第30話 柊可奈(前編)
僕らは制服に着替えて学校に戻ってきた。
それでも、普通に入ることは出来ないので
事務室で忘れ物したと柊さんが説明するこで入ることが出来た。
「鍵は後で必ず持ってきてね。」
鍵を借りられたのは
事務室にいた先生が山田先生だったのも大きいだろう。
あとは僕と可奈さんは先生たちの評価が入学してから一週間のわりに高い。
「ふふ、悪いことしちゃいました。」
「いや、笑えることじゃないですよ。
なんためにここにきたんですか?」
彼女は僕と少し離れたところで背を向けている。
なんでこんなリスクを背負ってまでここにきたのだろうか?
「だって、するならここって決めていましたから。」
「するって何をー」
ぼくが言いきる前に彼女は僕の方に振り返った。
「隆二くん、私と付き合ってください。」
学校の誰もいない教室
顔を赤く染める髪を後ろでまとめている茶髪の女の子
そして、彼女の目の前に立つ僕
この瞬間、初めて自分の人生が大きく動き始めたことを感じた。
時が止まったように感じた。
あれから、1分ぐらいしかたってないのに何時間も考えているような感覚に落ちいる。
「最初は助けようとしてくれましたのに
冷たくしてしまい。すみませんでした。
しかし、私はその後もあなたに助けられ、
その度に運命を感じ
どんどんあなたの魅力に惹かれていきました。
一緒に遊びに行った時私の知らないことをたくさん教えてくださいました。
私のことを友達と言ってくださいました。
ずっと一緒にいてくれるとも言ってくださいました。
そんな優しい隆二くんのことが私は好き
いえ、愛しています。」
「だから、私と付き合ってください。
私の運命の人。」
彼女は思いを全力でぶつけてきた。
可奈さんが僕のことを好き?
可奈さんが僕と付き合いたい?
そんなこと考えたこともなかった。
見ないふりをしていたわけではない。
なぜ、僕なんかがそう思われてるとは思えなかったから。
「隆二くんは私のこと嫌い??」
不安そうな顔でこちら見てくる可奈さん。
いや、逃げるな。
可奈さんに失礼だ。
だけど、答えがない。
僕は可奈さんのことが好きなのだろうか?
友達としてはもちろん好きだ。
「す、好きだよ。
だけど、恋愛的な好きではないよ。」
しかし、恋愛としては違う。
「隆二くん。突然でごめんなさい。
別に隆二くんが私のことを今は恋愛的なじゃなくても私は構わないです。」
悩む僕に近づきながら優しく言ってくる可奈さん。
まるで甘くて優しい毒のようだ
「だから付き合ってほしいです。」
彼女は目をつむり唇を近づけてくる。
目元を涙で濡らし、顔も紅潮していてすごく緊張している。
このまま、受け入れてもいいのではないか?
彼女は僕を愛してくれる。
それでこれから僕が彼女を愛すればいい。
それなら、付き合ってもいいんじゃないか?
付き合うってことは別にそんなに重いことでもない。
死ぬまで何回も付き合う人もいるくらいだ。
今は彼女を好きじゃなくても別に問題はなくないか?
なら、受け入れてもー
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後半は午後6時投稿します。
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