第10話 私の状態。

自分になるってどんな気持ちだろうって考えた時に思い浮かぶのは、アスファルトの上に倒れた翼を失った鳥のようだと思う。


絶望は絶望を経験した人しかわからない言葉だと思う。


私はアスファルトの上に倒れ込んだまま何も言えないでいると、周りから人が来て言う。


『ああ、死んじゃったんだ』

『いや、生きてるよ』

『ピース、事故現場なう』

そんな感じで酷い言葉が私に向けられる。

そんな言葉で突き刺された私はこの場を去ろうと這いつくばりながら、歩こうとする。

でも、周りの声は私が動くたびに耳に届くように言葉を吐き捨てる。


私は死んでない。

生きてるって口にしても誰の耳にも入らない。

だって、私が嘘つきだって。

みんなが口を揃えて言うからだ。

誰も信じてくれないなら、私は誰も信用しない。

誰にも私の言葉をわかってくれないから。


そんな状態に慣れてしまった時に、私は人というものを信用しなくなった。


私はもう傷つきたくないからだ。


そんな私に手を差し伸べてくれたのが、私の中でできた初めましての人格のUだった。


彼女の声がいつのまにか私を癒し、そして私を守るように私の代わりになった。


私は彼女のおかげで、絶望から抜け出す一歩を踏み出せた。


夢見た空を飛び自由に羽ばたくことを1から考えてくれた存在ができたのがUだった。


ルーナより。

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