062
「誰かが死ぬことで繰り返しが終わる確証でもあるの?あなたがやっていることはただの殺人だよ」
「何度殺したって、何度悪いことをしたってまた繰り替えす。誰も俺を裁かない」
「私は気付いてるよ」
「俺はいっそ狂ってしまいたいんだ。永遠に繰り返す日々の中で永遠にハッピーに遊んでいられたらいい。でも、できない。終わらせたいんだよ」
男は威嚇するようにドンと足を踏み鳴らした。アオネは反射的に走り出す。
「さあ逃げろ。あと9分だ」
男が叫ぶのが聞こえる。アオネは夢中で走った。
男の言った通り、山の裏手に地下道は見つかった。壁にはスプレーの落書きで覆いつくされ、天井の切れかけた古い蛍光灯は数メートル先までの視界しか確保してくれなかった。地下道にはアオネの荒い息遣いと足音が大きく反響した。
突然、足元が揺れて、アオネは倒れ込む。天井からパラパラともろくなったコンクリートの欠片が落ちてくる。立ち上がろうとした瞬間、もっと大きな揺れがあり、アオネの体はバランスを崩して壁に激突する。
頭を打ったのか、目の前が真っ暗になり、意識が遠のいていく。
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