ハオちゃん救出編

いざ思い出の場所へ

 皆様、ごきげんよう。

私に逢いたかったでしょう? みんなのGET WILD 、モノローグが返って来ました。

 ……え? ジノちゃんの方がいい?

もう! 冗談が上手いんだからッ♪


 私は大丈夫よ。お休みの間に京都でスッポンと、浜松で鰻を食べて元気いっぱいです。

 勿論リボ払いですけどね?


 さあ! 気合いを入れてハオちゃん救出編行ってみましょう!



「ハオちゃん。もう少しの辛抱ですわ」


 コンビニのビニール袋に埴輪を入れ、大事そうに抱えながら女庭メオちゃんは走ります。

 禁断の聖域立入禁止の古墳まで、あと5キロ。ビミョーにバスに乗るか歩くか判断を迷うところですね。


『メオちゃん、大変だ。強力なゴウヨクの気配がする!』

 そう発したのはメオちゃんの赤い首飾りでした。久しぶりの出番にテンションが上がってるみたいですね。

 そうこうしているうちに、メオちゃんに立ち塞がる影がありました。


『貴女がもう一人の魔砲少女ですか。あたしはハンムラビ四天王がひとり、音撃のサイレーンです』


 –––– 四天王?! なんて事!

ベタな展開の上に、あと3体出てくる伏線にゲンナリしそうです!


「やっぱり、簡単にはいきませんわね。首飾りさん、変身ですわ」

 メオちゃんが首飾りを握りしめた時でした。

 『メオちゃん、駄目だ。古墳の近くで更に強力な気配がある。今、変身してしまうと魔力が切れてしまうよ!』

 首飾りごときが、サブヒロインに意見するなんて! これは極刑にあたる暴挙です!


「わかりましたわ。変身はとっておきましょう」

 メオちゃんが首飾りから手を離す姿に、音撃のサイレーンは『舐められたものね』と、不服そうな表情を浮かべています。

 次の瞬間、サイレーンは大きく息を吸い込むと【ピーポーピーポー!】と、発しました。

 すると、恐るべき事に『ピーポー』という文字が空間に現れ、メオちゃんを襲います!


「キャ、ですわ!」

 間一髪避けましたが、メオちゃんは大きくバランスを崩しています! このままでは、次の攻撃を避けられそうにありません!


『他愛も無いですね。とどめよ。【ファンファンファン!】』

同じく『ファン』という文字がメオちゃんに迫ります! メオちゃん!避けて!!


 –––– しかし、無情にも地を裂くような衝撃音が大気を震わせました。 砂煙の中、押し寄せた『ファン』によりメオちゃんの安否は絶望的です。 なんて事……。


 しかし、物語は思いもよらないご都合主義の加護を受けているようです。

 砂煙の中から聞こえてきたのは、聞き覚えのある男の声でした。


「よう、危なかったな」


「あ……、アナタはカメヘンマイダーのタケシさん!!」

※カメヘンマイダーのタケシとは前作の【不条理なる愛国者】で登場した人物です。


 タケシと呼ばれた少年は、『ファン』を受け止めていました! ファンタジスタも項垂うなだれるファンサービスが炸裂です!


「メオちゃん、前の借りを返しにきたぜッ!

噛めへん・米だぁ、変ッ身ッ!!」

 ああ、タケシくんはご飯を噛まずに口にかき込みます。これが彼の自分を犠牲にする変身方法……。 ええっ?! ご飯がおかゆに変わってます! 胃に掛かる負担を軽減させる新しい変身なのね!


「タケシさん…… 助けてくれて有難うですわ。また逢えて嬉しいですわ」


 変身を終えたタケシの姿は、炊き立てご飯のようにツヤツヤと輝いています。

 彼は音撃のサイレーンを見据えながら、「さあ、メオちゃん。君には目的があるんだろ? ここは俺に任せて先に行くんだ」と、背中で語りかけます。 いい男になったじゃない!タケシ!!


「タケシさん、有難うですわ。きっと勝てると信じてる。次会った時は梅干しをプレゼントしますわ!」

 メオちゃんはその言葉と共に駆け出しました。


『行かせないわよ、魔砲少女。食らいなさい【ウゥー!ウゥー!!】』


「おっと、邪魔させねーぜッ!マイダー・パンチッ!!」

 タケシの拳が『ウゥ』を打ち砕くさまは、緊急車両の走るが如き道を切り拓きました。


『小癪なぁ! なんなんだ貴様は?!』

おおっと、ここで音撃のサイレーンがヒステリーを起こしました!

 その隙にメオちゃんは遥か遠くまでランナウェイ完了です!


「–––– 俺は、カメヘンマイダーのタケシ。オマエを倒す男の名前だぜッ!」


              –––– つづく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る