第22話 先輩の母親

キラお姉ちゃんと隣り合わせでお風呂に入っている。

「りゅうちゃん、あったかいね」

「う、うん。」

気まずい時間が流れていく。

先輩から威圧感は感じなくなったがこの状況は非常によろしくない。


「先輩、出てもいいですか?」

「だーめ、おねえちゃんがいいっていうまで出ちゃ駄目だよ。」

がっつり腕を組まれてしまい、身動きが取れなくなってしまった。

腕に当てる感触を意識しないようにしながら腕を抜こうとすると


「出たい?りゅうちゃん。」

「ええ、まあ」

「だったら約束して」

「約束ですか?」

嫌な予感がするが

とりあえず、話を聞いてみる。


「今日、うちに泊まって」

予感は的中した。


「明日、学校があるんですけど?」

「私が起こすから大丈夫だよ。」


「異性の家に泊まるのはちょっと」

「一緒にお風呂にも入ってるから問題ないよ。」

「今も十分問題ですよ!?」


「キラお姉ちゃんのお母さんに相談しないと」

「お母さんにはりゅうちゃんはOK貰ってるよ。」

「あったこともないのに!?」


僕の反論は無慈悲にもすべて返されてしまう。

問題は100%ある。

しかし、断る理由がない。


「反論はもうないね。

なら、離してあげるからリビングで待っててね。」


「は、はい」

キラお姉ちゃんに腕を離してもらい僕はお風呂を上がるのであった。


バスタオルで体を拭くと

キラお姉ちゃんの言っていた服に着替える。

正直、他人の服や下着を着けるのは違和感があって

着心地がすごく悪く感じる。


そのまま、リビングに向かおうとしたときに思い付いた。


キラお姉ちゃんが風呂に入ってる今なら玄関から帰れるんじゃないか?


さすがにここに泊まるのは色々よろしくない。

キラお姉ちゃんには悪いが冷静になれば異常さに気づいてくれると思うし


そう考えながら玄関に近づいていく。


ガチャ


扉が開く


「え??君、誰?」


扉から、キラお姉ちゃんに似ているが少し大人っぽい

女の人が現れた。



――――――――――――


「白木隆二っていいます。

 会って間もないですがキラ先輩には大変お世話になってます。」


「あー、君が噂のりゅうちゃんね。

 キラからよく聞いてるよ。」


結局僕は帰れなかった。

玄関で出会った彼女に

キラ先輩のである。

合間月あいまるなさんにリビングに連れてこられたからだ。


先輩は月さんに僕のことをどういっているのだろう?


「かわいいーとか。ご飯食べてくれた―とか。

 優しいんだよーとか言ってくるんだよね~」

僕の表情から察したのかにやにやしなが疑問に答えてくる。

なんかこういところはそっくりだな

と頭にキラ先輩を思い浮かべた。


「恥ずかしいですけど、キラ先輩が楽しんでるなら良かったです。」


キラを見れたから母親としてよかったよ。

ありがとうね。りゅうくん」


「いえ、僕は大したことはしてないですよ。」


久々に明るい?

僕の知るキラ先輩は明るくないときの方がすくないはずだが


「でも、家に連れ込んでくるとは思わなかったからびっくりしたよ。

 あの子、女の子の友達もうちに呼ばないのに」

月さんが頭を掻きながらこまったように言ってくる。


それは先輩が優しいからで

僕が家で一人になることを話したら心配して誘ってくれたと

ここまでの経緯を伝える。

月さんは少し悩んだ後、

「なるほどね…

 キラが君を気にする理由がなんとなく分かったよ。」

「キラ先輩が僕を気にする理由ですか?」

気になってはいた。

キラ先輩は最初から僕に対して距離感が異常だった。

最初は誰にでもフランクなのかと思っていたら

別にそういうわけでもない。

だからこそ、僕への態度がおかしい。


「あの子さ。弟が欲しかったんだよね。」

「確かにキラ先輩は僕のことを弟扱いしてきますね。」

あー確かにあの人に本当に弟がいたら溺愛してるイメージはある。

だからこそ、お姉ちゃんへの憧れが強いのかな?


