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「夏の色、といって私に思いつくのはツユクサですね」

「ツユクサ、夏の朝に咲く青い花ね」

女性は遠い目をする。

「夏休み、小学校の宿題でもある朝顔の観察のために朝早く起きると、朝顔も咲いているんですが、庭で朝露に濡れたツユクサも見ることができました。色水遊びにも使いましたし、私にとっては夏の色として印象深いですね」

「素敵ね」

女性は言った。

「夏の朝は綺麗。汚れない、静かで穏やかで、なのに鮮やかで瑞々しい。私もそんな朝が好きだったわ」

女性はパレットに濃いめの青を絞って混ぜた。ツユクサのような色になる。

「いい話を聞かせてくれてありがとう」

女性は再びキャンバスに向き直った。


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