第17話 友愛の境界線

「隆二くん!おはよう。」

振り返ると可奈さんが笑顔で立っていた。

「おはよう。可奈さん」

よかった。

なんとか、冷静に挨拶できた。


愛らしい可奈さん相手に普通に挨拶するのも緊張する。


「朝からお元気そうですね…隆二さん」

「可奈さんも元気そうで何よりだよ。」

可奈さん目が少し沈んで見える気がするが恐らく気のせいだろう。


「先ほど一緒に話していた女の人はどなたですか?」

「あー…あの人はキラ先輩。

頼りない僕を何かと心配してくる優しい先輩だよ。」

キラ先輩について説明すると可奈さんは顔を下に下げて何かを呟いた。


「また…猫…隆二くんは…の…人なのに」

「可奈さん!?大丈夫?」

体調を崩したのかと心配してると

可奈さんは急に顔を上げる。


「なんでもないですよ。隆二さん。

 ほら、教室に行きましょう。」

「ちょ、可奈さん!?」

可奈さんは僕の手を取ると教室に向かって歩きだす。

少し握るが強い気もするがそんなことよりも

今は周りの視線がきつい。

可奈さんと手を繋ぎながら歩いているからだろう。

好奇・嫉妬の目で見られる。


「可奈さん。周りの目があるので手を離して教室に行きませんか?」

僕が手を離すように説得しようとすると可奈さんは振り向いて

「友達なんですから問題ないです。

それとも隆二くんは嫌ですか?」

上目使いで目をウルウルさせながら聞いてくる。

彼女の身長は伊万里よりも高い。

160ぐらいじゃないかと思う。


「いえ、そんなことはないんですが恥ずかしいです。」

「それなら、問題ないですね。」

「可奈さん!?」

結局、手を繋ぎながら教室まで歩いて行った。

教室内ではなんでお前なんかがという視線にさらされたが恥ずかしすぎてそれどころじゃない。


「おはよう。柊さん」

「二人は付き合ってるの?」

「朝から熱々だね~」


挨拶してくるクラスメートに柊さんは


「おはようございます。」

「ええ、仲良くしています。」

「恥ずかしながら」

少し顔を赤くしながら返しているが付き合っていることを否定してほしい。


「白木!お前なんで柊さんと登校してるんだよ!」

「しかも、手を繋いで…お前ら付き合ってるのか?」

「俺の柊さんがーーーーーーーー!!」


クラスメートの男子が僕の方にダル絡みしてくる。

「僕らはただの友達だよ。

付き合ってるもいないし、手を繋いでたのは柊さんがからかってきただけだよ。」

そう説明するとしぶしぶと納得してくれたようだった。


隣を見ると


「これは隆二さんが前に遊んだときに取ってくださったぬいぐるみなんです。」

「だっこしてる柊さん幸せそう。」

「てか、名前呼びとか本当になかよしだね。」


可奈さんはクラスメート色々盛り上がっているようだった。

以前に友達が少ないと言っていたので僕以外の人と仲良くしてるのはいいことだろう。

前に取ったぬいぐるみを大切にしてくれているのもすごく嬉しい。


そんな風にクラスメートと雑談をしてると

先生が入ってきて授業が始まるのであった。



お昼になり、昨日と同じようにキラ先輩と昼食を食べてると先輩が僕の頭を撫でながら聞いてきた。


「りゅうちゃんって

 委員会と部活には入るつもりはないの?」

 

 「部活は今日クラスメートと

  残りをみる予定です。

  委員会は美化委員です。

  キラ姉さんはどうなんですか?」


「お姉ちゃんはラクロス部だよ~

 美化委員か~?

 って!?美化委員なのりゅうちゃん!!」

顔を近づけて聞いてくるキラ先輩

控えめに言って心臓に悪い


キラ先輩、ラクロス部なのか

身長も高いし、爽やかな感じだからすごく似合うな


「そうですよ。

 副担任の山田先生が担当だったので」

「そうか~

 りゅうちゃん美化委員なのか~」

「なにかありました?」

ニヤニヤしながら呟いているキラ先輩。


「何を隠そうお姉ちゃんも美化委員会なのだ!」

膨らんだ胸を張って宣言してくるキラ先輩。


「そうだったんですか!

キラ姉さんが一緒なら楽しめそう」

「そうでしょそうでしょ~」

上機嫌になってるキラ先輩。

実際に知らない人たちと作業するよりは仲のいい人と作業できる方が楽しい。


「りゅうちゃんもお姉ちゃんの扱いが分かってきたね~。あとはもっと甘えてくれたら最高なんだけどな~」

チラチラこちらを見ながら言ってくる。


「恥ずかしいです。でも…」

「でも?」


「キラ姉さんに撫でられたり抱きつかれたりするのは嫌いじゃないですよ。」

「りゅ、りゅうちゃん!!」

「かといってすぐ抱きつかない!」


キラ先輩にじゃれつかれたりしていたらその日のお昼は終わっていた。






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おまけ


とある女の子のこころの声


今日も私はクラスメートと昼食を食べている。

今朝のこともあって男子に絡まれることは減り

女子には彼との関係を聞かれる。


順調だ

すごく順調


しかし、気になることもある

彼の行方だ。

昨日もそうだったが彼はお昼になるとどこかに行く。


どこに行っているのだろうか?

想像は容易につく

恐らく、あの金髪の女か先輩の女のところだろう。


彼は優しい

きっと、どんな人間にも優しくしてしまうのであろう。

それに触れた人は彼の魅力に堕ちてしまう。

それほど彼の優しさは魅力的である。

だけど、その優しさは私だけに向けてほしい。

わがままだろうか?

いや、私は正常だ。


愛してる人を求めることが間違っているわけない。

彼だっていつか私だけを愛してくれるはず

だって私の運命の人だもん。


だから、今は我慢する。

誰と会っていて何をしていようが許してあげる。

だって信じているから



 隆二くんは最後は私のところに来てくれるって






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次回も自称普通の友達の柊加奈のターンです。


おまけ◯人物に◯しまして◯により控え◯せて◯ただき◯す。


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