五、シロ
「うわお・・・‼️」
私は今、眼下に広がる巫女服に猛烈に感動している。
・・・だって‼️感動せざるを得ない‼️なに?この手触り‼️最高‼️
はわぁぁ、と手触りを楽しんでいると、不意に、じとっとした視線を感じた。
私が誰もいないはずの部屋を振り返ると、部屋の隅の方に白い、まるっこいなにかがいた。それは、この家の里犬、ハクだった。
「ハク‼️」
、と呼んでもハクは、耳をピクリと動かしただけで反応を示さない。強いていうのならば、あの「じとっ」とした視線が消えただけである。普通の犬よりいくらか小さいハクは、縮こまっていると本当に小動物にしか見えない。まぁ、もとから小動物なのだが。
・・・なぜ?いつもは飛びついてくるのに。
改めて観察してみると、いつもより目が細く、光がない気がする。後、耳も垂れたままだ。
・・・ははーん。さては、ハクよ。妬いているのかい?
妬いているのではなく、嫌われたのかという考えが頭を過ったが、そんなの気にしない。まるめてポポイだ。此の世の中、思い込みは必要だ。多分。
ハクは撫でられるのが好きだから、自分ではなく巫女服が撫でられていることが気にくわないのだろう。
口角がにまにまと上がるのを抑えきれない。
皆に、「ハクが妬いてくれた‼️」とでも言いふらしたいくらいだ。
まぁ、しないし、やりたくないけど。
そういえば、富貴さんにこんなことを聞いたような・・・
◇◆◇
「ふふ。葵さんはハクが気に入ってるん?」
「はい。とっても愛らしいし。ハクの特徴というか、好むようなことってあります?」
「そうやね・・・ハクは撫でられるのが好きやね。後、頼られたいて感じやろか」
「頼られたい?」
「そや。葵さんも頼るとええよ。なかなか使えるし。あの犬」
◇◆◇
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