033

アオネはカバンからラムネの瓶を取り出した。水色に透き通るガラスの瓶。

「私も夏が好きだよ」

青年の目から涙がこぼれた。透明な液体が白い頬を伝っている。その瞳の奥で、何かを思い出しているのだろうか。

「ありがとう」

青年は言った。

「僕はこの町で、この日のままで永遠に変わらないでいる。ずっとこの町で夏を思い続ける」

青年とはそこで別れた。アオネがもと来た道をたどり、洞窟に入っても、青年は蛍の前でラムネの瓶を握りしめ続けていた。


アオネは目を覚ます。手には読みかけの小説を持っていて、ローテーブルの上にはぬるくなった麦茶が置いてある。ぎこちなく首を振る扇風機、ゆっくりと煙をくゆらせる豚の形の蚊取り線香。開け放した縁側の窓からは、夏の午後の風景が見える。縁側に落ちた木陰が湿気を含んだ生ぬるい風で微かに揺れる。よく今まで眠っていられたな、と感心するほど、蝉の声がうるさかった。

同じ夏の日は、何度も何度も繰り返す。


~エンド2 繰り返し~


プレイしていただき、ありがとうございました。エンドは全部で4つあります。4つのエンドを回収した後、特別エンドが解放されます。特別エンドは作者の近況ノートからチェックしてください。

プレイを続行する場合は、アイテム欄、実績欄はそのままで、001から再び読み始めてください。


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