六、頼る

 ──葵さんも頼るとええよ。なかなか頼れるし。──


 ・・・うーん・・・?頼る、ねぇ・・・


 大体、頼るってどういうこと?お手伝いを頼む、とかの事かな?


 ・・・あ。じゃあ、せっかくだしハクに手伝ってもらおう‼️


 私はハクを撫でながら、これまた猫なで声で「ねぇ、ハク。私、ハクに頼みたいことがあるんだけど・・・?」と言った。


 ピョコッ‼️


 ・・・ふおおおぉ‼️ハクが立った‼️なんか期待に満ちた目で見つめてきてる‼️なに、この可愛い生き物は⁉️賢すぎない、子の犬‼️私の言語を理解できているの?てか、可愛い。

 

 思わずキュンとしてしまう頭を冷やしつつ、巫女服に着替えながら考えてみる。


 私の手伝い──すなわち、社の手伝いのことだ。私は今から巫女服を着るが、ハクには着れない。だが、なにかいつもと違う格好をさせたい。紅白の何か、だよね・・・何か、首輪、とかあったらいいのに。葵が着物を着るときに必要な紐は、紅白だ。けれど。ハクを飾るのには長すぎる。引きずってしまい、何処かに引っ掻けてしまうだろう。



 思考に耽っていると、遠くの方から「葵さーん‼️」という富貴と紫の声が聞こえてきた。


 ・・・やばい‼️呼ばれてる‼️急がなきゃ。


 とりあえず「はーい‼️いまいきまーす‼️」と返事をしてハクを抱き上げ、小走りに庭へ向かう。


 廊下を進む途中、普段は開いていない障子が開いていることに気づいた。


 その部屋の向こう側にある部屋の障子には、人の影が映っていた。


 急がないといけないはずなのに、足は勝手に部屋へと進み、手は勝手に障子に触れた。

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