第24話 合間煌(後半)
「キラ先輩、僕はあなたの弟ではないですよ。」
「なにいってるの?
りゅうちゃんはお姉ちゃんの弟だよ。
それにキラ先輩って…キラお姉ちゃんって呼んでって言ってるじゃん。」
いつもの問答だと思い、軽口で返してくるキラ先輩
「キラ先輩、
今まで僕が中途半端に対応していたから
キラ先輩のことを苦しめてたんですね。
本当にすみませんでした。」
僕は誠意を込めて謝る。
「え、やめてよ
お姉ちゃんは苦しんでなんかいないよ。
謝らないでよ!
いつもみたいにお姉ちゃんって言ってよ!」
少し語気が強くなってくる。
「僕はあなたの弟ではありません。
だから、僕を弟さんとして見るのはやめてください。
はっきり言って迷惑です。」
僕はひるまない。
「違う…違う違う違う!!!
りゅうちゃんは私の弟くんだもん!
ようやく会えた私の弟」
キラ先輩は僕の肩を掴んでくる。
「お願い…りゅうちゃん
お姉ちゃんから離れようとしないで…」
泣きながらこっちを見てくる。
いつもの僕ならここで折れるだろう
だけど今の僕は絶対に逃げない。
「先輩は僕のこと嫌いなんですか?」
「そんなことないよ!
お姉ちゃんはりゅうちゃんのこと大好きだよ!」
「嫌いじゃないのなら、
僕のことを馬鹿にしているんですか?」
「そんなことはない!
私はりゅうちゃんのことを愛してる。
お姉ちゃんに気に入らないとこがあった?
ごめん、すぐ直すから教えて
お姉ちゃんりゅうちゃんのためならなんでもできるから。」
キラ先輩は僕に縋りつきながら懇願してくる。
「なら、なんで… 」
「りゅうちゃん?」
「なら、なんで僕自身を見てくれないんですか?」
「っ…」
「弟のため…
そう言って僕を生まれてこなかった弟君の代わりにしているだけで
あなたは僕のことなんてどうでもいいんですよ。」
「違う!」
「あなたは僕が好きなんじゃない!
僕を通してみる見る弟くんが好きなだけです。」
「違う…」
「他の人として扱われるなんて
はっきり言って僕のこと無視しているのと同じじゃないでか。」
「…」
キラ先輩は顔を沈めて黙り込んでしまう。
「でも、僕はキラ先輩が好きです!」
「!?」
沈んでいたキラ先輩がこっちをみる。
「まだ会って数日しか経ってないですけど
こんな僕に優しくしてくれるし、
話してて楽しいし、料理もおいしい。
美人だし文武両道!
こんなの好きになるに決まってます。」
「…っっ」
先輩がたじろくが僕は構わず続ける。
「だからこそ、僕は悲しいです。」
「な、なにが?」
「キラ先輩は僕のことを見てくれないじゃないですか!」
思いをすべてぶつける。
素直な気持ちをキラ先輩に
「正直、キラ先輩の弟を受け入れるのもありかなって思ってました。
キラ先輩なら、優しい姉になって甘やかしてくれるでしょうから。」
「私はそれでいいのに…」
「本当にいいんですか?」
「え?」
僕の問いに呆気にとられるキラ先輩
「僕はキラ先輩の弟として付き合って行くのは嫌なんです!!
キラ先輩の友達として仲良くしたいんです!!」
「友達?」
「はい!そうです!
