第26話 僕と同級生


友達とは一体なんだろう?

そう考えながら花壇の雑草を抜いていく。


「白木くん。まだ委員会の顔合わせもしていないのに手伝って貰ってありがとうね。」

美化委員の顧問である山田先生に話かけられる。


「どうせ、遅かれ早かれ仕事をしにくるんですから、今から初めても変わりませんし礼を言われるほどでもないですよ。」


まだ委員会としてキチンとした挨拶などしておらず、ここにいる新入生は僕くらいだ。

先輩たちは女性8割男性2割くらいで少し一年男子であるぼくは肩身が狭い。

だから、山田先生が作業をしながら話し相手になってくれる。


「白木くんは結構謙虚ですね。

 そう言うところが合間さんも気に入ってるのかもしれませんね。」


「キラ先輩が優しいだけですよ。」


「ふふ、白木くんは人畜無害そうで女性泣かせかもしれませんね~

 少なくとも合間さんがああいう態度で話してる子は美化委員では見たことないですけどね。」


「いやいや!

僕なんかによってくる女性はいないですよ。

それに、僕と先輩は友達同士なだけですから。」


山田先生結構ジョークも言うんだなぁ

先生の新しい一面を知った気がした。


「ふふ、君は若い

だから、悩めるときは

時間がかかってでも進んでいったほうがいいですよ。止まるのはもったいないですから。」

「先生それってー」

僕が先生の言葉を聞こうとすると

「隆二。肥料袋を持ってきたいから手伝って。」

「はい、分かりました。」

「白木くんでは頑張ってくださいね。」

「山田先生、ありがとうございました。」

手招きするキラさんの方に向けて歩き出した。


「これでいいのかな。キラさん」

「助かるわ。隆二」

倉庫から肥料袋を担いで持っていく。

少し歩いてると引っ張られている感覚がある。


よく見るとキラさんが僕の服の袖を軽く摘まんてまいる。


「それ、気に入ってるんですか?」

「ご、ごめん。なんか手持ち無沙汰になっちやって手が勝手に向かっちゃうの」

「いえ、キラさんが気に入ってるなら構いませんよ。」

キラさんが僕から顔を反らす。


そして、ある程度作業が終わり、昼食の時間となった。

僕はキラさんと一緒に中庭の方に行く。


「月さんの料理おいしいですね。」

朝作ってもらった月さんの弁当はとてもおいしかった。

キラさんもそうだけど天は二物を与えずって言葉を否定しているようだ。


「そう…」

少しキラさんの機嫌が悪くなったような気がした。


「私の弁当とどっちがおいしい?」

「どっちもおいしいですね。」

「隆二のヘタレ…」

「ヘタレってなんですか!?」

いつもより時間はないが雑談をしながら食べる。

こういうのが友達と言うのかな


友達ってなんなんだろうな?」



「隆二?」


「あっ、すみません。キラさん何でもないです。」

考えていたことが口に出ていたらしい。


「私にとって友達は一緒にいて楽しい人かな。

気軽に冗談とか遊んだりできる関係。」


「なんでも話せる話せる気安い関係ってことですか?」


「断言はできないけどそれは違うと思うよ」


「え?」

全てを話すことによって相手に信じて貰い、

お互いに嘘偽りのない対等な関係。

それが友達だと僕は思っていた。


「だって、誰にだって話したくないことはあるよ。

家族にだって話せないこともあるくらいなんだから友達に全て話すことなんてないよ。」


キラさんの一言一言が僕の価値観を壊す。

「もし、家族にも話せないことを話せるって言うならだよ。」


友達の先…

僕にはそれが分からない…


「まあ、私が言っても説得力なんてない

と思うけどね。」


「いえ、参考になりました。

ありがとうございます。」


そうこうしてる間に昼食の時間は終わり、

教室に入る。

授業中、時折隣の席の柊を見る。


柊 可奈は全てを話せる関係を友達と言った。

確かに彼女には僕の弱い部分をさらけ出した。

そして、今は僕の全てが知りたいと言うように

プライベートの中に踏み込もうとしてくる。


この関係を友達と言うのには無理があると思う。

では、振り出しに戻る。



僕と彼女の関係はなんなのだろう?


「隆二くん?どうしたの」


「いや、なんでもないよ」

僕の視線が気になったのか休み時間に可奈さんは声をかけてくる。

「嘘なにか隠してる?

一緒にご飯食べてる先輩に何かされたの?

ソレトアノキンパツニ…」


「先輩とは美化委員の仕事とお昼を食べただけよ。」


「ウラヤマシイ…

なら、よかったです。

ただ、なにか私のほうを見てきていたみたいですのでなにか私にようがあったのかと思いまして。」


「少し眠くてぼーっとしていただけだよ。」

「お昼ごはんのあとは眠くなりますもんね…ウソツキ」


「朝も言いましたけどなにか悩んでいることがあるのではないですか?」

「いや、何もないよ。可奈さんこそどうなの?」

朝のようなことが起きる予感がして、話をそらしにかかる。


「わたしは…ありますよ。」

「柊さんでも悩みがあるんだね。」

「私はそんな大層な人間ではありません。

普通の女の子です。

だから、隆二くん相談にのってくれませんか?」

「僕で良ければいいですよ。」

の相談だったら僕は喜んで相談に乗ろう。

それにこれを機会に彼女との関係性も分かるだろう。


「ありがとうございます。

でしたら、明日一緒に帰ってもらえませんか?」


おそらくここが僕と可奈さんの関係のターニングポイントになるだろう





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おまけ


とあるメッセージのやり取り


「こんばんは~

せんぱい

せんぱいってあれですよね~

かわいい後輩がいるだけでもあれなのに

キレイでスタイルの先輩がいて良い身分ですね。」


「確かにかわいい二人と友達なことは俺の人生の全盛期とも言えるかもね。」


「かわいいとか誉められてもすぐ嬉しくなるようなちょろい女じゃありませんからね!」


「いや、誉めようと思ったんじゃなくて事実を言っただけなんだけど。」


「そうやって、女の子を口説こうとしてくる!!

せんばいの女たらし!!」


「たらそうとしてない。

伊万里ともキラさんとも友達なだけだしな。」


「あれ?

キラ先輩とは姉弟みたいな関係っていってませんてしたっけ?」


「ああ、ちょっと色々あって変わったんだ。」


「ちょ、色々ってなんですか!?

そこのとこ教えてくださいよ!」


「ノーコメントで」


「ちょ、逃げないでくださいよ!」


「おーい、せんぱい!」


「スルーするならいいです。

それなら、次の伊万里ちゃん宣言を

日曜日にやって貰います!!

覚悟しておいてくださいよ。

絶対ですよ!」




「ようやく昼食おわったら、

なんでこんなことになってるんだ?」



ーーーーーーーーーーーーーー

おまけに関しましては

乙女の活躍にご期待ください。


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