13話
煉 side
何で嬉しいんだ? だってずっと今までの関係でいたかったのに。分からない、分からない。
「氷雨、もう少しだけ時間が欲しい。わがままだって分かっている。だけどこの気持ちがどうしても分からないんだ。だから少しだけ」
「いいよ。ゆっくりで良いから。煉くんが答えが出るまで待ってあげる。ただ早めに答えてくれると嬉しいな。僕だってずっと待っていられないよ。恋は煉くんが思っている以上に辛いんだから。」
少し悲しそうで寂しそうな笑みを浮かべる氷雨を見ると、まるで自分も辛く感じた。
これは仲間として? それとも恋? 分からないけど頑張って答えを探そう。
「それじゃあ2人を待たせているから行こう?」
「うん、でも本当にごめん」
「心配しないでいいよ。逆にまだ可能性があるかもしれないからね♪ 覚悟していてね、煉くん!」
さっきとは違う無邪気な表情で僕に笑いかけてきた。ふわふわするこの感覚を探りながら、ゆっくりと2人のいるリビングへと階段を下った。
「紺くん、翡翠くんごめんね! 待たせちゃったよね」
「大丈夫。俺らも少し2人きりで話したいことがあったから」
「そうなの。ねぇねえ、どんな事話したの?」
「逆に氷雨くんは何を話していたの?」
「もう翡翠くん! 先に僕が聞いているんだから答えてよ!」
「それは紺くんに言ってもらおうかな。これは紺くんの問題だから」
「紺くんの問題?」
何のことだ? と僕も
「紺?」
「煉、ごめん俺はお前との約束を破る」
「えっ……」
「もう俺はこの気持ちに嘘はつかない。俺は翡翠が好きだし、ずっと煉とは友達でいたい。だから縛られ続ける事は出来ない。」
「……」
「俺らの友情は俺と翡翠が付き合ったことで壊れるぐらい脆くないと思っている。だから俺は翡翠と付き合うし、煉ともずっと友達でいる。これが俺の答えだ。」
そっか、紺はそう思っていたんだ。それなのに僕はずっとこの関係が壊れるのではと不安でいた。だけど違うんだ。僕らの友情が脆いはずがない。だって何年一緒にいると思っているんだよ。あーぁ、本当に僕は馬鹿だな。
「紺、僕は馬鹿だったんだな。この関係が変わるのではと不安だった。だけどそんなことで変わるほどの関係じゃない。ごめん紺。縛る様なことして。」
「気づいてくれたならいいんだ。」
「そっか……」
温かい。体じゃなくて心が。病気のせいじゃなくて自分の心が温かい。懐かしい。この感情はずっと、ずっと前から知っている。
僕は────
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