第33話 後輩と遊園地

日曜日になり、僕は伊万里と約束した駅に着いたが彼女はまだいないようだ。


まあ、20分前だし当たり前だろう。 

近くのベンチに腰掛ける。


適当に時間を潰そうとスマホを取り出すと突然視界が暗くなった。  


「だーれだ。」

この声にはよく聞き覚えがある。

「伊万里か」

「ぶぶー」

「え?」

どうなってるだ?

「正解はー

超絶かわいい伊万里ちゃんでした!」

ぱちぱちと手をたたきながら笑っている白いワンピースを着た伊万里がいた。

「あー、確かに不正解だね。」

「ふふふ、でしょ~。」

合流した僕たちは目的地である遊園地に向かうのであった。



「せんぱい~

伊万里に会うのが楽しみだからって早くきすぎですよ。」


「いや、伊万里も同じくらいじゃん。

遊園地って初めてだから楽しみではあったけど…」


「今日は伊万里ちゃん宣言2ですし~

 すごく楽しみでしたよ。」

「う、うん」  

ストレートに楽しみだったと告白されて反応に困る。

「せんぱい、遊園地デビューなんですね。

なら思い出たくさん作ってあげますね!」

ツインテールをピョコピョコ揺らしながら興奮している伊万里。


「元気そうでよかったよ。」

「どうしたんですか?急に

伊万里はいつも元気ですよ~」

「RINEのときなんか暗そうだったから気になってたんだよ。」

「所詮、文字ですから気にしないでください。実物は元気ですから。」

「わかったよ」


そう言っている間に遊園地に着いたようだ。


「よーし、早速行きますよ。着いてこれなきゃ置いてきますからねー」

走り出す伊万里。

「待って!伊万里」

「ふふ、遅いですよ。せんぱい…え?」


入り口で業務員に止められる伊万里


「チケットなきゃ入れないって言おうとしたんだけど」

「恥ずかしいです////」


多少トラブルがあったが無事に中に入ることができた。


「じゃあ、ジェットコースターで!」

「いきなり!」

「メインは最初に食べるタイプなんです。」

胸を張って言う伊万里。

多分、威張るとこではない。


そもそもジェットコースターってなんだろうか?

メインらしいしどんなのか伊万里が楽しみにしているなら楽しいだろう。



… 


………

「ギャアアアアアアアアアアアア」

めっちゃ怖いこんなに怖いもん存在するのか

マジで心臓が飛び出るし

浮遊感でどうにかなりそう。

「あはははははははははははは」

そんな僕の横で楽しんでる伊万里。

いや、どんな心臓してるんだ?



ようやく終わり解放される。

助かった…


「あはは!

せんぱいかわいい~

絶叫系駄目なんですね。」


「ああ、初めてだったけどすごいなこれ」


「ふふふ、まだまだこれからですよ。

次はコーヒーカップ行きましょう。」


「ちょ、休ませて」

伊万里は僕の手を取り次のアトラクションの方に進んでいった。


「コーヒーカップはゆったりなんだね」

さっきのアトラクションの疲れを休ませられそうだ。

「油断大敵ですよ。せんぱい」

伊万里、目がキラーンと光る。

「伊万里?」

「こうしてやります。」

伊万里が真ん中の円盤を回すと回転するスピードが上がる。

「うおーーーい、伊万里やめてーー」

「ははは、せんぱいおもしろーい」


他には


「ねぇ、あれほんとにやるの?」

「やりますよーあれも楽しいんです。」

フリーフォールというやつだがあの高さから落ちるとかやばいだろ。

どんどん上がっていく。


「やややばい」

「せんぱい、

めっちゃ震えてるじゃないですか~

大丈夫ですよ。伊万里がいますからね~」 

「いや、つっこむ余裕うぉーーーーーーー」

「あははははははははは」


他にも


「これはなんなの?」

「コースターが進んでいくなかにある的を

 この銃で撃ち落とすやつです。」

「あーゲーセンにあるやつが現実で出来るのか」

「そうです。

いっぱい当てましょうね。」


他にも


「ミラーハウスですね。」

「鏡の迷宮ってなんかいいね。」

「あはは、せんぱいが変な顔になってる。」

「伊万里だって…基本かわいいから変にならないね。」

「なに、どさくさに口説いてるんですか!?」

「口説いてないよ!」


他にも


「うーせんぱい怖いです。

抱きついてもいいですか。」

「怖いならなんでお化け屋敷にきたの?」

「基本的に苦手ですけど、

せんぱいとなら行けるかな~って」

「いいよ、好きにして」

「やったーーー!!」


僕らはアトラクションを楽しんだ。


「そろそろ、お昼の時間ですね。」

「フードコート行こうか。」

伊万里に言うと手をもじもじさせている。

「あの…ですね。せんぱい」

「どうした?

もしかしてお金足りない?

それなら、僕が出すよ。」

流石に一人だけご飯を食べるのは気まずい。


「違います!

私がお弁当作ってきたので食べませんか!?」


「は、はい」


僕は彼女のあまりの剣幕にさからえないのであった。



ーーーーーーーーーーーーーー


おまけ


とある土曜日の夕方


「ただいまー」

「お邪魔します。」

二人の男女が家に入っていく。


「あ、隆二くん来てくれたんだ。」

そういって、少女の母親は少年の手を取る。

「お、お邪魔します。月さん」

「お母さん、近づきすぎ。」

娘が母親を少年から引き剥がす。

「あら、嫉妬?」

「ちーがーいーまーす。」

「あの~なんかすみません。」

少年が自分のせいで空気が悪くなったのかと思い謝罪する。

「いいのよ。ただのじゃれあいだから。」

「よくはないけど、隆二のせいではいないから。」

とりあえず、落ち着いたようだ。

「じゃあ、ご飯の準備するけどどうする?

キラの部屋に行ってる?」

「ちょ、隆二を部屋に入れるのはちょっと…」

「だから、あんた前回のことどこ行ったの?」

「キラさんには悪いのでリビングで待ってます。」

少年はリビングにある椅子に座った。

「隆二、私ちょっと着替えてくるからね。

お母さんは余計なこと言ったりしないでよ!」

「はーい。」

「分かりました。」

そう言って少女はリビングから出ていく。

少し少年がくつろいでいると



「覗きに行かないの?」

「行きません!!」


何だかんだ平和な家庭なのであった。



ーーーーーーーーーーーーーー

おまけは明るい家庭によって守られております。


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