禁断の地にて待つ者

「見えましたわ! 立ち入り禁止のフェンスですわ!」


 遂にメオちゃんは古墳に辿り着きました!

もうちょっと尺を伸ばしても良かったのですが、作者にその気概は無かったようです。


『メオちゃん!この先に、とてつもないゴウヨクの気配がする。気をつけるんだ!』

 別にこのセリフは要りませんでしたね。

全く、しゃしゃり出てくるモブ首飾りには霹靂してしまいます。


 メオちゃんがフェンスを越えた先、林の中で待ち構えていた者は!!


「ココはワシの所有地だぞぅ。不法侵入で訴えるぞぅ!」

 –––– なんと!地主が現れました!

既得権益の化身、親ガチャの勝ち組、テメェは平民を怒らせた!! って世論が聞こえて来そうです!!


「首飾りさん? この人、強そうには見えませんわ?」


『メオちゃん、コイツじゃない。無視して進もう』


 なんて事!! コイツは『村人1』の立ち位置でした! と言うわけで、無視して進みます。 すると、小高い丘が見えて来ました。


 –––– 遂に魔砲少女はたどり着いたのです。

さあ!早くハオちゃんを!!


『待っていたよ、魔砲少女。僕は最後のゴウヨク四天王のひとり、『臭撃のカギリスク』。ハンムラビ様の命令により、君を滅する』


 …… 四天王とは? 残り2人は何処へ?!


「おかしいですわ!! これでは2天王ですわ!」

 これは、作者の手抜きでしょうか?

なら始めから四天王なんて言わなきゃいいのに! しかし、その時、臭撃のカギリスクは衝撃な事実を告げたのです。


『いやぁ、アレなんだよ。最近話題の……。

【味撃のバイ・キング】は、出勤初日から無断欠勤するし、【光撃のハーゲス】はポリコレや人権団体が騒いで出演NGだし。困っちゃうよね?』

 そんな……事が……。

これにはメオちゃんも同情を隠せません。

 つい、手に持ったビニール袋を落としてしまいました。ハオちゃんが割れていない事を祈りましょう!


「アナタも大変ですわね。取り敢えず、悩みを聞きますわ。ちょうどCMを挟みますわ」


※という訳でCMですわ。


【 ♪〜 –––– キミが降り注ぐ。僕の手で世界の殻を破られたキミは自由だ。

 その新たな世界に放たれた、キミは笑ったんだ。


 僕が残した「有難う」の言葉。

それはゆっくりと溶けていき、またキミも混ざっていった。

 美しいキミの色が薄らいでゆく……。


 そして、キミは灼熱の鉄の上に流されてしまった。


 ああ!玉子の黄身よ!!

美味しい玉子焼きになっておくれッ!!


 –––– 誰でも簡単調理! 玉子焼き機!!

お求めは近くの金物屋さんで!! 〜♪】



『…… 同情には感謝するよ。でも、僕は君を屠ることになる。それが、僕に与えられた役目だからね!』


 おっとCM明け早々、激しいバトルの予感!

色んなアニメに使われる手法が本作にも降臨しました!!


「ええ、私も負けられないのですわ! 行きますわよ、首飾りさん。変身ですわ!」


 さあ!メオちゃん、正念場よ!!

ハオちゃんの為にも、臭撃のカギリスクをやっつけましょう!

 さて、彼女の変身は何かしら? これには全人類が期待せざるを得ません!


「メオはダックスフンドですわ!」


 キューーーーーーートッッ!!

ダックスフンドの擬人化!これは罪です。

本作を読んでいる読者がいれば課金要素だと言っても過言ではありません!


『バカな、僕は臭撃のカギリスク。臭いで攻撃するという予想は出来たはずだ! 更には、『嗅ぎ危険リスク』と、名前まで二段仕込みの親切設計! それなのに、犬の臭覚力は人間の3,000倍から10,000倍だ。 何故、そんな自滅のような行為を?!』


「全ては、私たちの勝利の為ですわ。たとえ、どんな苦難が待ち受けてでも……。ハオちゃんは、私が救いますわ!」

 臭撃のカギリスクは、『そこまでの覚悟か……』と、戸惑いながらも、大きく両腕を広げました。 その姿は、蝶のように舞い、その臭いは蜂のように目を刺します!


『ならば! せめて苦しまぬよう最大出力で葬ってやる。食らえッ! 超現実シュールストレミングッ!!』


 –––– この技はッ!! スウェーデンが誇る世界一臭いと有名なニシンの缶詰です! 犬並みの嗅覚を持つメオちゃんには、致死量と言っても過言ではありません!!


「ぎゃふん、です…わ」

ああああ!! メオちゃんがブッ倒れました!! こんなにも、呆気ない結末だなんて誰が予想出来たでしょう!


『魔砲少女、敵ながら…その気概は尊敬に値する。しかし、我々ゴウヨクとは相反する存在。どうか許してくれ……』

 臭撃のカギリスクは、シュールストレミングを封印ジップロックすると、古墳に咲く花を一輪摘みました。


『せめて、埋葬はしてやろう』

 カギリスクは倒れたメオちゃんに近寄ります。しかし、彼はを感じていました。

 なんと、メオちゃんの鼻には彼女の持っていたビニール袋が被さっていたのです。


『これは……まさかッ!』

人類が生み出した叡智、ビニール袋。

近年、有料化になったビニール袋……。

絶対に被ってはいけないビニール袋!!

※マジで被ってはいけません。窒息します。


 それは、水や臭いを遮断するのです。


「……ふふ、女優並みの名演技でしたでしょう? ですわ」

 メオちゃんは無事でした!!

流石は知能派! 犬に変身したのは、カギリスクを油断させる作戦だったのね!?


『くッ、舐めた真似を! だが、状況は変わらない。もう一度食らわせるまでだ!』

 しかし、メオちゃんは勝利を確信した表情を浮かべています。


「臭撃のカギリスク。アナタはもっと重要な事を見落としているのですわ」

 メオちゃんの言葉に、カギリスクは『はっ』と、何かに気がついたようです。


『まさか…… そのビニール袋の中に入っていたは、どこに……やった?』


「気づきましたわね。私がCMの前にこの袋を落とした事に。古墳に空いた穴の近くで落とした事に! 中にあった埴輪…… ハオちゃんは今頃、吸収の壺まで転がっていっている筈ですわ。充分時間が稼げましたわッ!!」


 そこまで考えていたのね!!

もう、主人公はメオちゃんで良い気がした来ました!!


 その時、古墳の中から声が……。

そう! 私達の待ち望んだ魔砲少女の声が!!


「 –––– やあ、アッシだよ……… 」


           –––– つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る