせちゃったね」

「……本当に長かった。でも食べられるなんて思ってもみなかった。夢みたい」


二人で涙を流す。喉の奥に残る味は、涙の分だけ塩辛い。


私の中の感情も忙しかった。史子が私の中で嬉しがっているような。なのに私が悲しいような。でも長い長い時を経て約束を果たせた。ちゃんと食べてもらえた。


「でも、史子があの時どういう担々麺を作ろうとしていたかは、実はわからないんだ」

「そうなの」

「史子の時に頭にあったレシピは澪になってから全部消えていたの。だから今ママが食べた担々麺は、九月に入ってから生み出されたものだよ。史子はどう作ったのかってずっと考えているけれど、そこだけ記憶にない」


ママは溢れる涙を拭き、ゆっくりと言った。


「きっと、それほど変わらなかったと思うわ。だって、史子の味もなんとなく感じられたもの。あの子、少しだけ優しい味付けをするの。もちろん澪ちゃんもね」


優しさにも種類がある。恵理子もお兄ちゃんも、異なる優しさの味がする。


なら史子の優しさってどんなものだろう。それは私にもわからない。


「ピリ辛担々麺から優しさって感じ取れるものなの」

「もちろん。だって親だもの」


久江ママは泣きながら笑った。私も泣き笑いをする。


史子がいなくなって何十年も経っているのに、娘の味付けを覚えているのは本当に凄い。子供が作った料理に対し、親しか感じ取れない独特な味覚というものを、少なくとも久江ママは持っているのかもしれない。


「担々麺を作る練習をしている時にね、美味しいダイニングを見つけたの」

「どんなところ」

「『桂蘭』っていうところ。今度一緒に食べに行こう。ママが好きだった中華ダイニングに、雰囲気が似ているんだよ。ものすごく美味しいの。使ったスパイスはそこから教えてもらった」

「へえ。そんなに美味しいなら食べに行きましょう」


ママがティッシュを持ってきたので、二人で涙を拭く。


ママの瞳は赤くなっていたものの、輝いていた。


「まさか、本当に担々麺が食べられるなんて思ってなかった。随分前に封印していたはずなのに。澪ちゃんが、救い出してくれた」


ママの気持ちは救われたのだろうか。ふとそんなことを思う。


「これからは遠慮なく担々麺を食べてね。いつでも作るよ」

「ありがとう……今日という日を本当に、感謝しなきゃ。あの日の追体験をしているのだもの。あの日史子が帰ってきたら、こうして二人で担々麺を食べていたのよね」

「そう。博パパは仕事で遅くなるから後回し。きっと先に二人で食べていたんだよ」


久江ママの顔色はすごくいい。それに最近は笑顔が多くなった。


史子が近くにいて、久江ママはもう我慢することなど何もないのだ。


「なにか困ったことがあったら、なんでも私に言ってね。史子はここにいるから、もう何も遠慮することなんかないんだよ」


言うと真顔になり、ママは力強く頷いた。


担々麺を食べてくれた。それがなによりも嬉しかった。


私の中で、胸の中のつかえがとれた。

史子の心残りも、すっと消えた気がする。



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