第10話 お姉ちゃん(仮)とお昼
授業が終わりお昼になった。
柊さんに誘われたがキラ先輩に誘われているかつ
周りの男子の視線も厳しいため辞退した。
罪悪感がありながらも待ち合わせの下駄箱に向かう。
そこにはキラ先輩が男の先輩と一緒になにかを喋っていた。
「後輩の子と食べる約束してるから他にあたってくんない?」
「煌、そんなこと言わずに一緒に食べようぜ。」
「気安く名前で呼ぶな。はやく失せろ。」
キラ先輩が空気が冷えるほど冷たい態度をとると
さすがに取り付く島もないと感じたのか離れていった。
キラ先輩ってあんな態度もとるんだな
会ってからまだ数時間の関係でしかないがイメージとしては明るくて誰にでも
ぐいぐいくる距離感のバグった先輩の印象があったので意外だった。
「あ、りゅうちゃん!」
僕に気付いたキラ先輩は人懐っこい笑顔を見せながら
こちらに近づいてきて頭を撫でてくる。
「キラ先輩恥ずかしいです。」
「りゅうちゃんよくきてくれたね。いいこーいいこー」
遠慮なく撫でてくるキラ先輩。
廊下を通る生徒にちらちら見られて恥ずかしい
朝は座ってたので意識していなかったが彼女の身長は僕とあまり変わらないため
頭を撫でると顔が至近距離になる。
距離感お化けめ
「キラ先輩、お昼の時間なくなりますよ。」
「照れちゃって~まだ撫で足りないけど、お昼食べてから撫でればいいか~」
「恥ずかしいから勘弁してください。」
キラ先輩とそんなやり取りをしながら下駄箱から中庭の方に向かう。
「りゅうちゃん。こっちこっち」
キラ先輩に促されるまま中庭のベンチに一緒に座る。
お互いにお昼ご飯を取り出し食べ始めた。
僕は菓子パン二つで先輩は手作りのお弁当のようだった。
「あれ?りゅうちゃんのお昼はそれだけ?」
「はい」
「駄目だよ!
そんな不摂生はお姉ちゃんが許しません!」
「いや、 お姉ちゃんじゃないでしょ。」
キラ先輩は頬を膨らませてぷんぷんしている。
どうやら自称お姉ちゃんは不摂生にご立腹らしい。
怒っていると思っていたら徐にお弁当の卵焼きを箸でつかみ僕の顔の近くに持ってくる。
「あーん」
囁くように言ってくる。
「キラ先輩!さすがにこれは無理です!」
「あー,このままじゃ落ちちゃうよ~
りゅうちゃん早くたべて~」
涙目で食べるように訴えてくる先輩
しょうがない
一口で卵焼きを食べたが、
恥ずかしくて味が分からなかった
だけど、なんとなく心が満たされたような気がした。
「りゅ,りゅうちゃん」
目をきらきらさせてこっちを見てくる。
「キラ先輩,卵焼きありがとうございます。
すごくおいしかったです。」
「駄目」
「え?」
なにか,言葉を間違えたのだろうかと不安になっていると
「キラお姉ちゃん,卵焼きおいしかったよって言ってくれると嬉しいな~」
「は?」
なにその羞恥プレイ
ニコニコしながら脅迫してくるキラ先輩
「さ、さすがに」
「お姉ちゃん悲しいな―せっかく弟くんのために作ったのにー」
泣きまねしながらこちらをちらちらみてくるキラ先輩
本当困った人だ
今日会った僕のために作ったわけないのに…
「キラお姉ちゃん,卵焼きおいしかったよ。いつもありがとうね。」
多分,今の僕はとても真っ赤な顔をしているだろう。
そんな僕を見てキラ先輩は心底嬉しそうに
「りゅうちゃん、かわいい!
恥ずかしいのにわざわざセリフを付け加えてくれるなんて~
なんて姉思いな子なのかしら。ナデナデしちゃう。」
「ちょ,キラ先輩撫でないで。」
「こら,キラお姉ちゃんでしょ。」
こうして、撫でられたり餌付けされたりしながら
お姉ちゃん(?)との短くも長い昼休みは終わった。
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次の話から匿名キャラによる幕間的なものを
おまけとしてつけていくので最後まで見てくださると嬉しいです。
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