第35話 物語の結末
「あなたに伝えたいことがあります。」
告白するのってこんなに勇気がいるのか
彼女はすごいや
僕は彼女のことを思い出す。
ーーーーーーーーーーーーーー
ギュッ
キラさんは僕の頭を抱き締めた。
「キラさん?」
「隆二…
こんなタイミングでごめんね…」
そして、彼女は僕に言ってきた。
「隆二…私、あなたのことが好きなの。」
「キラさん…」
なぜ…
なぜ…今なんだろう
僕には受け止める余裕はない。
「あなたは壊れていて、弟を言い訳に前に進めなかった私を救ってくれた。」
やめてくれ!
「あなたと弁当を食べたり、登校したり美化委員の仕事をしている時間は楽しかった。」
やめてよ!
「なにより、あなたと手を繋ぐ時間が幸せだった。」
やめて…
「白木隆二!
私はあなたと幸せになりたい。」
…
「だから、付き合ってください!」
「どうして…今なんですか?」
「今しかないの…」
「どうして!!」
「だって…」
「隆二、いまりんに告白するんてしょ!!」
「なんで…」
「わかるよ!
だって好きな人のことだもん!
いまりんからのメッセージ返してるときの
隆二は優しい目をしていた。
私には向けてくれない目を…」
彼女は気づいていたのか
僕の気持ちに
僕よりも早く…
だから、このタイミングで告白してきたのだろう。
僕が伊万里の気持ちに気づいたことを感じて。
明日、僕が伊万里に告白するのを予想して。
だからこそ、このタイミング以外に告白するタイミングがなかったのだろう。
僕の気持ちを知っているのに
しなければならない最悪の告白を…
「ごめんなさい…グス
キラさん…
ごめんなさい…ヒック」
「なんで、隆二が謝ってるの?
最低なのは私だよ。
隆二が辛いのに告白する私。」
キラさんは自分のことを最低だと言う。
違う!これは僕を傷つけないようにするため言っている。
それに僕より辛いのはキラさんだ。
「こんな告白させてしまってすみません。
全部僕が悪いんです!
僕が…」
キラさんが頭を撫でてくれる。
「大丈夫だよ。隆二は悪くない。
だから、私のことを振ってよ。
それだけで私は救われるから。」
一度、キラさんは立ち上がって離れる。
僕も立ち上がる。
「合間煌さん!
あなたの気持ちは受け取りました。
こんな僕を好きになってくれて
とても嬉しいです。」
「はい」
キラさんの顔は涙で汚れている。
「だけど、ごめんなさい。
僕には好きな人がいるので
あなたとは付き合えません!」
頭を下げる。
少し時間がたつ。
僕は涙が止まらない。
キラさんは何も言わない。
当たり前だろう。
顔をあげる。
キラさんはないている。
当たり前だ。
僕が泣かしたのだから。
「隆二…」
彼女は口を開いた。
「ありがとうね。」
彼女は感謝の言葉を言った。
「真剣に考えてくれてありがとう。
これでようやくスッキリできるよ。」
「僕は…僕は」
「なんで、私より泣いてるのよ~
男の子なんだからしゃきりする!!」
「キラさんが…優しいから」
「君を傷つけてるのに優しいわけないでしょ。
ほんとはこんな告白もしたくなかったよ。」
「じゃあ、なんで?」
「この気持ちを言わないまま
振られる方が嫌だったからよ。」
彼女は笑顔でそう言ってくれた。
ーーーーーーーーーーーーーー
彼女のためにも僕は逃げない。
そう決めたんだ。
だから、僕は目の前にいる彼女に告白する。
振られることなんて恐れない。
「あなたのことを知ってから、知れば知るほど惹かれていく自分がいました。
自分に自信がなくあなたの周りには人が集まるので諦めようともしました。
だけど、諦められないから伝えます。」
だって、
ここでしなかったら
振られると分かってて
告白してきた彼女に申し訳がたたないから
「黒森伊万里さん!
好きです!!
僕と付き合ってください。」
頭を下げて手を伸ばし告白する。
ゴンドラの中を静寂が包む
心臓の音がすごい
めちゃくちゃ手が震えてる
言ってることもめちゃくちゃ
本当にカッコ悪い
だけど、僕の全てをかけた告白なんだ。
静寂が続く
伊万里は呆れてそっぽを見ているのか?
「隆二さん顔をあげてください。」
「え?……んっ!」
ちゅっ
目の前に伊万里の顔がある。
それしか、僕には理解できなかった。
伊万里のこと以外考えられなかった
「えへへ。ファーストキス
隆二さんにあげちゃった♪」
幸せそうに顔をほころばせる彼女以外
みることができなかった。
「伊万里」
思わず名前を呼ぶ。
「はい、なんですか?」
笑顔で返してくれる伊万里。
「好きだ。」
「私も大好きです。」
好意を言えばそのまま返してくれる伊万里
全てが愛おしく感じる。
そのまま彼女は続ける。
「私のことを助けてくれたかっこいいあなたが好きです。」
「私のことを疑いつつも離れないでいてくれるあなたが好きです。」
「私のことをかわいいと言ってくれるあなたが好きです。」
「私と手を繋いでくれるあなたが好きです。」
「そんなあなたの全てが私は大好きです!」
伊万里が抱きついてくる。
僕も抱きしめ返す。
伊万里のぬくもりを感じて幸せを感じる。
「隆二さん…」
目を瞑り、唇をつきだす彼女に
ちゅっ
僕は黙って唇を重ねた。
ーーーーーーーーーーーーーー
本編は今回で最終回となります。
次回はエピローグその後の話となります。
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