土製の魔女
「アッシは……。アッシは、負けないんだよ!」
「ええ、負けてはいけませんわ」
–––– さあ、皆様。
何が起こっているのか不思議にお思いでしょう。
ハオちゃんが激闘を繰り広げている相手…… それは! 牡蠣です!!
売り物の牡蠣を食べたい気持ちと、壮絶なバトルが脳内で繰り広げられていたのです!
「ひとつくらい、バレないよ」
「駄目ですわ」
今日は町内会のお祭りです。
ハオちゃんとメオちゃんは、出店している牡蠣小屋の看板娘に抜擢されていたのです!
え? 年少者労働基準規則に抵触してる?
大丈夫!ハオちゃんが生まれたのは〇〇〇年なんで、現年齢に換算すると……… 少女です!!
そんな楽しいイヴェントの中、必ずといって発生するのが、イキったヤンキーと民度の低そうな親父です。
ハオちゃん達の牡蠣小屋にも、その災厄は訪れてしまいました。
『おうおうおう、ねーちゃん! その生牡蠣全部貰うぜぇ?!』
なんと! 一万円札をピラピラさせながら肩で風を切るオッサンが現れました!!
これにはハオちゃんも黙ってはいれません。
「買い占めは駄目だよ。お母さんが言ってました。だよ」
その様子に、埴輪の髪留めは香ばしい声をあげます。
『おおおおぅ…… ハオよ。奴は独り占めのゴウヨクじゃぞぅ!』
危険です!ゴウヨクのオッサンが、『金ならあるんじゃ!全部寄越せぇ!!』と、叫びながら走って来ます!
しかし、百戦錬磨の魔砲少女は冷静に髪留めに手を伸ばします。
「逃げれば(牡蠣)ひとつ。進めば(牡蠣)ふたつ食べれるんだよ! 変身だよ!」
「ハオちゃん、ファンに殺されますわよ。私も変身ですわ!」
さあ、2人を光が包みシルエットが浮かび上がります! 今日の素敵なコスチュームは何でしょう?
「ハオちゃんは
「メオは、その空気清浄機のパイロットですわ」
なんと斬新なコンビでしょう!
空気清浄機にまたがるメオちゃんは超セクシーです!!
「オイスターリンク…よし、各兵装よし、ご飯も食べた!メオちゃん、行くんだよ!」
『なん……だと?! 牡蠣の匂いを無くして、俺の食欲を奪うつもりかッ?! だが、甘いぞ魔砲少女! 俺のやりたい事リストは、牡蠣に当たるまで食い続ける事だからなぁあ!』
このゴウヨクはッ! オイスタースコアがレベル8に達しています! 死を恐れぬ程の覚悟なんて、ハオちゃん!危険よッ!!
「アッシは飛べる、踊れる、
メオちゃんは、ハオちゃんの言葉に唇を噛みながら「ハオちゃん約束して…… 死んだら駄目ですわ」と、吸引口から魔砲を注入し始めました。
すると! ハオちゃんの匂いセンサーのライトが緑から赤に変わります! そして、ハオちゃんのファンは唸り声をあげ高速回転し始めました。
「いっけぇー!!
何という事でしょう!!
ハオちゃんの魔砲で複数の牡蠣がゴウヨク目掛けて飛んでいきます!!
本作始まって以来の魔法っぽい演出が実現しました!!
魔砲少女達は声を合わせて叫びます!
「「(食)当ったれぇぇ!!」」
殻付き牡蠣は意思を持ったかの如く、飛翔しゴウヨクに迫ります! しかし!!
『小癪な魔砲少女め! だが!この程度か』
なんと! ゴウヨクは牡蠣の殻を弾き、身の部分を食べ尽くしました。
「ゴウヨク…… 引っかかりましたわね。その生牡蠣は、2日常温保存していたものですわ!」※絶対に真似しないでください
『げゔぉあ?! なんだ! この生臭さは!! 目、まいが、して、来た、おヴェぇえええ!!』
こうしてゴウヨクは牡蠣の殻に沈みました。
「勝敗は空気清浄の性能のみで決まらず! 悪•霊•退•散!!」
「操縦者の技のみで決まらず! 悪•鬼•殲•滅ですわ!」
『おおおおお…… ただ、結果のみが真実じゃぞう!!』
こうして、土製の魔砲少女はゴウヨクの魔の手から町内会を守りました。
これからも彼女達の壮絶な戦いは続きます。
–––– つづく。
本当に某作品のファンの皆様ごめんなさい。私も某作品は大好きですよ!!
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