弟としてキラ先輩に愛されるのではなく、
友達としてキラ先輩と対等な存在になりたいんです!」
そして僕はベッドから降りて頭を下げながら
キラ先輩に手を差し出す。
「だから、合間煌さん。僕と友達になってください!!」
言ったぞ
言いきったぞ
心臓のバクバクが止まらない。
もう、キラ先輩と前の関係には戻れない
後悔はないと言ったら嘘になる。
でも、変えなくちゃいけないと思ったんだ。
この関係を
僕のためにも
なによりキラ先輩のためにも
部屋は静寂に包まれる。
10分以上たったが手は握られない。
やはり、僕じゃ駄目か
手を下ろそうとすると柔らかい感触に包まれた。
顔を上げるとそこには僕の手を両手で包むキラ先輩がいた。
「こちらこそよろしくお願いします。
白木隆二さん。」
そう言って彼女は泣きながら笑う
彼女の笑顔は今までで不恰好だった。
たけど、今まで見た彼女の笑顔の中で僕はその笑顔が一番好きだった。
――――――――
「ごめんね。私、君を苦しめてたんだね」
「いえ、僕の方こそすみませんでした。」
僕らはベッドで寝ながら今までのことをお互いに謝罪しあっていた
「あーあ、隆二は最高の弟だったんだけどな~」
「キラさんにそう思って貰えるなら嬉しいです。」
「断った癖に~」
「ははは、
僕は今の関係の方が好きですから」
お互いの距離を確かめ会う
「隆二…また一緒にお昼食べてくれる?」
「当たり前ですよ。キラさんと食べるの楽しいですから。」
「それは私のお弁当が目当てってことかな?」
「それもありますけど、キラさんと話すのが好きですから。」
「なんか、生意気~/////」
関係を変えるのは正直怖かった
「キラさんの好きなものってなんですか?」
「キルヴァニア・ファミリー
前は良く集めてたんだ。可愛いもの好きだし。」
「なら、一緒に公式ショップに行きましょう。」
「隆二には退屈じゃない?」
「その時は楽しんでるキラさんを見てます。」
だけど、今この関係を変えて良かったと思う。
「隆二、抱きしめてくれない?」
「えーと」
「嫌な夢を見たくないの…」
「…」
「お願い…隆二」
「わ、分かりました。
寝相悪くても文句言わないでくださいね。」
「隆二やっさし~」
だって、お互いを見て話せるようになったから
「おやすみ、キラさん」
「おやすみ、隆二…」
僕らは二人抱き合いなから眠りに落ちるのであった。
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おまけ
とある少女の独白
「ねえ、起きてる?」
少女は少年が起きているかを確認する。
「寝てるみたいだね」
ほっぺをつんつんする。
少年は嫌そうに身体をくねらす。
「やっぱり、かわいいね~君は」
少女は幸せそうに微笑む。
彼を初めて見たときから何かを感じた。
他の人と違う何かを
ようやく弟に会えたのだと私は直感した。
だからこそ、私は彼を離したくなかった。
私は弟という檻の中に彼を無理やり閉じ込めた。
しかし、彼は弟ではない。
だから、彼には辛い思いをさせただろう。
「ごめんね。君のことを見てなくて」
でも、彼は優しかった。
壊れた私から逃げずに向き合ってくれた。
「僕はキラ先輩の弟として付き合って行くのは嫌なんです!!
キラ先輩の友達として仲良くしたいんです!!」
私と友達になりたい?
可愛らしい言葉だ。
途中まで聞いてて告白してくる流れだと思っていたから
少し肩透かしを食らった。
「告白してくれても良かったのに…」
多分、彼はへたれたとかそう言うのではなく
単純に私と友達になりたかっただけなのだろう。
女として見られていないのかと思い少し腹が立つ。
「年上を弄ぶなんて、いけない子だね。」
微笑みながら少女は少年を見る。
口では怒っているようだが少女の顔には笑顔が咲いている。。
「明日も学校だから寝ないと」
少女は再び少年に抱き着く。
いつも、夜は嫌な夢を見るから嫌いだったけど彼を見てれば考えないで済む
「おやすみ、大好きだよ」
寝ている少年の頬に少女は口づけを落とす。
多分、今日は嫌な夢は見ないだろう。
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おまけに関しては静かに見守ってあげましょう。
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