「違うんだ。

 本当は弟ができる予定だったんだ…」

月さんがつらそうな顔をして言ってくる。



月さんから昔の話をされた。

今から六年前

月さんが子供を身ごもり、キラ先輩には弟が出来るはずだった。

しかし、経過不良が起こり、流産してしまったそうだ。


「キラはさ…

弟が出来るってすごいはりきってたんだよね。

料理・勉強・運動を頑張り始めて自慢のお姉ちゃんになるんだーって」

少し泣きながらも説明してくれる月さん


「だけど、結果は言った通り。

結果を聞いたキラすごく塞ぎこんでしまったんだ。

そのことが原因で私も旦那と別れて余計キラは塞ぎこんじゃって…

ほんと、私は最低な母親だよ…」


「…」

ここで最低なんかじゃないなんてことは僕には言えない。

そんな言葉を言えるほど度胸も彼女との関係性も足りない。


「だけど、キラはさ…

ある時から今ほどはないけど明るくなったんだよね。」


「ある時から?」


「そう。

 ある時、先生に教えてもらったんだって。

 万物は生まれて流転するって話」


「どういう意味ですか?」


「いろんなものがこの世には巡りに巡っている。

命もまたこの世を巡っているから

生まれてこなかった命ともまたいつか巡り合えるって話さ。」


「なるほど。」


「あの子は…キラはそれを信じているんだよ。

 生まれてこなかった弟といつか会えるって」


「…!」



それって


「私にはキラが君に何を感じたのかは分からない。

だけど、これだけははっきりしてる。

あの子は君のことを生まれてこなかった弟だと思ってるように思える。」


あ,ありえない


「いや、おかしいですよ!

だって,僕と先輩は一歳しか違わないし、

生まれ変わりなんて絵空事の話じゃないですか!」


「理屈じゃないんだよ。隆二くん

現にあの子は君を弟として扱っているでしょ。」


「でも…

 でも!! 」

頭では月さんの言葉を拒否しても

今までのキラ先輩の行動からその言葉のすべてを肯定してくる。


異様に甘えさせようとする先輩

異常なほど心配してくる先輩

僕を家に帰そうとしない先輩。


キラ先輩にとって僕は一体なんなのだろうか?

理解したとき体が恐怖で震えた。


「ごめんね。こんな話しちゃって

だけど、君には伝えておきたかったの」


「な、なんで」

声を震わせながら聞く。


「君にあの子のことを知ってほしいからよ。」

月さんは真剣な表情で僕に言った。




本当は分かっていた。

僕は見ないふりをしていた。


先輩が僕ことを見ていないことは分かっていた。

朝、会った時もお昼を一緒に食べたときも

ここに来るときもお風呂に入る前にも

なんなら、先輩と初めて会った時から…


いつでも、先輩に聞くこともできたんだ。

だけど、僕は弱いから逃げていた。

本当の理由を聞くと

先輩との関係が終わると思ったから僕は逃げていたんだ。


「君にキラをどうこうしてとは言えない。

だって、これは私たち家族の問題だから

君は君の好きにしていいからね。」

月さんは悲しそうな顔をする。



キラ先輩…


僕はキラ先輩のとどのような関係になりたいのだうか?


他人

姉弟

先輩後輩


いや,僕がなりたいのは―――



「月さん、色々話してくださってありがとうございます。

ですが、これ以上はキラ先輩から直接聞きます。」


僕はいつも卑怯で人間関係から逃げている



だからこそ




今は逃げない!





ー――――――――――――――――――――――――――――――――――


おまけ


合間 煌


前ノ原高校の2年

身長    175㎝

体重    60㎏

胸のサイズ Eカップ


好きなもの

料理

マンガ ゲーム

スポーツ



嫌いなもの

病院



黒髪ショート文武両道で料理上手の完璧少女

基本的には男には塩対応で厳しい

女性の友人は結構多く、定期的に告白をされているが

やんわりと断っている。

好きなものに関しては本人が本当に好きなのかは不明

夜寝ているときにたまに泣きながら飛び起きることがある

そのことが影響があり苦手

病院はあるときを境に一切行っていない。




――――――――――――――――――


おまけのプロフィールは自己申告なので確証はございません。































































































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